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固定資産税償却資産分廃止の場合、県内市町村346億円減収 電源地域の減額幅大

 平成26年度税制改正に向け、自民党税制調査会(税調)が本格議論する償却資産分の固定資産税見直しについて、償却資産分が廃止された場合、県内59市町村の税収は24年度決算ベースで計約346億円(14.52%)の減額となる。県が4日までに集計した。償却資産分は、双葉郡や会津地方の発電関連施設のある町村で税収全体に占める割合が大きい。復旧・復興や過疎化対策に影響が出る可能性もあり、県町村会など地方団体は、関係国会議員らに現状維持を働き掛ける。
 県内各市町村の税収、固定資産税と償却資産分などは【表】の通り。
 東京電力の原子力発電所、火力発電所、送電用の大型鉄塔などがある双葉郡8町村では、広野、楢葉、川内、大熊、双葉の5町村で税収全体に対する償却資産分の割合が60%を超えている。償却資産分が廃止された場合、8町村全体の税収減は約63億円に上り、県全体の減収の20%弱を占める。
 東北電力などの水力発電所が立地する下郷、檜枝岐、只見、金山でも償却資産分の割合は50%を超え、4町村合わせて約20億円の減額となる。檜枝岐村は89.26%で県内最高となっている。償却資産分がなくなれば、村税収入は約5億2370万円から約5620万円に大きく落ち込む計算だ。
 固定資産税を中心とした市町村税は自治体の裁量で使えるため、地域の個別事情に応じた問題解決や行政サービスの維持・向上に充当されている。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復旧・復興や、過疎化対策などを含めた地域活性化策を進める上で貴重な財源となっている。償却資産分の課税が廃止されれば財政の一層の硬直化は避けられず、広野町の財政担当者は「復興に向けた各種計画を立てるためには、自主財源が必要だ。償却資産分がなくなれば財政面の影響はかなり大きい」と懸念している。
 このため、県町村会と県町村議会議長会、県市長会は4日までに、本県関係国会議員らに対し、償却資産分の課税維持を要請した。全国町村会と全国町村議会議長会は今月開くそれぞれの全国大会で、課税堅持を求める決議を採択する予定で、国会議員らへの働き掛けを強める。
 仮に償却資産分が廃止された場合、国は減収分について地方交付税法に基づき地方交付税で75%分まで措置するとしている。ただ、財源確保が課題となり、県は「実際にはどの程度まで補填(ほてん)されるかは分からず、予算規模の縮小は避けられない」と見ている。
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 償却資産分の廃止は、経済産業省が自民党税調に要望した。償却資産分への課税が企業の設備投資を阻害しているとしており、投資の活発化による経済活性化が目標だ。
 福島市の建設関係企業の役員は「税負担が軽減されれば、建設機器の導入などに充てることもできる」と歓迎している。

※固定資産税の償却資産
 会社や個人事業主が事業に用いる機械や工具、備品などを指し、取得価格を基に、耐用年数や取得後の価値の減少分を考慮し、毎年の課税額を決める。発電設備や送電用鉄塔なども対象。所有者は1月1日現在の資産状況を各市町村に申告して納税する。

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