ビッグデータに本格参入のソニーを冷やかに見る先行各社

2013年08月30日 20:42

 ソニーがビッグデータ関連事業の拡大を進めている。同社が開発した非接触ICカード「フェリカ」のデータ管理システムを開発したほか、遺伝子解析装置で世界最大手の米国企業と組み、ヒトゲノムの解析事業への参入も決めた。

 今後、急速な市場拡大が見込まれているビッグデータ産業。ソニーの本格参戦で先発組の各社は戦々恐々と思われそうだが、多くの企業は冷ややかな目で見ている。

 たとえば、「ビッグデータ関連事業で今さらソニーに何ができるのか」とあるITソリューション大手企業の役員が言う。「いくら、市場拡大が見込める分野といっても、すでに世界的なビッグネームが市場を押さえている」からだという。

 ビッグデータ関連事業と一言で言っても、関係するビジネスカテゴリーは多岐に分かれている。ビックデータを蓄積するプラットホーム、データを管理するデータマネージメントシステム、セキュリティ、データ解析と最低でも4つのカテゴリーに分類される。そして、これらカテゴリーごとにすでに世界レベルで大手の企業が存在している。たとえば、プラットホームならば、米国のアルカテル・ルーセント、セキュリティならば、米シマンテックやインテル子会社のマカフィーといったところだ。

 「これらカテゴリーすべてを一貫して提供できる体制を持っているのは、世界でもソフトバンク子会社のソフトバンク・テクノロジーだけ」(IT担当の大手証券アナリスト)の状況で、「グローバルなレベルでは、分業体制がある程度出来上がってしまっている」(同)という側面がある。

 ひるがえって、ソニーがビッグデータ関連で持つ優位性は、今のところ、せいぜいフェリカのデータ管理ノウハウだけ。「データ管理分野は、オラクルなどのビッグネームがすでに事業展開しており、フェリカの生みの親というだけではビジネスに限界がある」(同)。

 今や、銀行と保険が利益の源泉になってしまったソニー。「エレクトロニクスの名にこだわるあまり、ついに、手当り次第に新ビジネスに動き出したのでは」(同)という分析さえ出ている。(編集担当:柄澤邦光)