女性誌デザイナーの技術を盗め!40秒で髪の毛を切り抜くPhotoshopの神ワザ

    
2013/08/06
    


おそらく日本で一番女性の髪の毛を切り抜いている職業、女性誌のデザイナー。今回は女性誌デザイナーに教わったPhotoshopの神ワザをご紹介します。


背景が白バックの場合

背景が白バックの場合や髪と背景のコントラストがハッキリしている場合、「背景消しゴムツール」を使って切り抜きます。

今回切り抜くのはこういう写真です。
(提供:modelpiece

まずはクイック選択ツール(ショートカットはWざっくりと服・肌だけを選択。クイック選択ツールで髪を選択すると選択範囲が広がりすぎてしまう傾向がありますので、ここでは選択しないようにします。

次に選択範囲 > クイックマスクモードで編集(ショートカットはQでクイックマスクモードに入り、選択しきれなかった耳・指などをブラシ(白)で塗りつぶします。間違えたらブラシ(黒)で戻せますので失敗を恐れずどんどん塗ります。

「背景消しゴムツール」は背景と同じ色を切り抜くためのツール。背景色(ここでは白)の同系色(肌色)も消えてしまいますのでしっかり塗りつぶし、マスクしてあげましょう。

クイックマスクモードを抜け、選択範囲 > 選択範囲を反転(ショートカットはCmd + Shift + Iで先ほど選択した部分を反転させます。
背景消しゴムツールで消えてしまいそうな、肌やドライヤーの先端などが選択範囲外になっていることを確認しましょう。
この状態であれば、多少雑に背景消しゴムツールを使ったとしても、間違えて肌まで消してしまうことがありません。

背景消しゴムツールを選択。

背景消しゴムツールのブラシは大きめ、制限は「隣接されていない」、許容値は20%〜45%くらいでざっくりと消します。
ここまでの工程でしっかりマスクしてあげていますので、髪だけをガンガン消せます。

※ わかりやすさのために背景にピンクベタを引いてあります。


背景が簡単なものならこれで完成。慣れれば40秒で切り抜けるはずです。

ちゃんとしたスタジオ撮りの写真など背景が切り抜きやすいものは、背景消しゴムツールを使って、ここまで簡単に切り抜けました。それではポートレートや風景写真など、複雑な背景をもつ写真の場合、どうやって切り抜けば良いのでしょう?


背景が複雑な場合

背景色が髪の色と近く、背景消しゴムツールでは簡単に切り抜けなさそうな場合、「境界線の調整」を使います。

ここではこの写真を扱います。背景と髪、境界部分のコントラストが低く、なかなか切り抜きにくい写真です。
(提供:model.foto


クイック選択ツールで顔や服、髪の毛をざっくり選択するところまでは先ほどの例と同じ。


この選択範囲を「アルファチャンネル1」として保存しておきます。

背景と同化していない(切り抜きの必要ない)髪の部分だけ、やや内側を切り取るように調整します。なげなわツール(ショートカットはLを使い、Optキーを押しながら選択範囲から除外していきます。
服や肌などの髪以外の部分には手を加えないように注意してください。


狭めた選択範囲を、レイヤーとして保存しておきます。レイヤー > 新規 > 選択範囲をコピーしたレイヤー(ショートカットはCmd + Jです。
このレイヤーは、後ほど切り抜きすぎてしまった部分を覆い、修復する大切な役目を持ちます。作業の邪魔になるので「レイヤー 1」の表示をいったん切っておきましょう。


最初に作った「アルファチャンネル 1」のサムネイルにカーソルを合わせ、Cmdキーを押しながらクリック。最初に作った選択範囲を復活させます。


「背景」レイヤーにカーソルを合わせて、選択範囲 > 境界線を調整(ショートカットはCmd + Opt + Rを開きます。
いい感じに髪の毛が切り抜けるように半径を調整してください。
また、スマート半径にチェックを入れないことに注意してください。

【Tips】スマート半径の使いどころ

スマート半径にチェックを入れると、かなり雑な選択範囲でも自動的に切り抜いてくれる点が便利です。そのかわりシビアな調整がやりにくくなってしまいますので今回はチェックを入れていません。


見にくければ「表示モード」を切り替えて確認しましょう。Fキーで順番に表示モードが変更されます。

境界線を調整」ウィンドウ中にある半径調整ツール(ショートカットはEを使って境界線をなぞっていきます。表示モード「白地」の状態で、「半径を表示」にチェックを入れるとわかりやすいです。

エッジを調整。「滑らかに」のレベルは2「ぼかし」を0.1〜0.6pxくらい加えても良いでしょう。

最後に新規レイヤー(レイヤーマスクあり)として出力します。

いい感じに髪の毛を切り抜くことができました。ただし、髪のみに注目して半径を調整していたため、服や肌など、切り抜かなくて良い部分まで削れてしまっています。

ここで最初に保存した「レイヤー 1」を表示させ消しすぎた部分を覆い隠してあげます

これでひとまず完成です。複雑な背景もこの通り。


せっかくならもうひと手間! もう少しだけ完成度を上げます。
写真を拡大するとゴーストのようなものが……。どうにかしてこのにじみを消したいと思います。

境界線を調整」を使うとどうしてもこんなふうにぼけてしまいますので、今度は焼き込みツール覆い焼きツールを駆使して仕上げましょう

さきほど「境界線を調整」する時に「レイヤーマスクあり」の新規レイヤーとして出力しましたので、レイヤーマスクサムネールを選択します。
このレイヤーマスクサムネールに焼き込みツールを使うということを忘れないでください。写真のほうに焼き込みツールを使ってしまうと写真の色が濃くなってしまうだけでゴーストは解消されません。

消したい部分には焼き込みツール足したい部分(背景を抜きすぎてしまった部分)には覆い焼きツールを使い、髪の毛と背景をなじませていきます。特に女性の髪の場合、髪の毛がチリチリでは美しく見えませんのでこの足し引きが重要です。
露光量は55%〜65%くらい、少し控えめなくらいが良いでしょう。

素人の技術でも比較的スッキリと背景になじみました!

今度こそ完成です。


まとめ

いかがでしたか? デザイナーではない、不慣れな筆者でもPhotoshopを使ってここまで簡単に切り抜くことができました。

今回はMac版のAdobe Photoshop CS5.1にて作業しましたが、Windowsの方もショートカットを読み替えて頂ければ同じように髪の毛を切り抜けます。CS5以前のバージョンをお使いの方は、「境界線を調整」が使えませんが、抽出ツールやアルファチャンネルを駆使して同じような切り抜きが行えます。

今回のエントリが少しでも参考になりましたら幸いです。

(執筆/編集 仁田坂淳史、監修 坂本紀子)

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