フィギュアスケートの東日本選手権(4日、群馬県総合SCアイスアリーナ)女子フリーは、4月に女児を出産しソチ五輪を目指す安藤美姫(25=新横浜プリンスクラブ)が105・24点で1位。13位だったショートプログラムと合計147・21点で2位に入り、なんとか五輪選考会となる全日本選手権(12月、埼玉)の出場権を獲得した。今後は海外で強化を図るが、崖っ縁の状況に変わりはない。中でも「外弁慶」と「四面楚歌」が“奇跡”への深刻な障害となりそうだ。
どうにかソチへの道をつないだ安藤は、珍しく演技直後と順位確定後の2度も取材に応じた。全日本出場が決まるとさすがに安堵の表情で「頑張らないとな~」。さらに「まだまだ本来の自分のレベルになっていない。(世界女王に輝いた)2年前の自分に近づけるよう練習したい」と抱負を語った。
今後はイタリアに渡り、トレーニングを行う予定。日本スケート連盟から発表されている「アイスチャレンジ」(19~24日、オーストリア)以外にも1試合、国際大会からの招待が来ているという。安藤は「ぜひ出たいです」と意欲を燃やすが、“奇跡”が起きる可能性はあるのか。安藤に近い関係者は「日本では練習リンクが日々変わる上1時間しか練習できないが、向こうでは本人が望むだけ練習ができる。海外のほうが評価もいいし、1か月みっちり練習できるし、11月末の大会ではいい点が出るはず。そうなれば全日本につながる」。“逆襲”に自信ありの様子だが…。
現実はそんなに甘くはないだろう。いくら海外で好成績を出しても、全日本選手権で結果を出さない限り五輪はないからだ。実際、現状の安藤は典型的な「外弁慶」。というより、国内試合が大の苦手になっている。この日も「海外のほうが正直リラックスできる」(安藤)「ミキは日本で滑る方がよりハードなようだ」(コーチのリッツォ氏)と本音をポロリ。日本では、精神的な重圧がもろに演技に影響してしまうようだ。
しかも、安藤を取り巻く環境は相変わらず「四面楚歌」だ。勝手気ままな安藤はかねて日本スケート連盟と衝突してきたが、出産告白から復帰後は総スカン状態。連盟を飛び越えて国際大会出場を決めていることもあって「今回の騒動で、日本連盟幹部の誰ひとり、心からは良く思っていないでしょう」とはフィギュア関係者。ジャッジの面でも招待を受けて参加する国際大会と違い、国内大会はシビアなものになる。“海外びいき”の安藤にとって国内は息苦しい限りなのだ。
全日本選手権には日本で絶大な人気を誇る浅田真央(23=中京大)、鈴木明子(28=邦和スポーツランド)が出場。観客を含めた会場の雰囲気はさらに張り詰める。
安藤は全日本での目標を問われると「今の自分の気持ちの弱さに勝つこと」と話した。崖っ縁からの“奇跡”にはあまりに障害が多すぎるが…。
一宮競輪開場63周年記念(GⅢ・毛織王冠争奪戦)は29日、決勝が行われ、関東3番手にいた長塚智広が、猛然と迫ってきた浅井康太に伸び勝って優勝を手にした。