原発事故:Q&Aで読む…東電を破綻させない、その訳は?

毎日新聞 2013年11月05日 06時50分(最終更新 11月05日 08時44分)

東電支援と事故処理の枠組み
東電支援と事故処理の枠組み

 政府・自民党は東京電力福島第1原発事故の事故処理費用の一部に国費を投入する方向で、現行の事故処理対策の見直しに入った。野党の一部などには、東電を破綻させて銀行など債権者にも責任を負わせ、国民負担を軽くすべきだとの声もあるが、政府は否定的だ。東電の破綻処理は難しいのか、Q&Aで検証した。【大久保渉】

 ◇Q 福島第1原発の事故処理対策はどうなっているの?

 A 賠償や除染などの費用は、すべて東電が支払います。ただ、巨額なので、放っておけば東電は債務超過に陥り、破綻してしまうでしょう。このため国は、「原子力損害賠償支援機構」を通じ、東電に1兆円を資本注入するとともに、5兆円を上限に賠償費用を貸し付ける仕組みを作りました。ただ、事故処理費用はこの上限を超えて10兆円規模に膨張しそう。東電は毎年の電気料金収入で、公的資金を返済しますが、返済期間は数十年に及ぶ可能性があります。政府・与党は「東電任せだと、対策が滞りかねない」として、除染や汚染水対策では国が前面に出ることにし、汚染土などを保管する中間貯蔵施設などに税金を投じる方向です。

 ◇Q 国費を投じるなら、破綻で責任を取らせるのが筋では?

 A 「会社更生法で法的整理し、資本金をすべて取り崩して株主責任を問うとともに、融資債権の大幅カットで銀行にも負担をおわせ、その分を賠償支払いなどに充当。国は足りない分を補えばよい」(政策研究大学院大学の福井秀夫教授)との議論もあります。事故直後にも、政府・与党内で破綻処理の選択肢が議論されました。

 ◇Q なぜそうしないの?

 A 電力会社の債務返済は、社債が優先されると電気事業法で決められており、破綻処理が普通の会社と異なります。電力会社は長期資金を、主に社債でまかなってきました。東電の社債残高は約4・4兆円。金融機関などが保有していますが、この返済が優先されれば、損害賠償が後回しになる心配があります。社債を返済しないと、金融市場が混乱する恐れも指摘されました。国は事故後、東電に対し1兆円を出資しており、これも紙くずになりかねません。

 ◇Q それでも、国費を投入する一方で銀行などが「無傷」というのは理解できないな。

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