WiLL 11月1日(金)14時51分配信
これについては、山本と三宅に共通する「選挙参謀」と噂される斉藤まさし(本名・酒井剛)の存在が週刊誌等で取り上げられている。
斉藤は極左ミニ政党「市民の党」(旧称MPD・平和と民主運動)の代表。ブント(共産主義者同盟)系の流れを組む新左翼の活動家で、かつて革新系国会議員に対してもその当選の一翼を担い、・無党派選挙の神様・とまで呼ばれた存在だという。
だが今回、彼が山本らに基礎的選挙ノウハウの伝授やボランティアの一部に貢献したことは想像に難くないが、近年では「(数百票を争う)市議選レベルで勝つのが精いっぱい」(週刊誌報道)との退潮ぶり。当選ラインが最低六十万票とも七十万票ともされる東京選挙区で、斉藤が山本の当選に必要なもう三十万票に対して、どれだけの決定打を与えられたのかはかなり疑わしい。
山本の当選には単に「脱原発」の風潮に便乗したもの、というだけでは説明できない違和感がある。「大飯原発再稼働阻止」を標榜した首相官邸包囲デモは二〇一二年の四月から起こり、同年の夏に最高潮を迎えて三万人とも四万人以上(渋谷集会では七万)ともいわれるデモ人数を数えたが、一旦再稼働と決まると急速にその参加人数は萎んだ。
同年十二月、私はその当時まだ続いていた包囲デモの現場を見に、永田町へ向かった。
社民党の福島みずほがピンク色のスーツを着て路上ライブの一団と合流していたが、なにやら燃えカスのような感じで人数はせいぜい多くて五百人。往時の盛り上がりなどなく、社民党・共産党の下部組織や旧総評系のアジビラが、怪しげな構成員によってばら撒かれるだけの惨状であった。
その後、大規模な「反原発デモ」は再開されることなく、衆院選、そして参院選を迎えている。当時、首相官邸前で熱狂した彼らがまた蘇って山本に投票したとでも言うのか。それとも──。
「山本太郎さんや三宅洋平さんの話は飽きない魅力がある。わかりやすくいまの問題を訴えかけてくれるから共感する。ファッションセンスも素敵で、従来の選挙方法にはない手法も新鮮」
と語るのは、都内でアパレル関係の仕事をするAさん(女性)。小選挙区では山本、全国比例では三宅に投票した。特段、反原発の訴えに心酔したわけではない。官邸包囲デモにも行ったことはない。社民・共産の党員というわけでもない。「政治的にはノンポリに近い」と自称する。
むしろ、原発以外のTPPや若者問題(雇用)での両者の訴えに興味を持った。山本の街頭演説や、三宅洋平が渋谷で開催した「選挙フェス」に足を運んだ。街頭を埋め尽くす若い聴衆の数に、「世の中が変わる」ことを感じた。三宅が「選挙フェス」で憲法九条を朗読した時には「心が震えた」という。
彼女のフェイスブックページを覗いた。間接照明のカフェでの週末。家具に凝った座席数の少なそうなレストラン・バーでのディナー。長毛種の室内小型犬との戯れ。そういうものを嫌味にならずさりげなく写真で投稿するところに、生来の生活水準の高さとでもいう「余裕」を感じた。
最終更新:11月1日(金)14時51分