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第二十八話

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お待たせしました、歌う、更新です。

7・20のにじファン閉鎖まで、あまり意識しない形で更新を続けるつもりです。

第二十八話


 第一報に沸き上がる宮廷内であったが、禁軍壊走の急報に空気が一変する。
 常勝無敗、あの禁軍が負けたというのだ。
 同行した十常侍たちは生死不明、禁軍の将たちもまた生死不明だという。


 ここで起こるのは、当然対策会議となるはずだ。


 しかし、宮廷内で発生しているのは殺し合いであった。
 官吏が官吏を殺し、宮廷内は権力闘争というなの殺し合いが本格的に発生していた。


 そんな中で、あるモノが気づいた。
 気づいてしまった。

「皇帝を押さえれば、我が権力は・・・」

 一人走り出せば、それに続く亡者たち。
 殺し合っていた武器をそのままに・・・


 走る走る走る。
 走る走る走る。
 走る走る走る。


 轟音ともいえる足音が響きわたる禁裏。
 血走る瞳で見つめられた、その扉が開いた瞬間、なぜか数人の首が宙に舞った。

 人の背丈ほどもあるような大きな剣が、金色に輝く凶悪な剣が、官吏たちの首を飛ばした。

 呆然としてそれを見ていた官吏たち数人が、今度は天井に張り付いた。
 あたかも床に落とされた卵のように、鈍い音を立てて弾ける。

 それは金の力が駆け抜けたから。
 黄金の大槌が、すべてを薙払わんと。


「おーおー、白蓮様のいったとおりだったなぁー斗詩」
「ほんと、なんというか、ここまで思い通りだと気味悪いね文ちゃん」


 扉の向こうで立ちふさがるのは、二人の女性。
 金の大武器を構え、ほほえむ女神がごとき輝きを放つ夜叉。


「天子の許し無く宮内を騒がす不逞の輩ども、全員極刑にするものと勅命が下されてるぜぇ」
「全員おとなしく死んでくださいねぇ?」


 金色の武器が紅の武器に変わるまで、その行為が続けられた。
 以降、宮廷禁裏には金の魔物が守りについているという伝説が生まれることとなる。








 袁紹軍は、都、洛陽を走り回っていた。
 それは袁家代行、公孫伯珪の指示によるモノだった。
 この政治的混乱と空白で起きるであろうあらゆる問題を袁家の二枚看板と兵たちで納めることが出来れば、この上もない大殊勲になると。

 はじめは席へ機への参加が出来ないことに不満を持っていた兵たちだったが、民たちの感謝と、一体となった感覚は、なによりも喜ばしいモノだった。


 混乱を利用した盗難や放火、暴行など、ありとあらゆる混乱を、兵たちは迅速に納め、混乱した洛陽政治の収拾を現場レベルで納めていっていた。
 実際に洛陽で対応するのは初めてであったが、袁紹領内では既に行われている仕事だったので、困惑は少なく、それでいて習熟度が高かった。
 それ故に、袁紹軍の事態収拾能力は非常に高いものであるものと都で認識されることとなった。
 得られる戦果としては低いが、風評で見れば最高だったといえるだろう。
 加え、禁裏では袁紹兵によって皇帝が保護されている。
 この時点で権力中枢が押さえられたといってもいい。
 そう、全情報が全員で共有できたのであれば、この時点ですべての戦いは終わっていたといえる。
 しかし、そのような不可思議現象があり得ない。

 だから、走る。
 走る 走る 走る 走る 走る 走る

 人々は、庶人は、兵は、将は。
 走る 走る 走る 走る 走る 走る

 老人も、子供も、親も、孫も、誰彼かまわず。
 走る 走る 走る 走る 走る 走る



 目指す先は、洛陽。










 混乱の対岸を見据えつつ、進軍を続ける孫呉兵。
 牙門旗から、華琳さんやら白蓮ちゃんが進軍しているのが見える。
 何の打ち合わせもしていないのに、まるで呼吸を合わせたかのような動きが気持ちいい。


「みんな、向こうの舞台に移って。このまま向こうに行くよ」
「「「「「応」」」」」

 歌姫姉妹の舞台から、私たちは三頭竜姉妹の移動船舞台へ移る。
 合図を送ると、徐々に対岸に移動を始めた。

 このまま待つのも何なので、ちょっと一曲弾き流す。

 ゆるやかに、たゆたう水の流れのように。
 そう、朝日の中でこの歌しかない。







~「川の流れのように」美空ひばり







 まだ終わっていない。
 まだ終わりを見ていない。
 しかし、わかってしまった。
 感じてしまった。

 この日差しの中で、登りゆく日差しの中で、流れる川の上で、頬をなでる風を感じて。

 桃香様の歌を聴いて。

 天和姉さんは、にこやかにほほえんで一緒に歌っている。
 地和姉さんも、愛紗さんも、鈴々ちゃんも、みんな感じている。

 時節飛んでくる矢は、愛紗さんと鈴々ちゃんが払ってるけど。
 でもこれは、既に戦闘ではない。
 戦線は既に遙か彼方。
 都の軍の中枢も、視界の向こうに行ってしまっているのだろう。


「みなさま、対岸に着きましたら馬をご用意していますので、おうつりください」
「ありがとうございます、明命さん」


 対岸についても桃香様の歌は続いている。
 攻めることも守ることも出来ずに座り込んでいた都の兵たちが、こちらに注目していた。


 そばまで進み出た桃香様は、にっこりほほえむ。


「私欲にまみれた偽勅には従わないでいいんだよ? 私たちはこの国を守るために立ち上がっただけなんだから」


 正確には、自分の子供を守るためですよね、桃香様。


「わ、わたしらは・・・・」
「進みましょう、未来へ、明日へ」

 ぼろん、と「ギータ三号」をひく桃香様。
 あ、とみんなが気づく。
 あの歌ですね、と。

 だから私たちも声を合わせた。







~「FOREVER&EVER」JAM Project








 それは、包み込むような歌。
 それは、暖かい歌。
 それは、ともに立ち上がり進む歌。


 こんな場面で歌うとは思わなかったけど、それでも、私たちが一番歌いたかった歌かもしれない。
 手と手をつなぎ、ともに進みゆく。
 勇気と思いを友として、明日に向かって進む。
 そんな明るいかが焼く未来の歌。

 たしかに、この瞬間も弓で桃香様をねらう不逞の輩はいる。
 しかし、この槍の筆頭関雲長がいるかぎり、桃香様を、我が愛しい人をキズ一つ付けさせない。
 この歌とともに、光とともに。

 万難すべてを乗り越えて。









 舞台撤収を含め、歌姫たちが前線に追いついた頃、禁軍二部隊が洛陽城門の前で展開していた。
 それを囲むのが十万を越える諸侯軍とさらに十万を越える元都軍なのだから、おそれは壮観な風景だろう。
 十常侍と思われる老婆が、城門の前で立ちすくんでいた。
 一人は大地に崩れ落ちており、一人は城門にすがりついていた。
 この状態になって既に一日以上がすぎているとか。





「桃香、追いついたわね」

 私に気づいて一番はじめにきたのは、全部隊の後曲に詰めていた華琳さんだった。

「えーっと、これってどういう状況ですか?」
「白蓮の手回しで、すでに洛陽が押さえられていたのよ」
「・・・うっわー、じゃ、袁紹軍で治安を納めて、今回の風評独り占めだねぇ」
「私の知ってる公孫伯珪と今回の行動がつり合わないんだけど?」
「あー、白蓮ちゃんって、心底周辺環境的に『ふつう』だから・・・」

 簡単に、周囲の環境の一枚上手になるという特性を説明すると、華琳さんってば苦々しい顔。

「なによ、その反則」
「華琳さんだって何でも出来るじゃない」
「・・・・」

 華琳さんの場合は、何でも天才。
 白蓮ちゃんの場合は、何でも平均以上。

 いわば、華琳さんのスケールダウン版が白蓮ちゃんだったりする。
 で、指揮できる規模が大きくなればなるほど失敗できないレベルがあがるので、それに併せて能力がつり上がるというチート。
 本気で都に放り込みたい人材だ足りするんだけど、私の嫁だからだめ。


「劉玄徳殿!!」


 現れたのはちょっと小柄のかわいい人。
 巨大な胸をたゆんたゆんさせた女性を三人も引き連れてる。


わたくし、劉ショウともうします!」

 巨大胸の三人は「厳顔」「黄忠」「魏延」と自己紹介してくれた。
 どうも、以前私の歌を聴いてくれて、それの感動していろいろと協力してくれたそうだ。

「ありがとうね!」
「なにを仰いますか。同じ劉家、元を辿れば親戚のようなもので・・・おや、その剣は・・・」


 わたしの腰の剣をみて驚きを表す彼女。

「もしやそれは、劉家の宝剣では?」
「・・・はい。靖王伝家、仲山靖王の末裔としての証と聞いています」
「・・・!!!」

 驚愕の彼女は、私の耳にささやきました。
 その内容に渡しも驚き、そしてお互いの胸に手を当てます。

 真実にたどり着き、そして思わず笑いあってしまいました。

「玄徳殿は、まことに靖王の末裔でございましたな」
「これ以上無い証がたてられちゃったね」

 そのまま握手した私たちは、真名を交換した。

「私のことは桃香とお呼びください、劉ショウ様」
「私のことは莢華さやかとお呼びください、桃香様」

 このとき、あやふやに伝わっていた劉家の秘密を確信した私たちだった。



以上、にじファン掲載部分でした~
移動しまくり~w
 

(3,470文字)