「ニート」数推移をグラフ化してみる(2013年)(最新)
内閣府は2013年6月18日、2013年版となる「子ども・若者白書(旧青少年白書)」を発表した。今回はその白書の中から、いわゆる「ニート」に相当する属性として分類されている「若年無業者」の推移について最新の情報を抽出してまとめ、状況の精査を行うことにする(【発表リリース:子ども・若者白書(旧青少年白書)について】)。
「ニート」は「NEET(Not in Employment, Education or Training)」の日本語読みをしたもので、そのまま直訳すると「就業、就学、 職業訓練のいずれもしていない人」。今白書では類似概念の「若年無業者」で表現しているが、これの定義は「15-34歳の非労働力人口(状況をかんがみて求職活動をしていない人など)のうち、家事も通学もしていない者」となっている。求職活動と職業訓練はまったくの同一ではないが、意志としてはほぼ同じであり、「若年無業者」と「ニート」はほぼ同列のものと見なして良い。
その「若年無業者」の推移は次の通り。
↑ 若年無業者数(≒ニート)の推移(万人)(-2012年)
そしてもう一つの問題として考えねばならないのは、従来の日本における「ニート」こと「若年無業者数」の定義からは外れるものの、その状態を維持したまま歳を重ねた「高齢ニート(年齢以外の条件は「若年無業者」と同じ)」の存在。白書では参考資料として35-39歳の「高齢ニート」の数を算出しているが、こちらは漸次増加傾向にある。先のグラフの上に、この「高齢ニート」を載せたのが次の図。
↑ 若年無業者数(≒ニート)の推移(万人)(参考属性追加)(-2012年)
従来の「ニート」層が横ばいで推移しているものの、「高齢ニート」は一様に増加しており、両者を足した全体としては漸増する動きにあることが分かる。30代後半以降を「ニート」と称して良いのか否か、根本的な問題はあるが、今後大きな問題になることは確実といえる。さらに現実問題として、一度「ニート」の状態に陥ると、その立場からの脱却が難しいのも事実である。それが「高齢ニート」を生み出す原因といえる。
白書では「若年無業者」について、「仕事に就きたいけれども求職活動をしていない(就業意欲はある)」「仕事に就きたくない・就けない(就業意欲が無い)」それぞれの立場において、その理由の調査結果(2007年のもの)を公開している。大本のデータは「就業構造基本調査」からのもので、5年おきの調査のため、今白書においては2007年のものが最新。とはいえ、今は2013年のため、すでに2012年分が公開されているはず。そこで原典となる【平成24年就業構造基本調査】を探すと、やはり最新の2012年分を確認できた。そこで該当する部分を抽出し、白書に先行する形で最新版の値を反映させ、グラフを生成する。
↑ 若年無業者の非求職理由(就業希望者のうち非求職者)(2012年)
↑ 若年無業者の非就業希望理由(非就業希望者)(2012年)
「職に就きたいという思いはあるが、求職はしていない」人の場合、現在ケガや病気などで求職がかなわない事例がもっとも多く26.5%。次いで資格取得のための勉強をしている、いわゆる「浪人状態」の人。そして「職を探したが見つからない」が続く。一方「就業そのものを望んでいない」人もケガ・病気に寄るものがもっとも多く3割近く。次いで資格取得のための浪人として。上位2項目への偏りがやや大きいものの、就業希望者と大きく変わるところは無い。
内容を項目別に精査すると、
今件の「若年無業者(ニート)」問題は「ニートの状態とは、そもそも何が問題なのか」という根本部分から考察し直す必要があり、そして解決は一筋縄ではいかない。その実態が、今回のデータからあらためて想像できよう。
「ニート」の概念と昨今の動向
「ニート」は「NEET(Not in Employment, Education or Training)」の日本語読みをしたもので、そのまま直訳すると「就業、就学、 職業訓練のいずれもしていない人」。今白書では類似概念の「若年無業者」で表現しているが、これの定義は「15-34歳の非労働力人口(状況をかんがみて求職活動をしていない人など)のうち、家事も通学もしていない者」となっている。求職活動と職業訓練はまったくの同一ではないが、意志としてはほぼ同じであり、「若年無業者」と「ニート」はほぼ同列のものと見なして良い。
その「若年無業者」の推移は次の通り。
↑ 若年無業者数(≒ニート)の推移(万人)(-2012年)
・ニート総数は62万人で前年比プラス1万人若年層の人口そのものが減少していることを考慮すると、若年層の若年無業者数がほぼ横ばいで推移している状況は、あまり好ましいとは言えない。
・若年層(15-24歳)がピーク時の2002年と比べて3万人減少。しかし25-34歳は1万人減少に留まる。
そしてもう一つの問題として考えねばならないのは、従来の日本における「ニート」こと「若年無業者数」の定義からは外れるものの、その状態を維持したまま歳を重ねた「高齢ニート(年齢以外の条件は「若年無業者」と同じ)」の存在。白書では参考資料として35-39歳の「高齢ニート」の数を算出しているが、こちらは漸次増加傾向にある。先のグラフの上に、この「高齢ニート」を載せたのが次の図。
↑ 若年無業者数(≒ニート)の推移(万人)(参考属性追加)(-2012年)
従来の「ニート」層が横ばいで推移しているものの、「高齢ニート」は一様に増加しており、両者を足した全体としては漸増する動きにあることが分かる。30代後半以降を「ニート」と称して良いのか否か、根本的な問題はあるが、今後大きな問題になることは確実といえる。さらに現実問題として、一度「ニート」の状態に陥ると、その立場からの脱却が難しいのも事実である。それが「高齢ニート」を生み出す原因といえる。
ニートになる、ならざるを得ない原因
白書では「若年無業者」について、「仕事に就きたいけれども求職活動をしていない(就業意欲はある)」「仕事に就きたくない・就けない(就業意欲が無い)」それぞれの立場において、その理由の調査結果(2007年のもの)を公開している。大本のデータは「就業構造基本調査」からのもので、5年おきの調査のため、今白書においては2007年のものが最新。とはいえ、今は2013年のため、すでに2012年分が公開されているはず。そこで原典となる【平成24年就業構造基本調査】を探すと、やはり最新の2012年分を確認できた。そこで該当する部分を抽出し、白書に先行する形で最新版の値を反映させ、グラフを生成する。
↑ 若年無業者の非求職理由(就業希望者のうち非求職者)(2012年)
↑ 若年無業者の非就業希望理由(非就業希望者)(2012年)
「職に就きたいという思いはあるが、求職はしていない」人の場合、現在ケガや病気などで求職がかなわない事例がもっとも多く26.5%。次いで資格取得のための勉強をしている、いわゆる「浪人状態」の人。そして「職を探したが見つからない」が続く。一方「就業そのものを望んでいない」人もケガ・病気に寄るものがもっとも多く3割近く。次いで資格取得のための浪人として。上位2項目への偏りがやや大きいものの、就業希望者と大きく変わるところは無い。
内容を項目別に精査すると、
・「病気・けが」などは仕方が無く、回復すれば容易にニート状態から脱せられる可能性は”比較的”高い。などとなり、ひとくくりで全部を「ニート」とまとめるのには多分に問題があることが分かる。また、両パターンで「その他」の回答が多いことから、さらに提示項目だけでは説明しきれない、個々の多種多彩な事情も想定される。
・「学校以外で勉強をしている」などは先を見据えた上で自らその立場についている「若年無業者」であり、問題視されている「ニート」とは本質的な意味合いが異なる。
・「急いで仕事につく必要がない」「特に理由は無い」は、世間一般的に語られる「ニート」の筆頭に挙げられる。
・「探したが見つからない」「希望する仕事がありそうにない」「知識・能力に自信がない」は、「個人の問題(努力不足、現状認識不足など)」「雇用環境の問題」双方の可能性、あるいは両方の複合的な結果による場合があり、一概に振り分けるのは難しい。
今件の「若年無業者(ニート)」問題は「ニートの状態とは、そもそも何が問題なのか」という根本部分から考察し直す必要があり、そして解決は一筋縄ではいかない。その実態が、今回のデータからあらためて想像できよう。
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