仮に法人税の減税が実施されたとしても、果たしてそれが国内の設備投資や雇用の拡大に結びつくかどうかは未知数だ。国内で過剰な設備を背負い込みたくない企業は、海外に資金を振り向ける可能性もある。
そうなると雇用の増加は見込めなくなるし、雇用規制の緩和によって非正規雇用者が増えれば、所得格差はますます深刻化するかもしれない。
異次元緩和による円安で調達コストが上がれば、企業の投資意欲はさらに冷え込むことになるだろう。アベノミクスは、むしろ裏目に出る危険もはらんでいるのだ。
そもそも異次元緩和では、2年以内に物価上昇率を2%とする目標を掲げているが、これを実現したところでデフレが根本的に解消される保証はない。というのも、日銀は物価上昇率を判定する指標としてCPI(消費者物価指数)を採用しているからだ。