日本最大級のコリアンタウン、東京・新大久保。
今、ここで激しい罵声を浴びせかけるデモが毎月、行われています。
「在日朝鮮人、ぶち殺せー!」
「在日韓国人、朝鮮人のやりたい放題、誰が許すか!」
デモの主催者によると、この日の参加者はおよそ300人。
1時間以上にわたって、在日韓国・朝鮮人に対し、差別的な言動を繰り返しました。
双方の小競り合いがエスカレートして逮捕者が出る事態になりました。
韓国化粧品店の店員
「日本が好きで来てるので日本と仲良くしたいんですけど、今もう涙が出そう。」
日本人の客
「こういうことをやっていても、いがみあっても何も生まれないと思う。
見ててちょっと悲しくなる。」
デモを行っている団体の一つが開設しているホームページです。
ネットを通じて会員やデモの参加者が集まり、規模を拡大させてきました。
7年前に創設され、現在、1万3,000人を超える会員がいるとしています。
世界各地のデモを研究している高千穂大学の五野井郁夫(ごのい・いくお)さんです。
ここで行われているデモは明らかにヘイトスピーチだと指摘しています。
ネット上ではこれまでも在日韓国・朝鮮人に対する差別的な書き込みが見られました。
それが去年(2012年)、日韓関係の悪化に伴い一気に表面化したと分析しています。
高千穂大学 五野井郁夫准教授
「(ネット上に書き込まれた)“排除しろ”“国交を断絶しろ”、そういった表現が現実の空間の中にデモという形で、今回現れてしまっている。」
デモの参加者には、若い世代も目立ちます。
なぜ過激な言葉を投げかけるのか。
デモの参加者に質しました。
30代前半の女性
「好きな日本が(韓国に)おとしめられているのに、怒らない人がどこにいるんですか。」
デモを行っている団体に所属する会社員の男性です。
参加のきっかけはインターネットだったといいます。
男性会員
「インターネットの動画で(デモを)見ていたが、直接相手の懐に飛び込んでストレートに抗議する。
“日本人は怖いんだぞ”と。
それにすごく感激した。」
デモの言動は行き過ぎではないのか。
この質問に対して男性は反論しました。
男性会員
「何かあるたびに向こうの人は日本大使館に嫌がらせをしている。
あれと同じ心境で、“だったらうちらも”ということ。
韓国人街でああいうことをやることで、相手方に嫌な思いをさせる。」
男性は持論を展開する一方で、参加者の中には日頃の不満のはけ口にしている者もいると明かしました。
男性会員
「在日社会を攻撃する、韓国人に対して罵声を浴びせる。
それをやることによって、自分の不遇な人生を満たしている。」
新大久保でのデモを見続けてきた五野井さん。
ヘイトスピーチを放置していると、差別を容認する社会になってしまうと危機感を募らせています。
高千穂大学 五野井郁夫准教授
「ヘイトスピーチという、他人を傷つける表現が日常として当たり前になってしまう社会、敵意をむき出しにするような社会ができてしまう。
それは大変問題だと思っています。」