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【政治】官邸の独り善がり危惧 内閣人事局構想 法案を提出政府は五日の閣議で公務員制度改革関連法案を決定し、国会に提出した。柱は中央省庁の幹部人事を首相官邸の下で一元管理する内閣人事局の創設。「省益優先」と批判される各府省庁の体質を変える狙いがあるとはいえ、運用を間違えれば、官邸の独り善がりに陥る危険性がある。 (関口克己) 各府省庁の幹部人事は、事務方トップの次官や局長級などの人事案を閣僚がつくり、官房長官と三人いる官房副長官をメンバーとする人事検討会議の承認を得て決まっている。対象は約二百人。 法案は、局長より下の部長・審議官級を加えた計六百人程度について、官房長官が適格性を判断した上で候補者名簿をつくり、首相も加わった協議で決める制度に改める。 これまでは、旧国家公務員I種試験を合格したキャリアと呼ばれる幹部候補が課長補佐級ぐらいまで横並びで昇進。その上のポストは数が少ないため、多くは早期退職し、関連団体などに天下りしていた。優秀な人材でも先に入省した職員を追い越し昇進するのは異例。年功序列は各府省庁への「忠誠心」を強め、国益より省益を重視する風潮も生んだ。 内閣人事局構想は官邸が人事への影響力を強め、政策決定を官邸主導に切り替える狙いがある。 ただ、問題点も少なくない。官邸が人事に関与する幹部ポストは三倍に急増するため、与党内にも「そんな大勢の幹部人事を把握できるのか」と効果を疑問視する声がある。 安倍政権は法案を今国会で成立させ、来春に内閣人事局を設ける意向。ただ、第一次政権で「お友だち」を重用した安倍晋三首相の下での構想には「官邸のお気に入りの人材ばかりが重用されるのではないか」との不安も広がっている。 首相は八月、内閣法制局長官に集団的自衛権行使を容認する外務官僚の小松一郎氏を充て憲法解釈変更に布石を打った。今後も、政権の意のままに政策を進める手段として人事権を使う可能性がある。 政治的中立性が強く求められる公務員人事に、官邸が過度に介入すれば、官邸が誤った判断をした場合に政府内の歯止めが利かなくなる恐れがある。 PR情報
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