会話型心理パーティーゲーム「人狼」の人気が広がっている。人狼にはまり会社を作った人たちも。司会者を派遣する「出前人狼」や、オリジナルカードの作製、政治家を集めてのゲーム大会イベントなどを行う彼ら。「人狼の楽しさをもっと多くの人に広めたい」と意欲を見せている。

　人狼は、村人と、村人に化けた人狼のプレーヤーが、議論を重ねることで他プレーヤーの正体を割り出し、それぞれの陣営を勝利に導くことを競う戦略ゲーム。ゲームの内容がテレビで紹介されたり、関連書籍の出版、各種イベントなどが行われており、一般への認知も進みつつあり流行の兆しが出始めている。

　「株式会社訪問美容サービス」（千葉県市川市）社長の高橋一成さん（２８）ら、大の人狼好きの約３０人が、株式会社人狼（東京都渋谷区）を創立したのは２０１２年２月６日。人狼の「じ（２）んろ（６）う」に合わせての会社設立。メンバー全員が、仕事を持ちながら休日などを会社運営の時間に充てている。

　「人狼おもしろいね！　せっかくだから初心者でも気軽に遊べ、イラストのかわいい人狼カードを作ろう」というのが会社設立のきっかけ。クリエーターや起業家らが、不特定多数の人から出資を募るネットサービス「キャンプファイヤー」を利用してカード「うそつき人狼」の製作費の一部を得た。

　高橋さんは、ゲームを紹介する全国開催のイベント「人狼会」に顔を出し、参加者との交流を深めている。その理由の一つに、会社設立時に受けた批判や指摘があるという。

　「キャンプファイヤー」で資金調達をした際に、すでにある人狼カードを否定したと取られかねない発言をしたことなどから、既存の人狼ファンから批判された。高橋さんは「各地の人狼会で、当時の配慮不足から生じたことへの謝罪や、説明をして回っています。コミュニケーションを深めることで少しずつですが、当社の活動を理解、応援いただけるようになったようです」と手応えを感じている。

　同社は、東京や関西のゲームマーケットへの出店、大学の学園祭で行われる人狼イベントへの参加、企業や団体向けの司会者派遣サービス「出前人狼」などを行っている。また昨年６月には、関東地方の区議、市議らの政治家が集まり人狼をプレイする「政治家が初めて嘘をつく！政治家人狼」イベントを開催。その模様はニコニコ動画で放送された。