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掛布DC若虎にゲキ「結果だけ考えるな」

 レギュラーへの近道は「急がば回れ」だ。阪神は5日、安芸キャンプ中の12日にオリックス戦(高知東部)、16日に韓国LG戦(安芸)の練習試合を行うと発表し、掛布雅之GM付育成&打撃コーディネーター(DC=58)が異例のエールを送った。来春キャンプのメンバー枠をめぐって、1軍ボーダーラインの若虎にとって目の色を変える2番勝負だが、掛布DCは心境を見透かしたように制する。

 「結果だけを考えて打席に入ってほしくない。今までやってきたことを、タイミングの取り方だったり、形やプロセスが大切。来年の2月に1軍キャンプに参加したいだろうけど『結果、結果!』にならないでほしい。まだ時間はある。ふるい落とされ、2軍に落ちても、シーズンは長い」

 大木ほど、根を深く広く巡らす。掛布DCの視線は来年2月に向いていない。秋は揺るぎなき力を身につける時期。「焦って結果を求めるより自分の形にこだわってほしい。いい失敗をしろということ。僕も失敗をたくさんした」と続ける。通算349本塁打のミスタータイガースは高卒1年目から腹が据わっていた。

 74年3月のオープン戦太平洋(現西武)戦で、エース東尾から4打数2安打2打点。「東尾さんを打てると思っていない。自分が今までやってきたことをやるだけ」と振り返る。己の信じた道を突き進み、キッカケをつかんだ。「秋の実戦=春季キャンプの1軍枠争い」が常識的な見方だが、掛布DCの思考回路はまるで違う。若虎よ、小さくなるな、大きく育て! 本塁打王の歩みは一流への成功哲学なのだ。【酒井俊作】

 [2013年11月6日11時42分 紙面から]

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