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意外に知られていないが、現在の韓国は賃金水準が、名目金額、実質金額ともに下落している状況にある(経済のデフレ化が始まった以上、ある意味で当然なのだが)。韓国の雇用労働部によると、2013年1月時点の韓国の1人当たり月平均賃金総額(常用勤労者5人以上の事業場)は対前年同月比で6・6%の下落であった。さらに、消費者物価上昇分を考慮した実質賃金総額は、対前年同月比で7・9%の下落。
12年1月時点の賃金総額は、対前年同月比で名目、実質ともに10%前後の増加だった。明らかに、12年以降の韓国経済は「過去とは違う」局面を迎えている。
韓国の11年の経済成長率は3・68%、12年が2・04%と、国民経済の規模(GDP)自体が縮小しているわけではない。GDPとは国民経済の「生産」の合計だが、GDP三面等価の原則により、国民に分配された「所得」の合計でもある。
GDPが拡大しているにもかかわらず、賃金総額が名目値でも実質値でも下がってしまうとは、何を意味しているだろうか。企業が稼いだ利益(所得)を従業員に分配せず、他の目的に回しているという話だ。すなわち、労働分配率が下がっているのである。
日本の場合、デフレの長期化で利益から内部留保(現金・預金)に回す割合を増やしている。それに対し、韓国はもちろんオーナーや外国人投資家への配当金だ。
今後、韓国のデフレが深刻化すると、賃金水準はさらに下落する。とはいえ、国内の人件費が引き下げられることは、サムスン電子や現代自動車などのグローバル企業にとっては吉報だ。人件費を圧縮し、純利益を拡大することでオーナーや外国人投資家への配当金を増やすことが可能となる。