楽天の星野仙一監督が現役時代からの宿敵・巨人を倒して、今年の日本シリーズを制し、初の日本一に輝いた。中日、阪神では何度もシリーズの壁にはじき返され、周囲から“逆シリーズ監督”という屈辱のレッテルを貼られた。楽天では闘将スタイルが地元ファンの反感を買い、体調不良にも苦しんだ。逆境を乗り越えて頂点の座に立った闘将は、この喜びを胸に、また新たな戦いへと挑む。
球団創設9年目で楽天を初の日本一に導いた星野仙一監督が一夜明けた4日、仙台市内で報道陣に対応し「こんなに頭を使った日本シリーズはない。相手がジャイアンツだったから、あれこれ考えたのかもな」と、宿敵を倒して自身初の日本一も果たした戦いを改めて振り返った。
昨夜は盟友の田淵幸一氏や山本浩二氏をはじめ、祝福のメールや電話が200件近くあったという。取材にも追われ疲労の色はあったが、その表情は充実感に満ちていた。
ここまでは戦いの日々だった。星野監督の世間の評価は“逆シリーズ監督”だ。そんな声には「言い訳になるけど、俺(が率いたチームは)はどこも最下位の球団やで。何十年も優勝していないチームや。阪神の時だってシリーズで4連敗すると思ったぐらいや」と笑う。
それでも胸の内では「いつかは見返す」。「オレが日本シリーズに勝てない、というヤツは野球を知らないヤツ」と自分に言い聞かせ、世間への反骨心で指揮を執ってきた。
楽天での3年間は東北の人々とも戦った。就任当初、仙台のファンは「野村監督こそ名将」と09年にチームをCSに導いた野村克也元監督の“信者”であふれていた。すぐ怒鳴る、すぐキレる、温かい声援を送るファンの姿勢に苦言を呈す…。穏やかな県民性に合わない闘将のスタイルはなかなか受け入れられなかった。
ある人気選手がクビになった際には東北一の歓楽街・国分町で、Kスタ宮城の年間チケットの“不買運動”まで起こった。ベンチでムスッとしていると、スポンサーから「もっと笑ってほしい」と苦情を寄せられたこともあった。“総スカン”を食らうことに「俺は仙台では嫌われている」とグチるが、球団史上初の日本一。星野信者は確実に増えたはずだ。
体調も悪かった。第3戦を翌日に控えた10月28日の移動日から持病の座骨神経痛が再発。歩くのもままならない状態に陥り、第6戦の前日にはKスタでの練習に姿を見せず、治療に専念した。「これまでにないくらい相当つらそうでした」(球団関係者)
来季はメジャー挑戦が濃厚な絶対エース・田中抜きのチームを率いることになりそう。闘将の挑戦は終わらない。
一宮競輪開場63周年記念(GⅢ・毛織王冠争奪戦)は29日、決勝が行われ、関東3番手にいた長塚智広が、猛然と迫ってきた浅井康太に伸び勝って優勝を手にした。