日本経済新聞社

小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
印刷

孫や子とお得に旅行 シニア向け割引を使いこなす

2013/10/19 7:00
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

 秋の観光シーズン。今どきのシニアは孫と旅をする人が多いらしい。人気スポットでは対応した割引メニューが広がる。鉄道のシニア割引と併用すれば、さらにお得になる。いつまでも楽しくお得に旅ができるシニア向けサービスを、2回にわたり紹介する。

 「旅先でくるくる変わる孫の表情を見るのが楽しい。旅の楽しみも2倍、3倍になる」と話すのは埼玉県で年金生活を送るAさん(63)。夫婦で年に数回は旅行に出る。2年前に孫が生まれてからは、娘夫婦や孫も一緒に旅行するようになった。

■強まる家族の絆

 先月は総勢10人でシンガポールへ。リゾートホテルでの滞在や買い物を楽しんだ。「元気に楽しむ。家族旅行で絆も強まった」と満足げだ。

 親、子、孫の3世代で旅行しようと考える人は増えている。JTBが今夏の旅行計画について1200人に調査したところ、「3世代」で旅行がしたいと答えた人は12%。昨年に比べ6ポイント増と伸び率は最も高かった。JTB総合研究所の主任研究員、早野陽子さんは「団塊世代が65歳を迎え退職したことが大きい。3世代旅行は今後も増える」とみる。

 実際、親、子、孫が一緒に出かけるのを想定した旅行プランや割引サービスも目立ってきた。孫との旅行を考えるならチェックしておこう(表A)。

 エイチ・アイ・エスが主に成田・羽田発着の海外ツアーで実施する「3世代割引」はその一例。3世代旅行の代表者の旅行代金から1万円を割り引くもので、年間100以上のツアーに設定。11月下旬から、来春までのツアーも募集する予定だ。

サンリオピューロランドでは2009年からシニア向けの割引を開始。年間約1万人が利用する

サンリオピューロランドでは2009年からシニア向けの割引を開始。年間約1万人が利用する

 3世代での利用に割引や特典を設けるホテルやテーマパークも少なくない。プリンスホテルは今夏から孫と祖父母が一緒に利用すると、施設の料金などが割安になる「孫旅」を展開。現在は京都散策やゴルフのプランなどを用意。ゴルフプランは18歳未満ならプレー料金が無料になる。

 東京ディズニーランドなど人気のテーマパークには、60代からのシニア割引がある。サンリオピューロランドの入場割引券は、ホームページから印刷した券を持って行けば、本人と同伴者合わせて5人まで入場料を割り引く。

 多くの施設が子供料金も用意しており、合わせて利用すれば費用を抑えられる。事前にテーマパークのホームページなどで確認しておこう。

 シニア世代の旅行では以前から鉄道会社の会員サービスが充実している。これらを上手に使うことも旅の基本だ。

 JR各社の「ジパング倶楽部」はその代表格。男性は65歳から、女性は60歳から加入できる。全国のJR線が最大3割引きになるなどメリットは大きい。年会費は1人3670円だが、夫婦で加入すると6120円と割安だ。

■保険には入ろう

 旅行ジャーナリストの村田和子さんは「特にお得度が高いのは期間限定の乗り放題切符。割引率が高く、旅先への往復だけでももとがとれる場合が多い」と話す。

 例えば、JR東日本の主に50歳以上の会員組織、「大人の休日倶楽部」では、年に数回「大人の休日倶楽部パス」という特別切符を発売する。4日間で東京から秋田まで新幹線で行き、青森をまわって帰ると、通常は交通費が1人3万円以上かかる。だが、パスを使えば1万7千円で済む。他社にも同様のサービスがあるので、表Bを参考にしてほしい。

 もっとも、割引サービスを使いつつ費用を惜しんではいけないものもある。旅行保険だ。ファイナンシャルプランナーの竹下さくらさんは「海外旅行に行く際は保険を検討すべきだ」と助言する。海外でけがや病気になった際、保険に入っていないと受診できなかったり、医療費負担が高額になったりする。体に衰えが出てくるシニア世代は、そのリスクを無視できない。

 最近は、70歳以上の人も入れる保険や持病の悪化にも対応する旅行保険がある。「病気の治療への補償が手厚いものを選ぶのが一つのポイント」(竹下さん)という。もちろん、体に負担がかからないよう、旅程に余裕を持たせることもお忘れなく。(川本和佳英)

[日本経済新聞夕刊2013年10月15日付]


このページを閉じる

本サービスに関する知的財産権その他一切の権利は、日本経済新聞社またはその情報提供者に帰属します。また、本サービスに掲載の記事・写真等の無断複製・転載を禁じます。