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特定派遣廃止、許可制へ 「常時雇用」形骸化を解消 厚労省

産経新聞 11月6日(水)7時55分配信

 厚生労働省は5日、届け出制で開業できる特定派遣事業を廃止し、すべての派遣会社を許可制の一般派遣事業に移行させる方針を固めた。「常時雇用」を前提としているはずの特定派遣事業で、有期雇用契約の繰り返しが横行するなど、派遣労働者の立場がかえって不安定になっているとの指摘があるためだ。一般派遣事業の許可要件には2千万円以上の資産規模や責任者講習の受講義務などがあり、事業参入のハードルを上げることで、業者の「質」を高める狙いもある。

 政府は労働者派遣法改正案を来年の通常国会に提出。平成27年春から新制度に移行させたい考えだ。

 派遣法で定める特定派遣事業は本来、派遣会社に「常時雇用」される労働者が対象だ。雇用が比較的安定しているとの考え方から規制がゆるやかで、即日受理される届け出制となっている。IT企業や製造業など技術者の派遣を主とする業者が大部分を占める。

 しかし「常時雇用」に法律の定義はない。米リーマン・ショック後の不況で技術者の需要が減ったこともあり、1年ごとの有期雇用を繰り返したり、悪質なものでは仕事のない時期に、労働基準法で定める休業補償もなかったりと、実質的には雇用が不安定な派遣会社も少なくない。

 特定派遣事業の廃止で、すべての派遣会社は一般派遣事業の許可を取る必要がある。一定の事業規模が求められるほか、5年ごとの更新が必要となり、業者の信用向上にもつながることが期待されている。

 個人でも届け出だけで開業できる特定派遣は近年、事業者が乱立。23年時点で特定派遣事業の事業所数は約5万3千件で、一般派遣事業の事業所数約1万9800件の約2・7倍に上っている。不況でいわゆる「派遣切り」が問題となり、一般派遣事業者への規制が強化されたため、「一般」から「特定」への流出が起きたとの指摘もある。

 特定派遣事業の廃止は、厚労省の労働政策審議会の派遣制度見直しの中で議論。同省は、派遣法の特定派遣事業の条文を削除する方向で、法改正を目指す。

最終更新:11月6日(水)9時47分

産経新聞

 
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