三菱電機は静止衛星の基幹系となる同社標準バス「DS2000」について、受注拡大と新機種開発による機種系列拡充に乗り出す。現在の中型クラス(重さ約5トン)に加えて、新たに開発した小型クラス(同約3・5トン)を本格的に売り込む。また長寿命化、大型化が進む同衛星向けの大型バス(同6トン以上)の開発も検討する。バス部品の共通化により、コストを削減し、衛星全体の開発期間を短縮化するのが狙い。
DS2000を載せる静止衛星は、高度3万6000キロメートルに打ち上げる通信放送衛星などに採用されている。特に近年、通信放送衛星は15年以上という長寿命化、重さ6トン以上の大型化ニーズが高まっている。一方で「世界の商用(通信放送)衛星需要は20年に向け、年5機程度増え、年30機程度は見込める」(岡村将光三菱電鎌倉製作所長)という背景もある。
こうした需要に対応するため、DS2000系列の小型標準バスの受注獲得に本格的に取り組み、大型標準バスの開発も検討。これにより海外からの商用衛星需要の取り込みを狙う。
計画では、海外からの商用衛星の受注について、当面年1機程度、15年ごろには2倍の2機を目指す。
人工衛星は同バスを中核に、ミッション機器といわれる観測機器を載せて使われる。例えば中型静止衛星では開発期間4―5年以上、開発費は数百億円とされる。バスの標準化により観測対象に応じてセンサーを変えるだけですむため、コスト圧縮と期間短縮につながる。
【「DS2000」とは】
静止衛星の電源やエンジン、通信装置、アンテナ、太陽電池パネルなどの基幹系で構成される。部品点数は衛星全体の約7割にあたる約50万点におよぶ。同バスは同社が設計・製造を担った宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「きく8号」などをベースに開発された。06年に運輸多目的衛星「ひまわり7号」に採用されたほか、10年に打ち上げられた日本版全地球測位システム(GPS)衛星「みちびき」などにも搭載されている。
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