前回の石原都知事の問題発言:軍事政権編(下) の続き。「平和憲法が日本の安全を守ってきた」という考えが、破綻した理論であることを証明するのは簡単なことだ(法理論に踏み込まなくてもわかることだし、その能力もないけど)。
非武装中立というのは外国から侵略されたときに、選択枝は、逃げるか、侵略されてしまうか、闘うかしかない。
逃げるという選択枝を取った場合、どこへ逃げるかというと、
安全が保証された国家であり、それは警察や軍隊によって守られている武装国家だ。
彼らが拒否してきた武装している国に逃げざるを得ない。
侵略されてしまう選択枝は、反対して投獄されたり殺されるか、占領した国家の一構成員となって侵略国家となる結末にいきつくしかない。、
非武装中立を主張する人たちは「殺されても闘うこと(殺すこと)を拒否し平和を愛する」という主張をよくする。仏教の殺生戒みたいなもんだな。それを個人の戒律、生き方にとどめておくというのなら分からないでもないが、社会制度として採用するということは、「殺生戒を守るためにお前たちも死ね」ということになる。こういう主張に対して三島由紀夫は、四十年以上昔に『文化防衛論』の中で次のように書いている。
非武装平和を主張するその一人が、日本は非武装平和に徹して、侵入する外敵に対しては一切抵抗せずに皆殺しにされてもよく、それによって世界史に平和憲法の理想が生かされればよいと主張するのを聞いて、これがそのまま、戦時中の一億玉砕思想に直結することに興味を抱いた。一億玉砕思想は、目に見えぬ文化、国の魂、その精神的価値を守るためなら、保持者自身が全滅し、又、目に見える文化のすべてが破壊されてもよい、という思想である。(『文化防衛論』ちくま文庫p41)
憲法九条護持、非武装中立などという発想は、彼らが否定した一億玉砕思想と精神構造はおなじでなのある。このことについて三島は、上の引用文に続けて「戦時中の現象は、あたかも陰画と陽画のように、戦後思想へ伝承されている」と書いている。
ただし、これは過渡的段階の話で、侵略されてしまうと、言語を奪われたり、歴史を改竄されたりして、侵略した国家の一部となって、他国を侵略する手先にされてしまうのである。憲法九条を護持する連中にこのことを指摘しても、きちんとした反論が帰ってきたことはないし、読んだこともない。
闘うという選択枝を取る場合は、あらかじめ武装しておかなければならない。日本には自衛隊があるじゃないかといわれるかもしれないけれど、自衛隊は国軍ではない。憲法九条がある限り、交戦規定が明確にできず、軍隊としての機能が有効的に働かないんだそうだ。
なんでも今の法体系だと、敵国が侵略してきてもそれを迎え撃つために出撃した戦闘機や艦船が攻撃されないかぎり、こちらから打つことはできないそうである。敵国が一方的に弾道ミサイルを日本に向けて飛ばしても、「そちらが撃ったのか」と確認しないと打ち落とせないんだそうだ。びっくりだね。
そういえば昨年、尖閣諸島で、中国人民解放軍の偽装漁船が海上保安庁の船に体当たりしてきたときに、海上保安庁は火気で反撃しなかった。
ようするに憲法九条下に自衛隊があっても、現場の自衛隊や国民が幾人か玉砕しないかぎり、反撃できないということだ。
平和憲法護持・非武装中立は殺人肯定思想であり、国家が国民を本気で守ろうすると、憲法九条や占領憲法である日本国憲法そのものをを変えなければならないとうことだ。そうして、いざというときに戦える国にする。負けるかもしれないけれど、無抵抗のまま多くの同胞が殺されたり、他国を侵略しする手先になるよりはよっぽどましな選択枝だろう。
それに戦う選択枝は実際に砲火を交えるだけではなく、その前段階としての情報戦争を戦うといのも含まれている。むしろこちらの方が重要だ。それとても、エセ平和憲法があればなかなか有利な展開は難しい。
「戦前みたいに軍隊が暴走したり、反逆したりすればどうするんだ」という批判が出るだろう。それに対しては「軍隊が暴走したり、反逆したりしないようなシステム作りと国民を教育する以外にはない」だろう。また、前回の記事を読んだ友人に、「統治能力を失った日本の政治状況下で、国軍を持つのはナントカに刃物では」とコメントをいただいた。
平和を維持するには。軍隊を持って、敵国と対峙・阻止し、暴走や反乱を起こさないようなシステム作りと国民を教育する解しかないし、国家の統治についての教育とシステム作りを教育する解しかないと思う。
憲法九条を改正するにはハードルが高いので、まずは国民の教育だな。これにはスイス政府が国民に配布している『スイス民間防衛』みたいなテキストを配布し、特に学校教育の中で教えることだ。『スイス民間防衛』は防災から防衛まで書かれた、なかなか充実したテキストだ。防衛に関しては実際の戦争だけではなく、敵国がしかける情報戦争についても書かれている。これについては、そのうち取り上げたい。
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