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「司法の独走」懸念も 挺身隊判決 韓国政府、苦しい立場

2013.11.2
 戦時徴用をめぐる韓国の訴訟で日本企業に賠償支払いを命じる判決がまた出た。従来の見解とは異なる「司法の変質」に韓国政府も苦しい立場をにじませる。
 【ソウル=加藤達也】韓国人の戦時徴用労働者が三菱重工業を相手取った損害賠償請求訴訟で、韓国の光州地裁は対日請求権は有効との判断を示した。
 日本政府や企業は日韓請求権協定(1965年)により、請求権は「消滅した」との立場だ。韓国政府も従来、元徴用労働者らの個人請求権は消滅したとの立場だった。盧武鉉政権は2005年、「個人の財産権や強制動員の被害補償問題の解決金など」については、協定締結当時に日本側が拠出した3億ドルの無償経済協力に「含まれている」との見解を明示していた。
 ただ、最近の韓国の司法判断は異なる。1日の判決は韓国最高裁が昨年5月、三菱重工や新日鉄住金が被告となった別の2件の訴訟で、「個人請求権は消滅していない」とした判断に沿ったものだ。
 政府の従来の立場とも相いれない司法判断が定着しつつあるなか、韓国政府内でも「司法の変質」が日韓関係をさらに悪化させかねないとの懸念が出ている。
 韓国外務省報道官は判決をふまえ、「司法手続きが進行中だ」と政府としての立場表明を回避。この問題をめぐる韓国政府の苦しい立場をにじませた。
 韓国政府の複数の高官は最近、在韓の日本メディアに「司法判断を尊重せざるを得ず、介入と取られかねない働きかけはしない」との姿勢を示しており、日韓関係のさらなる悪化を食い止めるため、朴槿恵政権が政治的リーダーシップを発揮するかは不透明だ。
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