「巨大地震」なぜ起きるのか 地球最大はM10の恐れ:イザ!

2013.4.8 14:50

「巨大地震」なぜ起きるのか 地球最大はM10の恐れ

 マグニチュード(M)9級の巨大地震は、なぜ起きるのか。東日本大震災を予見できなかった反省から、その仕組みを探る研究が本格的に始まった。地殻変動や断層モデルの分析で新たなメカニズムが提唱され、地球最大の地震はM10との試算も。謎に包まれた巨大地震の実像に迫る多角的な取り組みが続いている。(黒田悠希)

 米地質調査所によると、M9地震は20世紀以降、東日本大震災を含め世界で5回発生した。場所はチリやアラスカなど環太平洋に集中しており、いずれも海のプレート(岩板)が陸のプレートの下に沈み込む海溝付近で起きている。チリでは津波堆積物の調査で、M9地震が平均300年間隔で繰り返し発生してきたことも明らかになった。

 海底には海嶺という巨大山脈があり、海のプレートはここで生まれる。地球深部からマントルが上昇してマグマができ、海水で冷やされプレートを形成。マントル対流に乗ってベルトコンベヤーのように年間数センチの速度でゆっくりと移動し、海溝で陸の下に沈み込む。海と陸のプレートがくっついて滑らかに沈み込めない場所(固着域)では、地殻にひずみが蓄積して大地震が起きる。

 M9地震は従来、チリなど海のプレート年代が若い場所で起きる特別な現象と考えられてきた。若いプレートはまだ熱くて軽いので沈みにくく、陸側に固着しやすいとされたからだ。しかし、東日本大震災は約1億3千万年前にできた古い太平洋プレートによって発生。巨大地震の定説は根底から崩壊し、地震学者は再構築を迫られている。

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