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第二十五話 手を繋いじゃって・・・

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第二十五話 手を繋いじゃって・・・

 私の両手は、最近埋まり気味だ。


 なにしろ、誰かと手を繋いでいるのだから。
 春蘭と、秋蘭と、麗羽と、そして桃香と繋ぐことが多い。
 真名を交わした友人と手を繋ぎ、そしてどこかを目指すというのは、まるで子供の頃の散歩のようだが、目指している先は小川でもお気に入りの飯店でもない。
 無窮の荒野を、荒廃の町を越え、そして蒼天を遙かに胸を張る。

 三頭竜たる三人が歌を歌う。

 官軍であるというお題目の私の兵たちが進む。

 手を繋ぎ、胸を張り、燦然と、朗々と、高らかなる歌詠い達の行軍には、いつの間にか村人が、町人が、老いも若きも群集い始めていた。

 それは無限の楽曲使いとも言える三頭竜姉妹の歌に引かれて、というのもあると思うが、やはり、この集団が持つ空気に引かれているのだろうことは明白だ。

 だから胸を張る。

 あなたたちが選ぼうとしている未来は、ここにあるのだと言うことを示すために。

「曹操様、早馬による伝令にございます」

 受け取った竹簡をみて、私は微笑む。
 隣に立つ「桃竜」に向かって。

「随分と援軍が多いみたいよ?」
「それは嬉しいですねぇ」

 そう言いながら、「桃竜」は楽器をかきならした。
 その喉から溢れる歌が、視界全般に響きわたるのが視覚出来た気がした。







~「君だけの旅路」Suara







 まだ、私達が練習していない、本当の新曲だった。

 槍働きしかしたことのない私には、この歌と共に進む生活というものが新鮮で斬新で、そして刺激的だった。
 麗羽殿、いや、金竜や桃竜と共に義姉妹生活での旅は、以前、稟や風と共に旅した頃を彷彿とさせながら、それ以上の喜びと楽しさがあり、そして、毎日が最高だった。

 三人で楽曲を練習し、歌をあわせて、そして人々の前で披露する。
 戦場の一騎駆けのような高揚、敵将との一騎打ちのような高まりと、そして勝利の後のような気だるい快感。
 こんなものを毎日味あわされては人格も変わろうものだった。

 そんな中、桃竜は本当に唐突に新曲を引っ張り出す。

 この「君だけの旅路」も、まさに今を詠い挙げる、そんな歌だった。

「白竜さん、もっとちゃんと聞くべきですわ」

 金竜曰く、もっと深い内容だという。

「踏みしめられた道は、いわば、人々の歴史、今までの大陸を指しています」

 同じように、過去の記憶や思い出という形で韻を踏んでいるという。

「・・・つまり、視界が開かれた先とは・・・」
「ええ、各軍が合流する先」


「「赤壁」」


 時間と歴史と未来と今、人も想いも、すべてが集結する場所。
 この歌は、そこへ、その場所へ、その瞬間へと人々を誘う歌だというのだ。

「さすが、ですな」
「ええ、さすが私達の義妹」

 表向き、勅命に従い孫呉壊滅の戦働きのために進む陳留曹操軍。
 そしてわれら三頭竜姉妹は、官軍の士気高揚のために歌っていると見られている。
 実際に、他軍の補給部隊や伝令部隊が、多く合流して来ているぐらいだった。

 が、この軍の真の目的を知っているわけではない。

 いや、薄々、今回発せられた勅命が、偽勅であることは全軍単位で理解されている。
 しかし、それを確かめられる人間はいない。
 だから偽勅がまかり通ってきてしまっていたのだ。


 だれか、この世界を・・・・。










 すぱーっと歌いきって絶好調の私だったんだけど、なぜか華琳さんやら金白竜が、「桃竜・・・怖い子」みたいな顔してる。

 また誤解ですカー?

 いや、気にしたら負けだわ。


 つうか、なぜか官軍も孫呉も赤壁での決戦を意識してる。
 対岸まであった孫呉領は破棄されて、すでに撤退してるって言うのだから、どんだけチートなんだろうか、と思わされてしまった。
 もしくは、歴史は何をさせようとしているのか、なんつう昔懐かしいフレーズも思い浮かんだりもする。

 戦国自衛○ならぬ三国○衛隊。

 なんか、怖いかも。

 ととと、一応誤解の内容を聞いてみると、どうやら読み換えが原因の模様。
 本当にこの国の知識層な人たちの勘違いはこわいなぁ、とかなんとか。
 深読みした上に自分と同じ思考をした人と共感して、真実を読みとったと勘違い。
 これって随分と未来でも流行った流れだよねぇ。


 M○R、とか・・・。
 ・・・気にしたら負ける気がする。


 ま、この勘違いも、ひとっところに腰を落ち着けて広めるのに比べれば影響力も少ないし、源泉垂れ流し状態だからすぱっと忘れよう、うん。









 決戦は赤壁。

 それは孫呉の軍師であっても、都の軍であっても同じ目標でした。
 
「朱里、この報告なのだが・・・」

 冥琳さんの差し出した竹簡を見て、私は微笑んでしまいました。

「さすがですね、桃香様は」
「やはりこれは桃香なのだな」
「はい、この詩文、この流れ、間違いありません」

 そう、すべてをまとめ、すべてを受け流し、そしてうべなう。
 そんな歌を、流れを、他の誰が出来ようものか。

「それに、公孫伯珪様よりの書状でも・・・」
「ほぉ、かの『真なる友』、か」

 公孫伯珪様は、桃香様の真の友として歌姫信者には有名です。
 そして最高の支援者であるとも。

 歌姫関係で追われている楽士達を匿ったり、逃亡の手助けをしていることもかなり広まっていて、都から何度も使者が向かっていると聞きますが、彼女は明確な拒絶をしているそうです。

「かの楽士達に如何なる罪があろうか、明白なる根拠と罪状を示すがいい!! 気に入らないと言う理由だけで罪状をでっち上げるのは明確な朝廷への反逆であるとしれ!!」

 この啖呵は広く伝わり、そして庶人支持は鰻登り。
 自領に加えて袁紹領まで管理する手腕にも注目が集まり、文武百官こぞって頭を垂れるという状況と聞きます。

「あー、あの白蓮様って、結構曲者よねぇ」

 実際にあったことのある地和さんが溜息。

「そうなんですか?」
「そうそう。一人の時って、結構気さくなお姉さんなんだけど、仕事で人が集まると別人なのよねぇ」

 政治の場面では有能な治世者。
 戦場では有能な指揮官。
 何でも出来る、何でもこなす。

「・・・なんですか、その何でも超人は」
「白蓮様って、本当に何でも出来るのよ」

 とはいえ、政治において超越者にかなわず、戦場において武神にかなわず、と卑下しているとか。

「って、そんな孫家じゃないんですから、戦場で先頭に立たないですよ、王は、ふつう!」
「あー、ふつうはそうなんだけど、白蓮さまって脳味噌が騎馬民族だから、先頭で突撃してホイホイ勝ちたいんですよね~」

 専門が違いすぎますね、ええ。
 話で聞く公孫伯珪様は、総大将として指揮しつつ、政治の処理をしているほうが向いてるはず。
 将軍+軍師として采配している方がいいですよねぇ・・・。

「・・・あ」

 どうしました、地和さん?

ジャン、決まったみたいよ?」

 彼女が取り出した竹簡を見て、私は微笑んだ。

「冥琳さん」
「うむ、全軍召集だな」
 
 

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