熊本市で1日に開かれたアジア太平洋都市サミットの会員都市である韓国・済州[チェジュ]島。福岡から空路約1時間、人口約55万人の島が、いまグローバルな地域に大きく変わりつつある。
特別自治道である済州島は沖縄県より若干小さい。海辺には米国資本を含む高級リゾートホテルが林立する一方、「英語教育学園都市」づくりが実働。今夏訪問し、その思い切った取り組みに圧倒された。
韓国では英語力習得のため、2万7千人(2007年)の小中高生が留学している。子どもの流出防止策として政府が済州島南西部を英語特区に指定。自然豊かな広大な敷地に08年から(1)米国式インターナショナル・スクール(幼稚園~小中高)(2)国際バカロレア(国際大学入学資格)を取得できるカナダの教育機関(3)英国ノース・ロンドン・カレッジ、を誘致している。
教室からコンビニまで完全英語化を実現し、約2千人が学ぶ。9千人規模にまで増やして済州島をシンガポールに並ぶアジアの国際教育拠点に育てる計画だ。欧米から4年制大学も誘致する方針で、特区には施設整備のつち音が響いていた。
済州島の経済基盤はハルラ山など島内に三つある世界遺産とリゾート。「中国人観光客が増加し、02年に比べて10倍増。島内六つのホテルが中国資本になった」とコリア・タイムズは報じる。尖閣諸島国有化で旅先を日本から変えているようだ。
歴史認識などをめぐる中韓との対立の中、先行き不透明の日本。アジア太平洋各国ではグローバル対応が進んでいる。内向きの学生が多く国際人材育成も遅れるだけに、日本の将来を不安に思った。(井芹道一)
無断転載は禁じます。「くまにち.コム」に掲載の記事、写真等の著作権は熊本日日新聞社または、各情報提供者にあります。
Copyright(C) 熊本日日新聞社,All Rights Reserved.