財政再建のためには増税もやむなしと考えるが、安倍政権は、「なぜ財政再建が求められているのか」という本質を誤認しているようにも見える。
仮に「国際公約としてやらなければならない。さもなければ日本は信認を失い、国債や円が売り浴びせられる」と思って増税に踏み切ったのなら、そうなる公算は大きいにしても、本質を見誤っている。
財政再建がなぜ必要なのかといえば、それはひとえに、国が国民に十分なサービスを提供できるようにするためだ。財政が困窮してまともな行政サービスが提供できなくなれば、国に対する国民の信頼は消滅する。国民の信を失えば、国は存立の危機に立たされることになるだろう。そうした状況から脱却するためにも、政府は積極的に財政再建に取り組まなければならないのだ。
本質に踏み込むことなく、表面的な理由だけで増税に踏み切った態度を見ても、安倍政権による国の運営には危うさを感じずにはいられない。