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【社説】徴用被害者めぐる日本の財界の主張に失望

 日本の財界を代表する日本経済団体連合会(経団連)、日本商工会議所、経済同友会の経済3団体と、日本企業を中心につくる日韓経済協会は6日、第2次世界大戦中に日本による徴用被害を受けた韓国人の対日請求権問題についての声明を発表した。その内容は「韓国人が日本企業を相手取り起こした請求権問題は、今後韓国向けの投資やビジネスを進める障害となる恐れがあり、両国の貿易投資が冷え込む恐れがある」というもの。日本の経済団体が共同声明を出すのも異例だが、韓日間の経済協力が冷え込む恐れがあることにまで言及したのは尋常ではない。

 かつて日本により強制徴用された朝鮮人被害者について、韓国の裁判所は最近になって日本企業の賠償責任を認める判決を立て続けに下している。これらの判決が確定した場合、ポスコの発行済み株式の5%を保有する新日鉄住金(旧・日本製鉄)など、日本企業が韓国国内に保有する資産に対する強制執行が行われる可能性もある。日本の財界による声明は、このような状況に対する危機感から出たものと考えられる。

 日本の外務省は5日、同省のホームページで韓国を批判する文書を掲載。その中で「1965年の韓日請求権・経済協力協定に基づき、(請求権問題は)『完全かつ最終的に解決済み』」であるとあらためて強調した。外務省はこの報告書を日本の政権与党である自民党にもすでに提出したという。日本の経済団体による共同声明も、日本政府・与党とすでに調整を終えているものと考えるのが妥当だろう。

 日本の財界から出たこれら一連の主張については、まさに失望を禁じ得ない。韓国の専門家は日本により強制徴用され、賃金をまともに受け取れなかった朝鮮人の数を20万人、未払い賃金の額を当時の通貨で2億円に達すると試算している。かつて朝鮮人を強制労働させた日本企業は1493社で、うち299社は今も経営を続けている。これらの企業は当然のことながら、今回の共同声明を出した経済3団体の会員でもある。第2次大戦を起こしたドイツは政府次元で被害者への賠償を行い、戦犯も断罪したが、これとは別にダイムラー、BMW、シーメンスなどの企業は、ポーランドやチェコの強制労働被害者のために620億ユーロ(約8兆3000億円)を拠出した。

 2012年の韓日両国の貿易総額は1032億ドル(約10兆2000億円)に達している。日本は韓国にとって中国の次に大きな貿易相手国であり、また韓国も日本にとって中国、米国に次ぐ3番目の貿易相手国だ。ところが政治や外交問題に伴う韓日間の対立が、経済・社会・文化などさまざまな領域に影響を及ぼす兆しが見え始めており、最近は両国の国民感情までも悪化する事態に発展している。日本による韓国への直接投資は今年に入って40%近く減少し、韓国を訪れる日本人観光客も昨年に比べて26%も少なくなっているという。このような状況であるにもかかわらず、韓日両国政府や財界の間では対話のチャンネルが全く稼働していない。両国の政府と企業は現状を直視し、問題解決に向けて深く考え行動を起こすべきだ。

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