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【大リーグ】

黒田ら13選手に各球団からクオリファイング・オファー

2013年11月6日 紙面から

 FA選手と、今季所属した球団との独占交渉期間が終わった4日(日本時間5日)、各球団は計13選手=別表=に対し、1年1410万ドル(約14億1000万円)のクオリファイング・オファー(QO)を出した。QOは新労使協定で昨オフから導入された補償制度で、同オファーをFA選手にあらかじめ出しておくと、仮にFA選手が他球団に移籍した場合、見返りとして、移籍先から来年ドラフトの1巡目指名権を得られる。球団側にはメリットの多い制度だが、FA選手にしてみれば足かせとなる場合もあり、恨み節さえ聞こえる。

 QOを受けた選手は1週間以内に同オファーを受け入れるかどうかを決めなければならないが、FA選手の多くは複数年での長期大型契約を望んでおり、拒否することが多い。実際、導入“元年”だった昨オフも、黒田博樹投手(38)=ヤンキースからFA=ら9選手がQOを受けたが、1人も受諾しなかった。

 QOを拒否した場合は、他球団との交渉が解禁となるが、QO拒否=即移籍ではなく、昨オフの黒田のように、ヤ軍とあらためて交渉し、新たな条件提示(1年15億円)を受けた上で残留となるケースもある。昨年の例ではレッドソックスの主砲、指名打者デービッド・オルティス(37)もQO拒否後、2年総額2600万ドル(約26億円)で古巣に残留した。

 球団側にはメリットのあるQOだが、実は選手側にはあまり評判が良くない。FA選手を獲得した球団は今季成績が30球団中21〜30位の低迷チームを除き、来年のドラフト1巡目を、前所属球団に差し出さなくてはならない。昨オフも同オファーが障壁となり、本来ならば年内決着しそうなFA優良株の所属先がなかなか決まらないという事態が起きた。

 最もしわ寄せを受けたのがブルワーズのカイル・ローシュ投手(35)。カージナルス在籍時の2012年シーズンに登板33試合(全て先発)で16勝3敗、防御率2・86と抜群の成績を残し、オフには各球団の争奪戦かと思われたが、ブ軍入りが決まったのは13年シーズン開幕直前。ローシュは「カ軍は引き留める気もないのに俺にQOを出した。嫌がらせとしか思えない」と不満タラタラだった。

 ナショナルズのアダム・ラローシュ一塁手(34)も「自分の価値を知りたい」とQOを断り、FA市場に打って出たが、手を挙げる球団は現れず、古巣残留となった。12年シーズンは33本塁打&100打点とともに自己最多を記録、ゴールドグラブ&シルバースラッガーも受賞したが、手にしたのは複数年契約ながら平均年俸ではQO(昨オフは1年13億3000万円)より安い、2年総額2400万ドル(約24億円)だった。

 QOは今季所属球団にしてみれば「引き留めたい」がゆえの誠意の表れだが、選手にとっては残念ながら“ありがた迷惑”となっている。

 

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