東京・渋谷区:条例改正 公開請求制限に「時代に逆行」批判

毎日新聞 2013年10月28日 東京朝刊

 東京都渋谷区は情報公開条例を改正し、今月11日に施行した。大量の情報公開請求など「権利の乱用」と判断した場合に、請求を却下することができる規定を新たに設け、開示文書のコピー代も来年1月からA4判で1枚10円から20円に値上げする。区は必要性を訴えるが、識者は「情報公開を進めようとする時代の流れに逆行している」と批判。他の自治体への波及を恐れる声も上がっている。【戸上文恵】

 9月9日、渋谷区の定例区議会本会議。桑原敏武(くわはらとしたけ)区長は「1件で5000枚を超えるような(コピーを必要とする)請求が多発しており、職員は残業や休日出勤をしながら対応するのが実情だ」と条例改正の必要性を訴えた。区長は昨年度の区に対する情報公開請求について、区民からの請求は86件で請求者数が13人であることを明らかにし「限られた人の利用になっている。(昨年度の)1請求当たりの交付枚数の最高は約7000枚。6カ月かけ3回に分けて公開した」と述べた。

 区議会の定数は34。欠員が1あり、現在の議員数は33。議長を除く議席比は区長与党(自民、公明など)20に対し、野党(共産、民主など)12となっている。自民会派は今月8日の本会議で「特定の個人、団体からの大量請求によって事務的な負担が増え、区民の福祉サービスに影響を及ぼす可能性がある」と区長を後押しする主張を展開。共産、民主などが「どのような請求を却下するのか恣意(しい)的な判断がされかねない。開かれた区政の後退につながる」と反論したが、改正案は20対12で可決された。

 改正案は区長の諮問機関「区個人情報の保護及び情報公開審議会」(会長=園部逸夫元最高裁判事)に諮ったうえで提案された。審議の途中で一部のメンバーから「請求を控えさせる目的で制度を変えることには相当慎重であるべきだ」と異論が出たが、8月の答申では権利の乱用を理由にした却下規定の新設について「制度の適正な利用を図る観点から、規定を置く意義は十分認められる」、コピー代についても「相当の労力と費用を要している」として値上げを容認した。

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