NSC法案:衆院委で可決…政府、議事録作成に消極的

毎日新聞 2013年11月06日 22時53分(最終更新 11月06日 23時24分)

衆院国家安全保障特別委員会でみんな・畠中光成氏の質問を聞く安倍晋三首相(右)と菅義偉官房長官=国会内で2013年11月6日午後4時40分、藤井太郎撮影
衆院国家安全保障特別委員会でみんな・畠中光成氏の質問を聞く安倍晋三首相(右)と菅義偉官房長官=国会内で2013年11月6日午後4時40分、藤井太郎撮影

 政府の外交・安全保障政策の司令塔となる国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案は6日、衆院国家安全保障特別委員会で自民、公明、民主、日本維新の会、みんなの5党の賛成多数で可決された。7日の本会議で衆院を通過し、月内にも成立する見通し。だが、NSC内部での議論に関する議事録作成は、法案の規定に盛り込まれず付帯決議で言及したのみ。政策決定の過程が将来にわたり検証できない懸念が残った。【朝日弘行、木下訓明】

 与党と民主、維新の4党は採決に先立ち、NSCへの各省庁の情報提供義務をより明確にすることなどを内容とする修正案を共同で提案。さらに、政府に対し議事録作成について「速やかに検討」するよう求める付帯決議をまとめ、ともに可決された。

 特別委で安倍晋三首相は議事録作成について「検証できることも必要なんだろう」と一定の理解を示した。一方で、「機微な議論もある。万が一、それが外に出たら大変なことになる」とも指摘し、慎重な姿勢を崩さなかった。

 政府側が、議事録作成に消極的なのは、首相、外相、防衛相、官房長官による4者会合を中核とするNSCにおける議論では、外国から提供される機密情報を扱うことを想定しているためだ。政府が、外交機密などを漏えいした公務員に厳罰を科す特定秘密保護法案をNSC設置法案とセットと位置づけ、今国会中の成立を目指しているのもこのためだ。

 現在置かれている「安全保障会議」でも、審議内容が機微に触れることや、閣僚の自由闊達(かったつ)な意見交換を確保するため、との理由で議事録は作成されていない。政府筋が「議事録なんて作ったら自由な議論ができない」と語るように、政府内にNSC設置を機に議事録作成を始めようとの雰囲気は乏しいのが実態だ。

 こうした政府の姿勢に対し、与党・公明党の上田勇氏は「将来、意思決定プロセスを検証するには一定の記録を残しておくことも重要な意義がある」と主張。民主党の後藤祐一氏も「国民に堂々と説明できる質の高い政策決定ができるように、議事録は残すべきだ」と求めた。

 だが、民主党は政権の座にあった2010年策定の防衛計画の大綱で、NSC設置を目指す方針を明記しており、議事録作成問題で法案反対に回る事態は避けたかったのが本音。議事録作成の「検討」を求めただけの付帯決議に納得し、賛成に回る中途半端な対応に終わったのには、こうした背景があったとみられる。

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