6852島スキー

2013年10月24日(木)


■ご意見いただきたい。小さな島を取材するマスコミのマナーについて

台風26号による伊豆諸島の土石流災害に、24号によるヨロン島、沖永部島の家屋倒壊被害。さらに27号が南西諸島に接近し、28号が小笠原諸島に接近……。離島エリアはもちろん日本全国の方にとって、気の休まらない日々が続いています。

 

災害が続くなか、島々のみなさん、読者のみなさん、島に関わる方々に「ご意見をいただきたいこと」があります。

 

まず、離島経済新聞社へ届いた2つのメッセージを紹介します。1つは伊豆大島に暮らしている島の方、2つ目は伊豆大島に取材ではいった記者の方から届いたものです。いずれもご本人にご迷惑がかからないよう匿名にて記します。

 

「あの日から1週間たった今でも、役場の初動対応の甘さを追及しているマスコミには本当にうんざりです。島民は前を向いています。今は襲ってくるであろう台風27号28号の被害を最小限にすべく、官民一丸となって必死に対応しています。家族や友人を失ったり、未だに安否不明の方でさえ、島民みんなの生活がかかっているから、と、店や事務所を早々にあけ、泣きはらした顔で営業再開してくださっています。被害にあわなかった島民は、お爺ちゃんもお婆ちゃんも若者も、昨日今日は次なる台風対策で土のうを作ったり積んだり、とにかく今の自分にできることをやるしかないじゃない、と明るく元気に踏ん張っています。その横で、マスコミは。。。島民にとっては次の台風を迎える恐怖心で緊迫していますが、マスコミにしてみれば、26号の被害状況も進展がない、27号もまだ来ない、いわば世間の目を引くような新たなニュースのない、小休止の時なのでしょうか。町のあちこちで固まって一服しながら談笑し、そのすぐ横で土のうを作る島民には無関心なようです。各局各番組でいったい今、この人口8,000人の島に何人のマスコミがいるのでしょう?10年に1度の台風が来るとわかっていたのになぜ避難しなかった?と私たちを責めるなら、今またそれと同じクラスの台風が来るのに、あなた方はなぜこの島にいるのですか?なぜ、町のあちこちで固まって場所を占領してヘラヘラ笑っているのですか?」(伊豆大島の島人さん)

 

「一般紙やテレビは報じないでしょうが、マスコミの態度の悪さに苦情をもらす島の方もおりました。小さな役場に記者やカメラが集中しているため、役場はピリピリしたムードでした。島の安全や行方不明者の捜索に資する報道をするために、自制する必要を感じました。現状は、災害が現在進行形のため、とにかく台風27号に備えた対策を追うのに精一杯だったというのが正直な感想です。元町や泉津以外にも断水や二次災害の恐れ、台風26号でビニルハウスが破損したなど、さまざま不安を抱えてらっしゃる方がおりますが、『元町の方に申し訳ない』という気持ちで、あまり自分が困っているということを言えない様子でした。今は、27号が来るというので、皆注目し、島に集中していますが、台風が過ぎた後の復旧・復興や、行方不明者の完全救出、その後の島おこしまで報じなければならないとも思います。ある新聞が『観光絶望』との見出しを付け、産業が打撃を受けていると報じておりましたが、現地の方が大変に憤慨しておりました。伊豆大島が危険な島というレッテルを貼られたままにならないようにしなければ、と思っております」 (伊豆大島で取材された記者さん)

 

私自身、現地に行くことができないため、大手メディアが報道してくださる情報には助けれています。二次災害も懸念されるなかで取材を進められる記者やカメラマンなどのご苦労は大変なものですし、正しい島の情報を流していただくことで、島の方も、縁のある方々も喜びます。

 

ただ、伊豆大島からのメッセージをうけ、災害時の報道マナーについては今後、問う必要があると感じています。こうしたことは、小規模地域でいつでも起こりうる内容になるため、みなさんに「このようなことが起らないためにはどうしたらよいか」「災害時に知りたい情報はなにか」「災害時に不要だと感じる情報はなにか」を考えていただきたいのです。私自身も、しっかり考えていきたいと思います。

 

みなさんからいただいたメッセージは離島経済新聞社にてまとめ、最適な方法にてメディア各社や社会へ届けていきます。ご意見は「①お名前(紹介する場合に匿名を希望される方は紹介時匿名希望と記載ください)②ご連絡先③ご意見」をmail★ritokei.com(★→@)までお届けください。

 

現在、台風27号が南西諸島に接近しておりますが、南西諸島には台風24号による被害の復旧にあたっているヨロン島や沖永良部島もあります。どの地域の方も、お住まいの地域の防災情報をご確認のうえ、最大限の注意をお願いいたします。

 

 

【2013台風災害にて被害に遭われた島々の災害義援金受付情報】

>>伊豆大島「公益社団法人東京青年会議所 災害支援金募集」

http://www.tokyo-jc.or.jp/2013/shien.html

 

>>伊豆大島「東京都福祉保健局 大島町に対する義援金の募集について」

http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2013/10/20nai900.htm

 

>>伊豆大島「日本赤十字 伊豆大島等台風26号災害東京都義援金」

http://www.tokyo.jrc.or.jp/kyoryoku/gienkin/gien.html

 

>>ヨロン島「与論町台風24号災害義援金募集要綱」

http://www.yoron.jp/life/pub/detail.aspx?c_id=26&type=top&id=1192

Profile プロフィール

鯨本あつこ

鯨本あつこ(いさもと・あつこ) 『離島経済新聞』『季刊リトケイ』編集長。大分県日田市(内陸の盆地)出身。編集者、イラストレーター、各種ディレクターを経て2010年にクリエイターの仲間と『離島経済新聞』を設立。趣味はお酒とコミュニケーションと考え事。

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