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第三十話 義兄弟が爆誕しちゃって・・・(OTR)(歌う

トップページ > 神代ふみあき書庫 > 非赤松椎名系作品 > 歌う恋姫無双物語 > 第三十話 義兄弟が爆誕しちゃって・・・(OTR)(歌う




 

 
 歓声が聞こえる。
 
 
 宮中の奥の奥、禁裏中の禁裏。
 その至高の玉座に座る人物の耳にもその音が届いていた。
 
 
 歓声が聞こえる。
 
 
 都をあげて歓迎する声が聞こえる。
 それは老婆たちが始めた暴走を歓迎していなかった都の民たちが、心あるモノたちが、明けゆく明日を思って心を燃やしている声。
 さざめきの様に、きらびやかな輝く想い。
 いとおしい民たちの声。
 
 歓声が聞こえる。
 そしてあの歌が聞こえる。
 
 
 
 孤独や悲しみを理解し、ときほぐす、そんな歌が。
 真実の自分が、この大陸で輝くと。
 
 
 失敗も不安もすべて抱え込むなと。
 ともに、ともに立ち上がるからと。
 
 
 
 何度も何度も、呼びかけるような歌が聞こえる。
 何度も何度も、立ち上がれと声が聞こえる。
 そしてその胸に突き刺さるその言葉。
 
 
 
 
 
「しんでたまるか!!」
 
 
 
 
 
 なんと力強く、なんとありのままの想い。
 なんと率直で、なんと今のままの声。
 
 
「陛下、御すすみになられますか?」
 
 
 この禁裏を守る兵、袁紹の配下、顔良が微笑む。
 
 
「ああ、我は進む。あの歌い主に会わねばならぬからな」
「ならば我らは陛下をお守りする盾になりましょう」
「頼むぞ、顔良、文醜。すべてを終えるまで『しんでたまるか』」
 
 
 その人物の歩みは、いままで、生まれ育ったこの瞬間の中でもっとも力強く、そして意志に溢れたそれであった。
 
 
「陛下、ロックンロールです」
「陛下、ロックンロールだぜ」
「ああ、ロックンロールじゃな」
 
 
 金色の悪魔を二匹従えたその人物は、閉ざされた扉を開けた。
 
 そんな人物を迎えるように、歌の科白が迎え打つ。
 
 
 
 
「わたしは、あなたの不安を終わらせるためにきた!」
 
 
 
 その科白を受け、人物は震える体を押さえるのに苦労した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 広野に鎮座する巨石すら動かすような思いの強さ。
 それを遙か西の彼方の言葉で「ロックンロール」と言うと伝え聞く。
 そんな巨石すら動かすような言葉だ。
 人々が動かないわけがない。
 
 
 庶人が矢を落とし、住民が攻撃者を押さえ込み、軍人が反抗勢を押さえ込んだ。
 それでも胸から矢を生やした天河の歌姫姉妹筆頭は歌う。
 
 
 ロックンロールイズノットデット、と。
 
 
 巨石すら動かす思いは、けして死なない、と。
 どこかにいる誰かを迎えるために。
 どこかにいる誰かを助けるために。
 不安や孤独や悲しみを終わらせるために。
 
 
 ロックンロールイズノットデット、と。
 
 
「愛紗様、都の門が開きます」
 
 
 明命殿の言葉に、周囲の視線が集中する。
 そこに現れたのは金色の軍勢。
 我らの軍内にも存在する一部隊と同じ戦姿であった。
 
 
「確認できました、袁旗です!!」
「・・・それに、それに、劉旗、皇帝旗です!!」
 
 
 次々と報告があがり、そして歓声が渦巻く。
 そう、いま、一つの目的が達成されたのだ。
 
 
 天子様を助ける
 
 
 この題目の幕が下りようとしている。
 
 
 未だ楽器をかき鳴らし、歌い続ける姉上、いや桃香様。
 一歩一歩、洛陽の城門へと近づきつつ、声を響かせている。
 その歌を聴いて、庶人も軍人も誰も彼もが腕を振り上げて声を上げている。
 捕らわれた者たちは縄につき、うなだれ、そして眩しそうに桃香様をみているのが印象的だった。
 
 
 いま、歌による、声による、想いによる改革が幕を閉じ、そして新しい朝が幕開けようとしている。
 私は、あきらめ切れぬ胡乱な者が現れることを考え、鈴々とともに矛を構えているのだった。
 
 
 あの方を守る、あの方と私の子を守る。
 明日を、未だ来ぬ幸せに向かって。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ずっと歌っていた曲を切り替えた。
 メッセージ性を変更する。
 
 
 歌うのは「弾丸ソウル」。
 
 
 実は結構意味深な歌。
 というか、劉家の直系が聞けば「ああ、こいつもわかってるな」と理解し合える内容。
 というわけで、劉ショウ様は納得顔。
 そして皇帝陛下は、心底驚いた顔だった。
 
 
「そうか、歌姫姉妹筆頭は、本当に劉の直系だったのじゃな」
 
 
 こわごわと私の胸に刺さった矢にふれる陛下を、私はゆっくり抱きしめた。
 
 
「陛下、ご安心ください。すでに直系の愛の子が私の元で生まれております」
「・・・おお、それは真か!?」
「はい」
「こんな世相じゃが、心からお祝いをいわせてもらうぞ、従兄弟殿」
「ありがとうございます、陛下」
 
 
 ゆっくりほほえみあう私たちに、讒言が滑り込む。
 
 
「どこの誰とも知れぬ怪しき者を、われら忠臣を捨ててまで引き寄せなさいますかぁ!!!」
「そうじゃ、そうじゃ!! 若き男子(おとこし)を共に分かち合った為政者の分際で、今更逃げなさるかぁ!!」
「我らは知っておるぞ!! 陛下が何人の男を使いつぶしたかを!!」
 
 
 ぎゃーぎゃーとウルサい婆達を一睨みしたところで聞いてみる。
 
 
「えーっと、陛下って、同性愛者?」
「不敬罪で首ハネられたいか、従兄弟殿。我は異性愛者だ」
「だったら、あいつらが不敬罪じゃない」
「「あはははは」」
 
 
 軽やかに笑う私と陛下をみて、さらに激高する老婆達だけど、一つの見解の相違がある。
 だって・・・
 
 
「陛下は、霊帝陛下の愛の子ですものね?」
「しかりじゃ」
 
 
 きょとんとした、そんな空気の中、劉ショウ殿も参上。
 
 
「陛下、こちらにも愛の子がおります」
「おお! 劉ショウ殿もか!」
「はい、陛下。私(わたくし)も愛の子です」
 
 
 ぱんぱん、とお互いの股間をたたき合う私たちをみて、なぜか鼻血を出して倒れる人多数。
 
 
「朕は、従兄弟殿を、劉玄徳を帝室の流派と認め、記帳することを宣言する」
 
 
「「「なぁ!!!!!」」」
 
 
「なにしろ、朕や劉ショウ殿と同じく、劉家の家伝を知っているのだからな」
「そうですな、先ほどの歌を聴けば、劉家直系であればこそという歌詞でありましたからな」
 
 
 そう、弾丸ソウルの歌詞こそが、劉家の口伝を知るものの証。
 心を重ね、愛し合うことで、劉家の子供の第一子は、ほぼ九割の確率で男子になる。
 それも何の問題もない。
 
 
 これについては色々と制約があるのだけれども、少なくとも、劉家直系が男子であれば、相手の女性の第一子が確実に男子になる。
 逆に、劉家の女性は第一子供以外は女子で決定。
 これが劉家の男子継承の法則だった。
 つまり、孫呉で男子がたくさん生まれたという時点で、妊娠に劉家が関わっていると、同じ劉家なら感じるわけだ。
 加えるなら、心を重ねて愛し合っていなければ第一子は「生まれない」ので、妊娠している時点で愛のある関係だと知れる。
 まぁ、これも口伝なんだけどね。
 
 
 もちろん、こんな話をしてやるつもりはない。
 だから・・・
 
 
「劉家のみが得られる感覚の話よ、老婆達」
「陛下が男子(おとこし)を弄ぶ?ありえないな」
「そうですよ、みなさん。たぶん私の父のように、在野へ放たれたのでしょう?」
「さすが、従兄弟殿。その慧眼恐れ入りますな」
「うむうむ、我ら義兄弟の長兄だけのことはありますな」
 
 
 義兄弟、なにそれ?
 
 
「われら、同じ運命を背負う、そう、運命の義兄弟!」
「それじゃ、それは格好いい!」
「陛下のお許しも得られた。というわけで、長兄は備殿ということで」
「ならば、次兄はショウどのじゃな」
「陛下を差し置いて兄とは名乗りがたいのですが」
「義兄弟に地位など関係ない。朕が末弟じゃ!」
 
 
 あのー、盛り上がっているところ申し訳ありませんが、みなさんおいてけぼりっすよ?
 
 
「あ、あのぉ、陛下、よろしいでしょうか?」
「何じゃ、袁紹」
「・・・お三人で、義兄弟とは? 義姉妹ではございませんの?」
 
 
 思わず顔を見合わせて微笑む私たち。
 だからギータをかき鳴らす。
 すると周囲から音が追ってくる。
 歌姫姉妹達が理解した証拠。
 なら、このまま歌います。
 
 
 
 
 
~「少年よ」布施明
 
 
 
 
 
 
 さぁ、王の絶望を、そして今の気持ちを知ってください。
 
 

(3,002文字)