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ジブリ・鈴木敏夫P「宮崎駿作品が莫大な制作費を要するワケ」

2013.11.06 (Wed)
2013年11月06日の「子供たちに聞かせたい『お金儲け』の話をしよう。」にて、ジブリのプロデューサーで知られる鈴木敏夫が出演していた。そこで、子供たちに対して、アニメーションにおける「お金の問題」について語っていた。

1400億円の興行収入はどこへ消えたか

鈴木敏夫「ジブリ作品の興行収入を全て足すと、なんと1,400億円になるというんです」

中山秀征「それで、どれくらい利益になってるんですか?」

鈴木敏夫「では、その内、どれくらいジブリに残ってるかって気になるでしょ?ほとんど残ってないんです」

中山秀征「鈴木さんが使い込んだわけじゃないですよね?」

鈴木敏夫「中山さん、よく考えてから物を言ってください(笑)ほとんど残ってないんですよ」

中山秀征「制作費って、どれくらい掛かるんですか?」

鈴木敏夫「1本の作品で、400~500人の人が関わってるんです。その人達を拘束するでしょ?そうするとね、何ヶ月掛かるかで、アニメの制作費というのは決まるんです」

中山秀征「人件費として、お金がどんどん出て行くんですね」

鈴木敏夫「そうなんです」

中山秀征「たとえば、1分間作るとしたら、どれくらい掛かるんですか?」

鈴木敏夫「アニメーターっていうのも、色々いるんですけどね。その人達のノルマが、1週間5秒なんです。そうすると、1ヶ月で20秒になるでしょ?1年間になると、240秒になるんです」

中山秀征「はい」

鈴木敏夫「つまり、1年間で1人あたり4分になるんです。だから、僕らの作品では、2時間の映画を作るのに、最低、2年掛かるんです」

中山秀征「なるほど、そんなに掛かるんですね」
どうしても時間が掛かる宮崎駿アニメ

鈴木敏夫「どうしてそんなに時間が掛かるかっていうと、宮崎駿監督、高畑監督はこだわりますから。たとえば、人によっては、絵コンテだけ描くっていう監督もいて。これはね、アニメーターに動きを任せてしまうんです」

中山秀征「はい」

鈴木敏夫「でもね、宮崎アニメの最大の特徴は…彼は絵コンテを描くと同時に、その芝居も物凄くチェックするんです。『これは違う、描き直せ!』ってことになる。しかも、どうしても上手くいかないときには、自分で描き直すんです」

中山秀征「へぇ~」

鈴木敏夫「そこが大変なんですよ。彼はね、引退というときに、その作業が辛くなってきたと言うんですね」

中山秀征「それは、どの作品でもそうなんですか?」

鈴木敏夫「そうなんです。こだわりますよ。とにかく、お芝居には」

鈴木敏夫「たとえばね、『となりのトトロ』でね、メイちゃんがトトロのお腹に乗っている。そこでぴょんぴょん跳ねてるんだけども、アレって、なかなかアニメーターは描けないんです」

となりのトトロ
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中山秀征「え?」

鈴木敏夫「トトロのお腹って、ふわふわ柔らかいでしょ?でもね、普通の人が描いたら、固くなっちゃう。そこがアニメーターの技量が要るところで凹むって感じがなかなか描けない」

中山秀征「へぇ~」

鈴木敏夫「そこはね、宮崎駿が描いた。あとね、『ハウルの動く城』で、カルシファーが出てくるんです。火の悪魔。あれも、宮崎駿が1人で全部描いたんです」

ハウルの動く城
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中山秀征「へぇ~」

鈴木敏夫「なぜかっていうと、火の悪魔だから、風とかで体が色々と変わるでしょ?これをね、色んな人にやらせても上手くいかない。だから、『全部俺が描く』って、描いてたんです」

中山秀征「なるほど」

鈴木敏夫「だからね、1カット描くのに1週間、つまり5秒を1週間だけども、中にはたった5秒で1ヶ月掛かることもあるんです」

鈴木敏夫「それでどんどん予定期間からズレていって、制作費が増えていくんですね」

プロデューサーという仕事

鈴木敏夫「使った分ね、当然のことながら、僕が回収しなきゃいけないんです。だから、プロデューサーってどんな仕事するんだろうって思うかもしれないけど、本当にツライ仕事なんですよ」

中山秀征「この映画でいこうって決めるのは、鈴木さんのお仕事ですもんね?」

鈴木敏夫「せめてそれぐらいね(笑)たとえば、今回、『風立ちぬ』って企画なんですけど、孫ができたもんで、孫に見せる映画、『崖の上のポニョ』のような映画を作りたいって言ってたんです」

中山秀征「ほぅ」

鈴木敏夫「でもね、僕はなんとなくイヤだったんですよ(笑)それでね、『風立ちぬ』が良いんじゃないですか?って言っちゃったんですよね」

中山秀征「その時は、宮崎さんはなんて言うんですか?」

鈴木敏夫「普段はね、大概、二つ返事なんですよね。大真面目に喧々囂々と話し合うなんてことはなくて。『ハウルの動く城』なんかはメチャクチャで、トイレで一緒に並んでてて、『ハウル良いんじゃないですか?』って言ったら、『そうしよっか』で終わりですよ(笑)」

高畑監督のスタイル

鈴木敏夫「作風が宮崎駿と異なるように見えますけど、『アルプスの少女ハイジ』なんかまでは、宮崎駿と一緒に仕事をしてたんです。その頃は、高畑監督が監督をやっていて、宮崎駿は、絵を描く人だったんです」

鈴木敏夫「高畑監督は、自分では絵を描かない人で、絵描きに無茶な注文をするんです(笑)たとえば、普通アニメでは顔を7:3とか、8:2で、あまり真正面からは描かないんですけど、真正面から描かせたりする。だから時間が掛かるんですけどね(笑)」

中山秀征「『火垂るの墓』なんかはどうだったんですか?」

鈴木敏夫「『火垂るの墓』は、僕にとってツライ思い出でねぇ…実は封切り当時、映画が完成しなかったんです」

火垂るの墓
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注釈:清太が野菜を盗んで捕まる場面など、未完成のシーンが残ったままとなり、その部分は色の付かない白味・線撮りの状態で上映された。ただ、悲惨なシーンであるために事情を知らない観客には演出効果に感じられ、ほとんど話題にならなかった。

鈴木敏夫「封切り当時は、ところどころ、白くなってたんです。高畑監督は…妥協しない人なんです。僕はカットすれば分からないって思ったんですけど、高畑監督は、そういう人じゃないんです。それで、そのまま封切りしなければならなかった」

中山秀征「世間の人は、それを観てどう思ったんですかね?」

鈴木敏夫「ほとんどの人は、演出や効果だと思ったんです。今の人は知らないかもしれないけれど、『火垂るの墓』と『となりのトトロ』は、2本立てだったんです。それで僕は、渋谷に観に行ったんです」

中山秀征「はい」

鈴木敏夫「そしたら偶然、宮崎駿の弟の一家が来てて。『火垂るの墓』を見終わった後に、弟さんにバっと立ち上がって、こちらにきて、『敏ちゃん、これ完成してなかったんじゃないの?』って言ってきたんです(笑)」

中山秀征「どう思われたんですか?」

鈴木敏夫「どうしよう…って(笑)」

金を使える=一つの能力である

鈴木敏夫「仕事としては、なんとかお金を回収して、とんとんになれば良いと思ってる。これが一番の仕事ですね」

中山秀征「節約するってことではなく?」

鈴木敏夫「最終的にはね、才能があって良いものを作ってくれるなら、いくらでもお金を投入しようと思います。それで、凄いものが出来たとするじゃないですか。そしたら、僕の仕事ですから。それを、多くの人に観てもらって、僕が回収すれば良いんです」

中山秀征「制作費を減らすのではなくて、使ってもいいけど、回収する、と」

鈴木敏夫「制作費を減らしたら、その作品、つまらなくなるでしょ。やっぱり、僕は凄い作品を観てみたいんです。僕自身が。だから、『風立ちぬ』で宮さんが思いの丈をぶつけて凄い作品を作ってくれたし、高畑勲も、付き合ってて大変ですよ。頭にもくるんですけど、凄い作品を観てみたいんです」

中山秀征「はい」

鈴木敏夫「映画を作るときに、『お金を使う』っていうのは、1つの能力だと思うんです。要するに、能力がなければ、お金を使うことは出来ないんです」

中山秀征「あぁ、なるほど」

鈴木敏夫「高畑監督にせよ、宮崎駿監督にせよ、お金をいくらでも使える能力を持ってるんです。放っておいたら、いくらでも使うんですよ」

中山秀征「鈴木さんは、10億使ったら、100億儲けようって思うんですよね?」

鈴木敏夫「そういうことですね。それでまた新たな作品を作る。その時に使えるのなら、使ってみろってことです」

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タグ : 鈴木敏夫 ジブリ 宮崎駿 高畑勲

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