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第三十一話 早くあなたに会いたくなっちゃって・・・

トップページ > 神代ふみあき書庫 > 非赤松椎名系作品 > 歌う恋姫無双物語 > 第三十一話 早くあなたに会いたくなっちゃって・・・



お待たせしました、歌う、更新です。





 華琳様の書簡にそれが書かれていたのは、出発直後のこと。
 桃香と共に旅だった直ぐだった。
 内容はいろいろとあったけど、重要なことは一つ。


 いつでも文官に政治を任せられるような体制に移行しなさい。


 つまり、留守居役の私も、私にもお声をかけてくれた主様に感謝の気持ちが湧き上がる。
 わが親友にして相棒、劉玄徳。
 初めて心の繋がった異性。
 そして、初めて一緒に居たいと思った異性。
 母からは、初めての子供などはまともに生まれないのだから、適当に色町で種を仕込めばよいと言っていたけれど、私はだめだ。
 あの獣欲と知性のかけらもないような動物を受け入れることなどできない。
 私が唯一受け入れるのは、あの相棒、劉玄徳。
 私が唯一子を成していいと思うのは、桃香。

 あの子しかいない。

 たとえ数々の女と義を結んでいても。
 たとえ数々の女と子を成していても。
 私が受け入れたいのはあの子だけ。
 心に響くのは、あの子の声だけ。
 体が求めるのは、あの子だけ。
 両腕が抱きしめたいのは、あの子、桃香だけなのだから。

 だからこそ、私は陳留の政治管理とその運用に集中した。
 少なくとも、留守居役が一年ぐらい居なくても体制が崩れないように。
 華琳様の理想と桃香の愛がこの街を支えているのだから。

 あの二人で行きつけの酒場はないけれど、あの二人で通った食堂は移ってしまったけど、それでも私たちで支えたこの街を、あの太陽が沈んだあとも廻ったこの街を。
 いとおしい、私たち、華琳様、桃香、そして私の子供をよりよく育てるために。

 昼夜を問わぬ施政のおかげか、ほぼ完成といえる体制に移行しつつある。
 権力の集中を行わず、一見愚案に見える合議制だが、その行動指針の細かなとこまで支持されている段階では、突発的な事象でない限り対応可能だ。
 もちろん、事故や事件はある。
 しかし、部隊レベルでの折衝は十分に訓練しているし、政治的な問題については大きく傷が発生しないレベルでの判断を任せている。
 これは、華琳様や私が一線を引くときにも役立つ訓練になるはずだ。
 少なくとも、ここ一年以内に二年間の休暇を取る予定なのだから。

 ふふふ。

 もちろん、桃香が良いと言ってくれて、華琳様のお許しがあれば、ということになるのだけれども。
 根拠はないが、よいといってくれるだろう。
 何なら、私と華琳様二人で子育てと仕事を分けるのもありかもしれない。
 桃香はさすがに婿に迎えることはできないだろうけど、それでも定期的に会えれば御の字だ。
 孫呉では幾人も子を成しているというし、これ以降も増えるだろう。
 こうなれば、桃香を中心に、いや、桃香の血統を中心にした血統融和主義という流れも面白いかもしれない。
 血統のものを優遇するのではなく、血統にかかわる人間を縁にして融和する政治。
 なあなあの愚案な方法だけど、一つの心理が働く。

「みな姉妹」(主に性的な意味で)

 実に眩暈のするほど面白い方向性じゃないだろうか?
 私は政治案件に書簡に混ぜて、そんなものを華琳様に送ったところ、返送でこんな返事が来た。


「もう、戦が終わるわ。そろそろ来なさい」


 ああ、私もその舞台に上がれるのですね、華琳様♪

 

 

 

 

 

 途中に出会う西涼兵たちの伝令早馬の情報で、刻一刻と変化する情報が理解できた。
 時差としては七日間ほどはあっただろう。
 しかし、その情報は生きているかのように瑞々しく、そして艶やかなものだった。
 あたかも歴史書のようであり、舞台演劇のようであり。
 私に同行している武官も文官も手に汗握ってその話を聞き、伝令兵を茶や食事でもてなした。
 この早馬伝令は、どうやら桃香の発案らしく、騎兵として優秀な西涼兵を伝令に使うとは、という意見もあったらしいが、こうして聞いてみればその意味が知れる。
 今回の騒動の正しい情報を、尾鰭がつかない段階で広く通知し、共有するという意味。
 如何なる風評操作も聞かない、絶対的真実の伝播。
 月日という壁を飛び越えて「刻限」という最小単位に挑む情報の戦争。
 その考えいに至った瞬間、わたしは駆け出したくなった。
 そう、早馬伝令の時差をどんどん縮めるために。

 しかし、そんな無理の必要なない。

 私たちが向かう先、はるか洛陽から、顔がゆるむほどの陽気を感じるからだ。
 だから私たちは、この陽気から背を向けて走らなければならない早馬伝令に同情し、歓迎をせざる得なかった。
 いや、するほかなかった。

 

 

 

 

 すでに洛陽を見据えるほどの距離に来ていた。
 その町に向かっているのは私たちばかりではなく、伝令の話を聞きつけた庶人や諸侯が挙って集まっている。
 私は華琳様の振る舞いとして糧食を庶人に分け与え、そして私たちの移動速度を上げた。
 庶人は喜び、そして諸侯もそれをまね、そして移動速度を上げてゆく。
 本当なら、糧食が心もとなくなるにつれて気分が暗くなってゆくものだが、今は違う。
 その一歩が前に進む気持ちになる。
 その一歩が手を伸ばす心になる。
 その一歩が喜びの表情になる。

 

 はやく貴方に会いたい。

 

 

 


~「東京は夜の七時」ピチカート・ファイヴ

 

 

「陳留は、夜の、二つ」


 そんな歌いだしの舞台に私はぶつかった。
 幾万の人々が集う舞台の真ん中で歌う、あいつを見るために。
 ずいぶんと長いこと歌っているのだろう、その声が少し枯れている。
 それでも、笑顔と共に彼の歌が、桃香の歌が響いている。
 流れるような逆巻くような、聞いたことのないような拍子とそれに合わせて舞台上で踊る歌姫たち。
 

「陳留は、夜の、二つ」


 そう、それは私と桃香の待ち合わせ。
 あの店やあの場所で待ち合わせるための時間。
 いや、そればかりではない。
 待ち合わせる私たちの間で起こる騒動、立て続けに始まる喜劇。
 呑んだり食べたり騒いだり。
 ありありと目の前で歌う桃香と思い出が重なる。

 ああ、桃香、あなたもそうだったのね。
 ああ、桃香、私もそうだったのよ。


 はやく貴方に会いたい!
 はやく貴方に会いたい!!


 胸の中で張り裂けるほどの思い、目の前が真っ赤になるほどの想い。
 それを桃香も歌っていてくれている!!
 ああ、ああああ!
 わが身を私が抱きしめると、背中から誰かが抱きしめてくれた。
 この気配、この香、まさしく・・・

「華琳様」
「・・・ちょっと嫉妬にかられる歌ね、これ」
「・・・私は少しうれしいです」

 ぼろぼろと流れる涙をそのままに、私は華琳様に微笑む。
 そんな私たちの向こうで、桃香の声が響いた。


 はやく貴方に会いたい!!
 はやく貴方に会いたい!!!


 ああ、桃香、私もあなたに会いたくてやってきたわよ。

 

 

 

 

 ・・・だから、荀家の子種もお願いね♪

 




というわけで、歌う、でした。
「東京は夜の七時」を聞きながら書きましたので、お試しください。

現在、「ピチカート・ファイヴ」よりも野本かりあ(元メインボーカル)で探した方が判るかも。

・・・けいふぁ、でれすぎかな?

20121103 桃花>桃香



原作名:真・恋姫無双

(2,614文字)

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  • 2012/11/02 09:30:07

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