米自動車業界、対日本車輸入関税撤廃までの期間を最長30年とすることなど提案
[ワシントン 2日 ロイター] - 米自動車大手3社(ビッグスリー)で構成する米自動車政策会議(AAPC)は2日、日本の環太平洋連携協定(TPP)交渉入りに伴って開かれた公聴会で、米国の日本車に対する輸入関税を段階的に撤廃していくものの、その期間を25─30年という非常に長期にわたるように設定することや、日本政府による円安誘導を禁止する条項を設けることなどを提案した。
公聴会は、米通商代表部(USTR)が主導する政府の委員会が日本との交渉に向けて業界や労組などからの意見を集約する目的で開催した。
ゼネラル・モーターズ(GM) とフォード・モーター 、クライスラー・グループ で作るAAPCは、日本のTPP交渉参加阻止を熱心に働き掛けてきたが、日本の交渉参加が決まったことで、日本車向け輸入関税(乗用車は2.5%、トラックは25%)をできるだけ長く維持する作戦に転換した。
またAAPCのマット・ブラント会長は、協定には「日本が為替介入を通じて円を押し下げることを禁じる、強力かつ法的効力のある条項」が含まれなければならないと主張した。
ブラント会長は、日本政府による過去10カ月の円安誘導で、日本メーカーは販売価格で1台当たり5000ドルの優位性を確保したと批判している。
ただ、米政府はこれまでのところ、TPPに為替政策に関するルールを導入するべきだとの要求には応じていない。そうした動きをすれば、交渉が一段と難航して年内の合意目標が達成できなくなるからだ。
米国の日本車向け輸入関税について日本は既に、原則として他の品目に適用する最も長い撤廃までの経過期間と同等にすることで合意している。それでもAAPCが要求する25─30年という経過期間は、米韓自由貿易協定で韓国製乗用車向け輸入関税が4年後に、トラック向けが10年後に撤廃されるのと比べると、相当な違いといえる。
米最大の労組である労働総同盟産別会議(AFL─CIO)も、こうしたAAPCの提案を支持。幹部の1人は、日本の乗用車向け関税撤廃は、米メーカーの利益率を特に中小型車分野で損ない、同じくトラック向け関税撤廃で日本メーカーが米国生産のインセンティブを失えば、米国の雇用が危うくなるとの見方を示した。
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