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05 Nov 2013 07:24

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乃木坂46の新曲センターに堀未央奈を大抜擢 劇薬的人事は“妄想の女子高”をどう変える?

リアルサウンド 10月8日(火)10時30分配信

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乃木坂46の新曲センターに堀未央奈を大抜擢 劇薬的人事は“妄想の女子高”をどう変える?

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乃木坂46の新曲センターに堀未央奈を大抜擢 劇薬的人事は“妄想の女子高”をどう変える?
乃木坂46『ガールズルール』(SMR)

 乃木坂46の「真夏の全国ツアー2013 FINAL!」が10月6日、代々木第一体育館で行われた。全国ZEPPツアーの好評を受けて、追加公演として行われたこのライブは当初、乃木坂46には会場のキャパシティが広すぎるのでは、といった不安の声も上がっていたが、昼夜合わせて2万4000人を動員することに成功。現在の乃木坂人気を証明する結果となった。また、この日のライブの昼公演では、12月20日に乃木坂単独としては初となる日本武道館でのライブの開催、夜公演では11月27日発売となる乃木坂の7thシングル(タイトル未定)選抜メンバーの発表という、2つのサプライズ告知も行われた。

 代々木第一体育館公演を成功させた後での武道館公演は、アイドルの「会場すごろく」的なステップアップからは逆行する形である上、今年HKT48を含めた全AKBグループが武道館公演を成功させた後の開催となるため、“AKB48の公式ライバル”という肩書きを持ったグループとしては、いささかインパクトに欠ける部分もある。だが、トップアイドルを目指すには、武道館という“通過点”は必要不可欠なもの。多少順番が異なっても、乃木坂46がトップアイドルに近づいているのは間違いないだろう。しかしながら、白石麻衣や橋本奈々未、生駒里奈の顔が世間に認知され始めている割には、乃木坂46というグループ自体の魅力は、一般層にあまり伝わっていない気もする。

 現状、アイドルシーンはAKB48を筆頭に“ライブ”型が主流となっている。ライブの目撃者がネットを介して、そのアイドルの魅力を伝えていくというプロモーションのスタイルが一般的だ。だが、乃木坂の場合は『乃木坂って、どこ?』(テレビ東京系)というテレビバラエティが最大の発信の場となっている。AKBなどとは異なり、先ほど触れた7tnシングルの発表も、実際にはライブの前に収録が行われていたため(OAはライブ当日の深夜)厳密に言えば本当の意味でのサプライズではなかった。つまり乃木坂は、リアルなドキュメンタリーを見せているのではなく、編集済みのメディアを使って、乃木坂という作り上げられた世界をファンに提示しているのだ。

 もっとも、それが他のアイドルには無い、乃木坂だけの魅力を生み出してもいる。整理された箱庭の中でこそ、自由に生きることができる少女たちの姿は、どこか浮世離れして見えるのだ。生駒や白石、橋本という少女たちは、一般社会では浮いてしまいそうな存在であるが、かといってアイドルや芸能のセオリーで生きるタイプでもない。現実と虚構の狭間にいるような少女たちだけが、乃木坂の世界では主役を演じることが出来るのだろう。乃木坂には、アイドルファンの妄想の中にだけ存在する私立の女子校を、こっそりと覗き見しているかのような悦楽があるのだ。

 だが、今回の7thシングルの選抜では、これまでの乃木坂の女子校的な世界観をあえて崩すような試みもある。今回選抜として選ばれた堀未央奈は、乃木坂の2期生オーディションで今年加入したメンバー。つまり、堀未央奈は乃木坂をアイドルグループとして認識した上で加入しているため、最初からアイドル的マインドを備えているのである。もちろん、初期の乃木坂メンバーも結成から2年が経過しているのだから、芸能の世界に生きるためのノウハウやマインドを身につけはしただろう。しかし、スタートの段階からアイドルという生き方を選択して来た後輩が、センターを獲得するということは、これまで箱庭の中でやってきた“乃木坂女子高”にとって、大きな波乱であることは間違いない。

 秋元康氏が松井珠理奈で行ったようなAKB的方法論で、乃木坂という箱庭に落とした劇薬――それが堀未央奈だ。先日のライブでの発表では、メンバーにもファンにも温かく迎えられた様に見えた堀ではあったが、この選抜が劇薬として機能した時、乃木坂はどう化学変化を起こすのか? そして、この劇薬に対し、これまでの乃木坂ファンはどう気持ちが揺さぶられるのか? はたまた、この劇薬ごと乃木坂は飲み込んでしまうのか? 乃木坂46という学園ドラマは今後、波乱の展開を迎えることになりそうだ。

エドボル

最終更新:10月8日(火)14時18分

リアルサウンド

 

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