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2013 参議院選挙@石川【考えよう憲法】

金沢大の「概説」講義から 2

◆平和の根本「人権」◆

 憲法9条の解釈は立憲当初から重大な焦点。9条のもとで、日本は自衛のための戦争を行えるのか。憲法をめぐる究極的な論点はここです」

 石川多加子准教授(48)は、講義でひときわ力を込めた。

 憲法改正といえば9条だけが注目される状況が続いてきたが、改正手続きを定めた96条も浮上してきた。

 しかし石川さんは、やはりあくまでも9条こそが最大の論点、と言い切る。

 憲法9条の政府見解は、自衛のため、必要最小限度の実力を行使することは認められるとの解釈だ。

 「だとすれば、なぜ改正が必要なのでしょうか」。自衛のため以上の戦力を持とうという意図がなければ、改正自体が不自然ではないか。そう指摘する。

〜*三原則*〜

 さらに注目するのは、自民党の改正草案に、国が「国民と協力して」国の主権と独立を守り領土などを保全する条文が盛り込まれた点だ。

 これは国民の人権に直接関わる。

 平和主義、国民主権、基本的人権の尊重は、憲法三原則だ。小学校の社会科でも教わる。

 石川さんは問いかける。「三原則はそれぞれ別個独立したものですか?」

 学生たちから声があがる。

 「どれも関係があって、一つでも欠けたら成り立ちません」「戦争が起きれば、国家によって人権が制限されていくのでは」

 国民主権が機能しなければ人権は保障されないし、戦争になれば国民の権利を制限するのもやむをえないという考えも出てくる。そう説く。

 「三原則はどの一つが潰(つい)えても他のものがむなしくなるという関係性にある」

 日本国憲法は成立の歴史的経緯からも、平和主義への強い動機を持っている。

 前文がうたう「平和のうちに生存する権利」を具体的に規定したものが9条だ、と言う。

 「平和主義の尊重は、国民の権利であり、責務でもあるのです」

〜*人権規定*〜

 憲法学者の間では最も重要な条文として、9条よりも個人の尊重を規定した13条を挙げる声も有力だ。

 だが石川さんは、人権規定も国民主権も、平和があって初めて成り立つと強調する。

 その上で「私の平和論の基本は、実は憲法14条です」。憲法14条は法の下の平等を定めている。

 「人は等しく扱われなければなりません。戦争は必ず誰かに犠牲を強いる。差別がなければ戦争はできない。逆に、差別があるから戦争が始まるんです」

 憲法で13条、14条を含む第3章(国民の権利及び義務)は、多くの人権規定を定めている。

 問いかけは続く。

 「人権というのはけっして絵に描いた餅ではない。しかし、それを本当に効力を持つようにするかどうかは、あなた方次第です」

(樋口大二)

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