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補助金不支給

2013年11月6日

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排斥を正当化するのか

 多くの外国人が暮らし、その存在に支えられてきた「国際港都」の歴史に汚点を残す判断だ。

 横浜市は本年度、外国人学校に支給してきた補助金を朝鮮学校には出さないと学校側に伝えた。「国際情勢」を理由に持ち出す不条理は看過できない。在日コリアンに憎悪を向ける昨今の排外主義や排斥行為を助長するものでもある。

 私立外国人学校補助金は「国際港都横浜における国際交流の増進及び私学教育の振興を図る」ことをうたい、1982年から外国人学校に支給されてきた。中華学校やインターナショナルスクールも対象だ。

 ところが市は2月の北朝鮮の核実験を受け、支給手続きを留保。対象を定めた要綱を見直し、「国際情勢を鑑み、補助金の趣旨に反すると市長が認めた外国人学校は支給の対象にしない」との条項を加えた。不支給はこの一文を根拠にしている。

 これはもう、事実上の敵視政策といえる。北朝鮮と「交流を増進」する必要もなく、在日の子どもたちの「教育の振興を図る」必要もないと宣言したも同然だ。国際情勢と外国人学校の支援を結び付けた条項それ自体が協調と融和の理念に背くものとして、国際社会の批判を招こう。

 国同士の関係がどうあれ、地域社会の一員である在日外国人の権利を等しく守るのが自治体の責務だ。事実、拉致問題を理由に高校無償化の対象から朝鮮学校を排除した国とは一線を画し、補助金を出し続けている自治体は全国に数多い。「政治と教育は区別して考えるべきだ」との説明で市民の理解も得られている。

 林文子市長は「市民の理解が得られない」と言う。では、在日コリアンはその目に市民として映っていないのか。この街に暮らし、税金を納め、市の財政を支えてもいる。日本の植民地支配で奪われた民族の言葉や文化を取り戻すために始まった学校の歴史はどう理解され、国際ルールとして子どもの権利条約でもうたわれている民族教育の保障は、どう認識されているのだろう。

 朝鮮学校側は、市長に授業を見学した上で判断してほしいと伝えてきた。市の文書での回答は「予定はございません。(国際情勢が好転した場合は、職員が見学させていただくことを考えております)」であった。今は職員すら足を運べないという「情勢分析」が、市の姿勢の異様さをさらに浮き彫りにしている。


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