トルコの原子力発電プロジェクトで、このほど三菱重工業とフランスのアレバ連合による発電所の受注が決まった。当初、三菱重工<7011>は東京電力<9501>と連合を組んでいたが、東日本大震災で東電が離脱、苦肉の策でアレバと組んだおかげで結果的に受注に成功した。
一方、ソフトバンク<9984>は、2014年3月期には営業利益が1兆円を超える見通しであると発表。NTTドコモ<9437>の8,400億円(13年3月期予想)を超えて、移動体通信で日本一となることを宣言した。東電、NTTドコモともに日本のインフラを担ってきた大企業。それらが今、まさに終焉を迎える入り口に立っている。
トルコのプロジェクトでは、中国の受注が確実視されていたという。海外輸出の実績を作るため、なりふり構わぬ安値での入札をしたためだ。ところが、三菱重工がアレバと組んだことによって、形勢は逆転、フランス政府の後押しもあり、「99%ムリ」と言われた発電所の受注にこぎつけた。
一方のドコモは、契約者の減少が止まらない。ソフトバンクとKDDI<9433>が扱う、アップルのスマートホン「iPhone」にシェアを奪われ続けている。
かつては電力と移動体通信でそれぞれ国内インフラのトップ企業として君臨してきた両社だが、現状をみれば、“たそがれ”どき。特にトルコの件では、東電がいなくなってくれたおかげで日本企業が受注できたという皮肉な結果にさえなった。
2社に共通することとして指摘されているのは、「内側しか見ない体質」。事実上の地域独占と総括原価方式で守られ続けた東電は言うに及ばない。また、競争にさらされながら、NTTドコモは、自社規格にこだわるあまり、アップルの製品をいまだに販売できないでいる。NTTグループとしても、ネットで各種の申込をしたにも関わらず、その後は電話連絡で手続きが進められる、ちぐはぐな顧客対応や、世界屈指の研究開発組織を持っていながら、縦割り組織のために技術を融合させた新サービスを提供できないといった内向き志向がまん延している。
バブルがはじけて20年以上経つにも関わらず、未だに右肩上がり経済の幻想にあぐらをかいたままでいる日本の老舗大企業に生きる道はないのではないか。(編集担当:柄澤邦光)