第10話 憎悪
蒼馬が目覚めてから、四日が経っていた。
目覚めて以来、蒼馬はシェムルと彼女に紹介されたお婆様と呼ばれる年老いたゾアンのふたりに、この世界の基礎知識や常識などを教えてもらっていた。
まず、朝起きるとシェムルとともに食事をし、その後はお婆様に預けられる。そこでお婆様から神話や国の成り立ちなどを教えられる。太陽が中天にかかる頃に迎えに来るシェムルとともにテントに戻ると、その後は食事をし、陽が落ちるまでシェムルの手伝いをする。その間、シェムルは蒼馬につきっきりで日常のささいな慣習や禁忌をその都度教えてくれる。そして、陽が暮れれば、テントの中でゾアンの村に語り継がれる物語を歌い語ってくれるのだ。
今朝もシェムルとともに朝食を摂った蒼馬は、彼女に祈祷所まで送ってもらい、お婆様のところに学びに来ていた。
「お婆様。今日も頼む。――だが、昨日みたいに余計なことは教えなくていいぞ」
蒼馬を送ると、やることがあると言って村に戻るシェムルは、立ち去り際にお婆様にそう言った。
「ほう、何のことかのぉ? わしもボケたのか、よく覚えておらんのでなぁ……」
「この、クソ婆が! いらんことは覚えているくせに、すぐボケたふりをする!」
蒼馬は言い合うふたりの横で苦笑するしかなかった。
昨日、蒼馬がお婆様から教わったのは『御子』についてだった。
「おぬしは、『御子』とは何だかわかるか?」
お婆様の問いに、蒼馬は素直にわからないと告げた。
「すでに教えたように、この世界には7柱の神々がおられる。神々は、姿を見せぬが、常に我らを見守っておられるのだ」
この世界のことを教えられて、一番蒼馬が驚いたのは、神が実在するということだった。
自分がいた世界には神がいない、もしくは信じられているが直接姿を見たり話を聞いたりするようなことはないと言うと、逆にお婆様に驚かれてしまった。
「むろん、こちらの世界においても、そうそう神々も我らに干渉してくるようなことはない」
お婆様は、地面を這う蟻(のような虫)の行列を杖の先で指した。
「ソーマよ、おぬしにこのたくさんの虫たちを1匹ずつ見分けることはできるか?」
もちろん、そんなことはできないと言うと、お婆様は「そうであろう」とうなずいた。
「神々にとっても、同じことよ。いくら自分を崇める種族であろうと、ひとりひとりを気にしているわけではない。また、自分の種族が困窮していても、容易には手を貸さぬ」
蟻の行列の前を妨げ、行列を迂回させていた石をお婆様は杖で突いて動かした。すると、動かされた石の下から、湿ったところを好む虫たちが慌てて逃げ出す。
「自分の種族を助けたはいいが、それで他の種族に迷惑をかけてしまえば、神々同士の争いにもなりかねん。たいていの者にとって、神々はいても何かをしてくれるというわけではないのじゃよ」
お婆様は杖の先を蒼馬の額に突きつけた。
「しかし、そのごく一部の例外が『御子』よ」
今はシェムルにもらった鉢巻をしているが、その下にはいつの間につけられたのか、8と∞を組み合わせたような不思議な刻印があることを蒼馬は教えられていた。
「御子とは、神々が特に関心を寄せ、目をかけてやろうと思った者のことよ。その証として、身体のどこかにその神の刻印が現れ、多くの場合には恩寵として力を授かる」
「僕のどこに、そんな関心が……?」
とても自分には、他人の関心を寄せられるものがあるとは思えなかった。自分では、ごくごく平凡な日本人の子供としか思えない。
「それこそ、神のみぞ知る、じゃ。しかし、おぬしが言っておった、この世界に落ちてきたときに声を聞いたことといい、神は並々ならぬ関心をおぬしに寄せているとわしは思う」
「アウラ、でしたっけ? 僕を御子にした神様の名前は」
「あまり大きな声で、その名を言うでない」
お婆様は声を潜めて、周囲に誰もいないことを確認する。
「残念じゃが、わしもアウラがいかなる女神なのか詳しくはわからん。ただ、死と破壊を司る大神であり、おそらくはおぬしをこちらの世界に引き込んだのも、アウラじゃろう」
自分をこちらの世界に引き込んだ女神アウラ。
いったい、その女神はどんな意図をもって自分をこちらの世界に引き込んだのだろう?
「もし、おぬしが元の世界に戻りたければ、アウラにすがるしかあるまい。幸いと言ってはなんだが、おぬしの額に刻印がある限りは、アウラはおぬしに関心を寄せている証拠。いつかアウラと会える日がくるやもしれぬ」
「神と会えるの?」
「もちろん、じゃ」お婆様は大きくうなずいた。「多くの場合、夢や幻覚といった形だが、神と対話することも可能じゃよ。たいていは『御子』として選ばれ、恩寵を授かるときに会うのじゃが……」
「でも、僕は恩寵なんて力はないけど」
すでにお婆様より、いろんな恩寵の形を聞いていた蒼馬だったが、そのいずれも自分に備わってはいないようだ。
「ふむ。珍しいことだが、いまだ恩寵を授かっておらぬのか、もしかしたら普段の生活では目立たぬ恩寵なのかもしれぬな」
「そんな恩寵があるんですか?」
「うむ。たとえば水中で呼吸できる恩寵では水に潜らぬ限りは力を発揮できぬし、過去にあった病気にならない恩寵になると、それこそ調べようもない」
そこで何かを良いことを思いついたのか、お婆様はニヤリと笑った。
「そうそう。あのシェムルも獣の神の御子なのじゃよ」
「シェムルも、ですか?」
それは初耳だった。蒼馬が知る限りでは、シェムルの身体に刻印を見たことはないし、彼女自身も御子であると言ったことはない。
「うむ。獣の神がいかなる恩寵が良いか、あの子にお尋ねになられたとき、あの子は力を求めず、ただ自分の誇りを見守ってほしいと願った。そのため、あの子は自らの誇りにもとる行いができなくなった代わりに、あの子の誇りを汚す者に災いをもたらすという恩寵が得られたのじゃよ」
「災いをもたらす、ですか?」
「まあ、そうたいしたものではない。決闘に毒を用いようとすると、誤って自分を傷つけてしまう、その程度のものじゃよ。もっとも、その度合いによっては、降りかかる災いも大きくなるがな。よっぽどのことをせぬかぎり、痛い目を見る程度じゃよ」
蒼馬もお婆様も知らないことだったが、シェムルが囚われていた砦で中隊長だった人間が、そのよっぽどのことをしでかして悶死していた。
「そうか。シェムルも御子だったんだ」
今の蒼馬にとって、シェムルは唯一頼れる人だ。彼女がいなければ、蒼馬はとっくに野垂れ死にしていただろう。シェムルは恩返しだと言うが、蒼馬の方こそ彼女に感謝しても感謝しきれない恩を感じていた。
そんな彼女と、神は違えど同じ御子であるということは、なんだかとてもうれしいことだった。
「そうじゃ、そうじゃ。後学のために、シェムルに刻印を見せてもらうといい」
いきなり、お婆様はそう言いだした。
「刻印をですか?」
「うむ。わしらゾアンは、このように毛深いため、刻印がわかりにくい。見せるのも、なかなか大変なのじゃよ」
蒼馬も、なるほどと思った。確かにゾアンのように体毛があると、身体に浮き出る刻印は見にくいだろう。
「昼間はシェムルもいろいろと忙しいじゃろう。夜、寝るときにでも『後学のためにも、刻印をじっくりと見させてくれ』と頼むと良い。よいか、絶対に頼むのだぞ」
やけに念を押すお婆様がおかしいとは思ったが、何か理由があるのだろうと自分を納得させた蒼馬は、言われた通りシェムルにお願いした。
そのときのことは、あまり思い出したくはない。
最初は驚いたように目を見開いたシェムルは、それから鼻にしわを寄せたり、口をパクパクさせたりと蒼馬の前で百面相を披露した後、蒼馬と真正面から向き直ると、諭すように言ったのだった。
「ソーマよ。どうせお婆様の入れ知恵だとは私もわかっている。だがな、私の刻印は、だな。その、なんだ。なんというか、左の胸の乳房の上にあるのだ。それをこんな夜に、しかも寝床を整えたときにだ! 仮にも男のおまえに、『じっくりと見させてください』と言われた私の気持ちをわかってくれ。人間のおまえにはわからないかもしれないが、これでも私は年頃の娘なのだぞ」
うんぬんかんぬん。
自分がとんでもないことを言ったことを理解した蒼馬は、シェムルの機嫌が直るまで、ひたすら平謝りするしかなかったのである。
もちろん、実物を目にすることはできなかったが、シェムルに獣の神の刻印は「三本の爪痕」と教えられた。
「では、また昼過ぎに迎えに来る。それまでは、ここで待っていてくれ」
お婆様との口げんかを終えたシェムルは、蒼馬にそう告げると、村へと下りて行った。
それを見送っていると、お婆様がニヤニヤとこちらを見つめているのに気づいた。気味が悪いので、やや身体を引いて「どうしました?」と尋ねると、お婆様は満面に笑みを浮かべて、こう言った。
「あの子の胸は、どうだった? デカかったじゃろう?」
蒼馬は呆れ返って空を仰いだ。
◆◇◆◇◆
蒼馬は、どうしたものか悩んだ。
お婆様に教えを受けているとき、蒼馬の知らないゾアンが尋ねてきた。蒼馬を横目でにらみつける、そのゾアンに「族長が呼んでいる」と告げられたお婆様は、話の途中で切り上げることを蒼馬に詫びてから、そのゾアンとともに村に下りて行ってしまったのである。
その際、くれぐれもシェムルが迎えに来るまではひとりで帰ろうとはしないように念を押された蒼馬は、仕方なくひとりで時間をつぶすことにしたのだった。しかし、シェムルやお婆様に、ここが神聖な祈祷所であることを教えられていた蒼馬は、そのあたりのものを勝手にいじくったり、歩き回ったりするわけにもいかず、時間を持て余していた。
仕方なく祈祷所のはずれあたりにある石の上に腰掛け、シェムルが来るのを待っていた。
一向にシェムルの姿が見えないのに蒼馬が待ち疲れた頃、近くの茂みが、がさりと音を立てた。
何か動物でも出たのかと、蒼馬は立ち上がって警戒する。日本でも冬眠をしそこなった熊に襲われた人のニュースは毎年のように聞く。ましてや、ここは異世界なのだ。蒼馬の知らない熊よりも危険な動物がいないとも限らない。
「……?! こ、子供?」
しかし、茂みから出てきたのは、ふたりのゾアンの子供であった。
背丈は蒼馬の腰ほどしかなく、やや大きい方の子供が女の子っぽい子供の手を引いている。おそらく兄妹なのだろう。おそろいの貫頭衣のような服を着ていた。
「お兄ちゃん、人間?」
おそらく人間を初めてみるのだろう。男の子が目をくりくりさせながら訪ねてきた。
「あ……うん。人間、だと思う」
こちらの人間のことはよくわからないが、おそらく同じ人間でいいのだろう。
蒼馬がそう答えると、女の子が男の子の背中に隠れる。
「お母さんが言っていた。人間は怖いの。あたしたちをイジメるの」
男の子は女の子をかばうようにして立ち、ふたりは後ろに下がる。必死に妹を守ろうとする男の子の姿が微笑ましかったが、このままではとんでもない勘違いをされてしまう。
「ぼ、僕はそんなことしないよ! イジメたりなんか、しないから」
慌てて蒼馬が両手を振って否定すると、ふたりは「本当?」と言うように上目使いでこちらを見つめる。蒼馬はふたりを安心させようと、笑顔を作った。このとき、シェムルに「ゾアンに歯を見せるのは、威嚇だと取られるぞ」と指摘されたことも忘れない。
不器用な蒼馬の笑顔だったが、子供たちには通じたようだ。蒼馬に敵意がないとわかると、今度は興味津々といった様子で近寄ってきた。
「ねえねえ、お兄ちゃんは良い人間なの?」
「う~ん。良い人間なのかな? 悪い人間じゃないとは思うけど」
「ねえ、どっち? どっちなの?」
子供たちの様子に、隣の家に住んでいた子供のことを思い出す。来年、小学校に上がると言っていた男の子も、近所に同い年の子供がいないせいか、蒼馬にやけになついていた。
子供は、人間もゾアンも、たとえ世界が違っても変わらないんだな、と思った。
「ねえねえ。このお兄ちゃんは悪い人間じゃないから、これを使わなくていいの?」
穏やかな気持ちで兄妹を見つめていた蒼馬の心臓に、冷水がかけられた。
女の子が服から取り出したのは、柄頭の輪に紐を通して首から吊るされた短剣だった。よく見れば男の子の首にも、同じような紐がかけられている。
「うん。このお兄ちゃんは、悪い人間じゃないみたい」
「なら、よかったね」
「うん。よかったね」
にっこりと微笑みを交わす兄妹だったが、蒼馬の方は彼らの異常な言動に緊張していた。あまり刺激しないように、やさしくふたりに問いかける。
「使うって、それをどうするの?」
シェムルやお婆様に話を聞く限りでは、この世界の文明は古代から中世にあたるようだ。その頃は、法の支配が行き届いていない場所も多く、そうした場所を支配するのは単純な暴力だった。
おそらく、この子供たちもそうした暴力にさらされたとき抵抗するため、短剣を持たされているのだろう。
改めて現代日本との違いを感じた蒼馬だったが、この世界の現実はより悲壮なものだった。
「悪い人間に捕まる前に、これで咽喉をつきなさい、って言われた」
「捕まると、とってもひどい目に遭うから、そうしなさいって」
しばらく蒼馬は、言葉が出なかった。
この子たちの親は、子供に自決しろと教えているのか?
そして、そのことをこの子たちは当たり前のことと思っていることに、蒼馬は信じられなかった。
「ヂェタ~?! シェポマ~?!」
遠くで誰かを呼ぶ声が聞こえてきた。
「あ、お父さんと、お母さんだ」
「ちち、はは~! こっち~!」
どうやら子供たちの親がふたりを探しに来ていたようだ。両親がこちらに登ってくるのを見つけた子供たちは、うれしそうに手をぶんぶん振っている。
「ヂェタ?! シェポマ?!」
言葉の内容は同じなのに、先程とは違う切迫した響きの声があがる。
どうしたのだろうと、蒼馬は子供たちと顔を見合わせて首を傾げた。
突然、蒼馬の左頬に激しい痛みと衝撃が走った。その痛みと衝撃に、身体が地面に横倒しになる。驚きに目を瞬かせた蒼馬は、駆け寄ってきたゾアンの男に自分が殴り倒されたことに気づいた。
「この薄汚い人間め! 俺たちの子供たちに何をする!?」
蒼馬を見下ろすゾアンの目は、憤怒と憎悪で燃え盛っていた。
父親の剣幕に驚いた子供たちが目に涙を浮かべて火がついたように大声で泣き出した。
「ヂェタ、シェポマ! 大丈夫だった?!」
母親と思われるゾアンの女が、そんな子供たちを抱きしめ、蒼馬から引き離す。
「貴様ら人間は、俺たちから土地や家を奪うだけではなく、子供たちまで奪うのか?! この地獄の底で糞尿をあさる怪物め! 殺してやるっ!!」
ゾアンの男は腰から山刀を抜き放った。
生まれて初めてぶつけられる本物の怒りと憎悪と殺意に、蒼馬の身体は震えあがった。
殺される?!
なんでだ? 僕は何も悪いことはしてないのに、なぜ?! なぜ?! なぜ?!
恐怖と混乱に、頭蓋骨の中で脳みそが沸騰する。悲鳴も助けを求める声もあげられないまま、ゾアンが振り上げた山刀の動きを目で追うだけしかできない。
大きく振りかぶった山刀の刃が、ギラリと光る。
死ぬ?!
蒼馬の脳天に落とされる山刀。
「やめろっ!!」
それを間一髪で制止したのは、ようやくやってきたシェムルであった。
シェムルは山刀を振りかぶったままのゾアンをきつい眼差しで制止しながら、ゆっくりとした足取りで泣き声をあげる兄妹に歩み寄った。
「泣くな、ヂェタ。おまえは兄なのだから、しっかりしなければ妹は守れないぞ。シェポマも、あまり泣いて母様を困らせてはいけないな」
シェムルがやさしくそう諭すと、兄妹はまだしゃくりあげてはいたが、泣くのをやめた。そのふたりの頭を「偉いぞ」と言いながら、なでてやった。
「ヂェタ、シェポマ。あの人間が、おまえたちに何かしたのか?」
ふたりの目線に合わせるように片膝をついたシェムルが優しく問いかけると、ふたりはそろって首を大きく左右に振る。
「お兄ちゃんとお話ししてただけ」
「うん。お話ししてただけ」
シェムルは「そうか」と小さくつぶやくと、もう一度ふたりの頭の毛をグシャグシャと撫でまわしてから、山刀を抜いたゾアンの男に振り返った。
「そういうことだ。その人間は、何もしていない」
「ですが、御子さま! こいつは人間でっ!」
そう反駁したゾアンの男だったが、シェムルが開いた右手を自分の左胸にそえたのに、男ばかりか子供たちを抱きしめていた母親からも驚きの声があがる。
「その人間は、私の恩人なのだ。どうか見逃してやってほしい」
ゾアンにとって、この左胸に手を当てる仕草は、「この心臓をかける」という意味のジェスチャーである。それは現代日本の「一生のお願い」のような形式的なものではない。もし本当に心臓を要求されれば、その場で心臓をえぐらねばならない。それができなければ一生臆病者とそしられても仕方がない。それぐらい、よほど重要なときにしか使われないジェスチャーである。
御子にここまでされては引き下がらないわけにはいかなかった。男は最後まで蒼馬をにらみつけながら、妻と子供たちを連れて村に下りて行った。
彼らの後姿を見送っていたシェムルは、小さくため息を洩らすと、まだ倒れたままでいる蒼馬に手を差し伸べる。
「災難だったな、ソーマ。だが、悪く思わないでくれ」
シェムルの手を取り立ち上がった蒼馬だったが、さっきの恐怖がぶり返し、小刻みに震える身体を自分で抱き留める。
ぎゅっと目をつぶって恐怖が過ぎ去るのを待ちながら、蒼馬は思い返してみた。
蒼馬も、村のゾアンたちが自分を見る目が違うことには気づいていた。しかし、自分たちと違う種族を毛嫌いしている程度だと勝手に思っていた。
だが、先程のゾアンの怒りと憎しみは、そんなものではなかった。
「ねえ、シェムル。人間とゾアンには、何があるの? なんで、こんなに憎んでいるの?」
そう尋ねる蒼馬に、シェムルは顔をゆがめた。ゾアンの表情がいまだにわかりにくい蒼馬だったが、それでも彼女が悲しそうな顔をしたことがわかった。
「本当なら、もう少しこの世界のことを知ってもらってから教えるつもりだったのだが、これもいい機会なのだろう。――ついてこい、ソーマ」
そういうとシェムルは村ではなく、山の中へ歩き出した。
「この世界のゾアンと人間のことを教えよう」
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