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中国「高速鉄道」コメ払いOK 「日本の技術」流出の恐れ

2013.11.5
 【上海=河崎真澄】中国が高速鉄道の輸出を働きかけているタイとの間で、契約にこぎつけた場合、車両代金など一部をコメや天然ゴムなどタイ産品との“物々交換”で決済する方向で調整していることが、関係者の話で4日明らかになった。農産物の輸出を増やしたいタイの思惑に、中国が“経済外交カード”を切った格好だ。ただ、中国の高速鉄道は日本企業が「中国国内限定」で供与した新幹線技術をベースに造られており、輸出は契約違反にあたる疑いがある。
 タイはバンコクと北部のチェンマイなどを結ぶ4路線で、海外の技術を導入して高速鉄道を整備する計画で、早ければ来年にも国際入札を行う。日本や独仏勢も関心を示している。
 李克強首相は10月のタイ訪問時に、路線の総延長が9月に1万キロを突破した中国の高速鉄道をアピールした。
 関係者によると、李首相の訪問後、訪中したタイ政府高官が北京や上海などで高速鉄道を視察。その際に高速鉄道の輸出契約が成立した場合、中国はタイ産のコメを年100万トン、天然ゴムを同20万トン輸入し、車両代金の一部などとして相殺することを提案し、合意を得たという。国際入札時に中国がタイに示す決済条件のひとつになりそうだ。
 中国はタイのほか、マレーシアやオーストラリアなど向けにも高速鉄道の輸出を打診している。輸出にあたって中国はODA(政府開発援助)など制度金融を相手国に提示するが、加えて農産物や資源の輸入も新たなカードとして切る。
 他方で中国からの高速鉄道の輸出そのものに疑念もつきまとう。国有企業「南車集団」は高速鉄道「CRH380」型の車両を、川崎重工業から新幹線「はやて」型の技術供与を受けて開発した。
 川重との契約では、供与された技術の輸出は認められないが、中国の関係者は、「あくまでも独自開発の技術で輸出も問題はない」と主張している。
 中国は、2011年7月に浙江省温州で起きた高速鉄道の追突事故で、死者40人を出して「人災」と非難を浴びながら、事故原因の究明や責任追及はあいまいなまま。安全性への懸念を残しながら、高速鉄道の輸出を急いでいる。
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