── 表現の自由を語ろう ──

第2回  何で捕まったかわからない
      ── いま、横浜事件を考えてみる



第2回は、70年前に治安維持法下で起きた横浜事件のことを、劇作家・演出家のふじたあさやさんに語っていただききました。

ふじたさんの父・藤田親昌氏は、当時 総合雑誌「中央公論」の編集長でしたが、ある日突然 特高に逮捕されました。逮捕から起訴猶予までのいきさつ、その後の戦中・戦後の生き方、そして、冤罪の背景の究明まで。「横浜事件」について語ることは、現在の「特定秘密保護法案」や「共謀罪新設」について語ることにつながっています。


  2013年10月15日
  場所:喫茶室ルノアール・会議室


Index

「横浜事件」という事件はない
 >> どういう嫌疑か、本人も家族も会社もわからない
 >> 一年間の拘留、拷問、会社も退職
 >> 神奈川県の特高は手柄を焦っていた

戦後の「冤罪究明・無罪獲得」のための再審裁判
 >> 日本の捜査の自白主義の問題
 >> 相互不信をテーマに戯曲を書いた
 >> 事前検閲と、事後検閲

治安維持法がひどくなるきっかけだった
 >>「泊会議」なき「泊事件」
 >> 戦後の自由は、本当に自由?
 >>「検閲なにしてるんだ」と軍部が言い始めた

「横浜事件」もアメリカの公文書館の資料を証拠にした



註をまとめるにあたっては、『横浜事件・再審裁判とは何だったのか ──権力犯罪・虚構の解明に挑んだ24年──』(高文研)を参照・引用させていただきました。(インタビュー中にふじた氏が読み上げているのも本書)


Profile

 ふじた あさや

劇作家、演出家。1934年東京生まれ。
早稲田大演劇科在学中に『富士山麓』(福田善之氏と共作)を発表。劇団三十人会を経て73年フリー。92年『しのだづま考』で文化庁芸術祭賞。児童劇団への作品提供、演出指導や若い演劇人らの育成にも力を入れる。

 

 聞き手:くまがい マキ

劇作家、チェスキー・ケー代表。
 
 日本劇作家協会 言論表現委員会 編集部:青井陽治 くまがいマキ
 撮影:藤田卓仙



次回予告

劇作家の創作活動も、社会の変化と無関係ではありえません。
日本劇作家協会の言論表現委員会では、様々なジャンルからゲストをお招きし、日本の現状と未来への展望を、劇作家と語り合っていただくシリーズを企画しました。

「─ 表現の自由を語ろう ─」第3回は、作家の赤川次郎さんをゲストにお迎えし、劇作家協会の永井愛が、改憲や原発、民主主義のあり方についてお話をうかがいます。

**ふじた氏の緊急インタビューを入れたため、第1回の次号予告と変更になりました。訂正してお詫び申し上げます。

第1回 <TPP・児童ポルノ法>をどう見るか?

二十一世紀戯曲文庫