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インタビュー - 羽生 結弦

NHK杯ではショートで自らの持つ世界歴代最高点を更新し、NHK杯初優勝。飛躍のシーズンを過ごす羽生結弦選手に、新拠点カナダでの生活、そしてソチ五輪への思いなどを聞いた。
新振付師で新境地の演技
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——基礎練習も頑張っていますが、それぞれのプログラムの表現はかなり磨かれてきましたね。ショートのブルースは新境地なのでは?

ジェフリー・バトルから新しい魅力を引き出してもらっています。ジェフのプログラムから、今は滑りこんで自分のモノになってきて、80%くらいは完成した感じ。このプログラムは、新しいスタイルですよね。自分の中から大人っぽい雰囲気みたいのが少しでも出せているなら嬉しいです。

——フリーは、デイビッド・ウィルソン振付け。こちらは完成したら面白そうですね。

まだNHK杯で40%位の出来です。でもこの時点で40%に行ったのは、僕としては十分かも。10月のスケートアメリカでは10%くらいで「演技をやろうとしてる」くらいでした。まだ表現できた世界観は無いです。

——ジャンプとジャンプの間にも「つなぎ」の演技が詰め込まれた、超難度のプログラムですね。

さすがにアメリカの後、「つなぎ」を減らしてちょっと休めるようにしました。その分、やっとデイビッド流の演技が出せるようになってきました。片鱗くらいは。ただし、このプログラムはモダンバレエっぽい踊りなので、表現の幅が広がらないと表現しきれない感じです。(アイスダンスの世界王者)メリル・デイビス&チャーリー・ホワイトも「ノートルダム・ド・パリ」なのですが、あれを見ると、なんで俺は同じ曲をやってるんだろう、って気持ちになりますよ。素晴らしすぎる。あの世界観を僕も出したい。でも彼らのプログラムだから、参考にしかならない。なかなか大変です。

——オーサーコーチとのレッスンはどんな感じですか?

ブライアンは予定をしっかり立ててくれるので、やりやすいです。明日はフリーのランスルー(通し演技)と、ショートのパート(部分練習)だよ、とか。今は「フリーを全部滑った直後にショートを途中まで」などの練習をしています。本当にしんどいけど、今まで逃げてた練習方法です。通しで練習しているので、ショートは明らかに体力に余裕が出てきて、フリーもだいぶ行けるようになってきました。自分では練習プランが立てられないので、自主練習する時でも、オーサーにプランを立ててもらっています。

アーティストとして、アスリートとして

——今年はメディアの注目を浴びて、写真撮影の機会も増えましたね。

写真を撮られるのは好きなんですよ。雑誌の表紙撮影でスタジオに行ったのも面白かったし、色々ポーズをとったりするのも恥ずかしいけど楽しいです。

——早くもトップスケーターの風格ですよね(笑)。やはりゴールは五輪の金メダルですか?

一昨年まではそうでした。でも東日本大震災があって、色んな人に支えられているうちに考えが変わりました。五輪の金メダルは子どもの頃からの夢でしたが、それはあくまでも具体的な目標。だから五輪の金があって、そこからがスタートです。プロのショースケーターとしてスケートの魅力を伝えるとか、支援活動とか、色々と広げていくためのスタート。みんなに恩返しをしないといけない。

——「勝ちたい」ということより、「恩返し」というような気持ちが強くなってきたということですか?

もちろんアスリートなので勝ちたいです。どこまで闘争心を見せるか、っていうのは、以前よりは内に秘めておこうと思い始めてるんです。でも、こうして話しているのは試合後だからそう思うけど、試合前は「勝ちたい」っていうのが強いですね、やっぱり。スケーターって、「アーティスト」であり「アスリート」でもある。どっちの魂も捨てちゃダメなんだと思っています。

(2012年11月25日、NHK杯後に宮城にて)

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