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第二十四話 動き始めちゃって・・・

トップページ > 神代ふみあき書庫 > 非赤松椎名系作品 > 歌う恋姫無双物語 > 第二十四話 動き始めちゃって・・・




 

 

今回は、主人公以外が歌っていますw
第二十四話 動き始めちゃって・・・


 さすがに不味いわね。

 椅子に座りながら、今を思う。
 孫呉を取り巻く事情は、すでに積み。
 
 ありもしない私達の罪を挙げる都の婆。
 己の既得権益を守るために保守に走る豪族たち。
 正直、あと半年はもってほしかったけど、でも、どうにか産み月は越えられた。
 関羽、張角、思春、穏の四人は無事出産した。
 したんだけど・・・・。


「なんで全員男子出産かなぁ・・・」


 こんなの聞いて、というか、かってに調べあげて、都が黙っているわけがなく、使者が毎日のように子供を渡せと騒いでいるし、これだけの男子出生率を持つ男を独占する孫呉に国家転覆の容疑すらかかっている。


 というか本当に必死よね。
 まぁ、解るけど。
 いま、桃香って、淫欲人形としてじゃなくて男子製造機としてみられてるものねー。

「雪蓮、そろそろ軍議だ」
「わかったわ」

 うとうとと、眠そうにしている子供たちを見据えて、私はほほえむ。
 この子たちを絶対に守る、と。


「ねー、冥琳」
「ん?」
「私もさ、子供、産みたいな」
「わたしも、だよ」


 同じ重さの黄金なんかでは比較できない、そんな孫呉の宝をみて、私達はほほえんでいた。

「さってと、私達の子供をまもりましょう」










 陳留の偽姉妹、いや、成都の偽姉妹とよばれる彼女たちは、かなりの人気だった。

 なぜならば、本当の天河の歌姫姉妹筆頭から指導されており、その上手さは折り紙付きだったから。

 私の願いで、周辺都市などでも慰撫をしてくれており、実に助かっている。
 さらに、禁軍がすでに展開しているらしく、新たな噂と聞いては偽姉妹を調べにきて、そしてその成果なく撤退して行っているのをみると、少なからず目的が遂行されているのがわかる。

「お嬢」
「なんですか、厳顔」

 厳顔の報告は驚きに値するものでした。
 あの歌姫姉妹筆頭が、あの孫家に戻る途中であるという。
 偽姉妹として陳留に立ち寄り、そしてしゅったしているという。

「厳顔、いえ、桔梗」
「わかっております、お嬢」

 私は、握りしめた密書を手に立ち上がりました。

「我ら、劉家は、劉家軍は、同姓たる同志の支援に向かう」
「「「「「御意にございます」」」」」

 待っててください、筆頭。
 待っててください、我が一族よ!










 本拠地、西涼を出た私達は、涼州連合軍として南下を始めた。
 鳴りものを鳴らし、楽器をかきならす楽士達を伴い、反戦歌だろうと何だろうとかまわず、煮炊きを続け、難民に施し、そして歌い続けた。

 私達西涼は、歌の西涼と呼ばれている。

 馬騰様の政策によるものなのですが、それを越えてその想いが呼び名になったのでしょう。
 進軍の際も、駐留の時も、野営の時ですら歌える私達を暢気な軍と思うかもしれません。

 ですが、これは、結盟歌。
 これは、私達の柱。
 牙門旗を越える心の柱。
 それでいて、けして折れることのない意志。







~「覚悟完了」 影山ヒロノブ







 そう、私達すでに覚悟を完了しているのだから。
 居城から出て、楽器を手にしたそのときから。


「月、いくわよ」
「うん、詠ちゃん」


 人々から笑顔を奪う、そんな存在を許しはしない。
 そして、笑顔の本当の意味を教えてくれたあの人の大切なものを奪おうとするなんて、絶対に許さない。


 すでに我ら、覚悟完了。








 桃香に煽られてか、西涼の涼州連合が出軍したという。
 その思いに、歌に煽られて、今まで息を潜めていた楽士達が、庶人たちがそれに連なっているという。
 進軍する涼州連合に人々は物資を自発的に渡しているという。
 それは、彼らの期待であり、夢であり、そして現れた現実だからだろう。
 歌の西涼が、あの歌のように現れた、と。

 ならばその進軍の支えになるか、もしくは力になろう、と。

 華琳様がこれを聞けば微笑むでしょう。

 面白いことに巻き込んでくれた、と。

 「花の陳留」を歌いながら、隣に立つであろう桃香とともに。


「荀軍師どの、西南ウキンからの書状でございます」
「わかったわ」


 届いた内容をみて、私は微笑む。

「だれかある!」
「はっ」
「急ぎ早馬を。先行隊に書状を準備します」
「はっ!」


 さぁ、桃香。
 あなたの宴を始めなさい。
 私はその舞台を楽しませてもらうわ。


 ところで・・・



 荀家にも、その、わけてくれるのよね?









 私達は声を合わせていた。
 何しろ本格的な歌は久しぶりだったから。

「姉さん、声がぶれてます」
「は~い、おねえちゃんがんばっちゃうぞ~!」

 ぐっと気合いを入れて胸を張る。
 瞬間、衣装のボタンが吹っ飛んだ。

「・・・あ」
「「・・・」」

 あの子を産んで、胸がふた周りも大きくなってしまい、結構困ってる。
 衣装がぜんぜん合わないんだもん。

「ちぃねえさん、こんな牛、無視しましょう」
「賛成」

 もぉ、ふたりだって桃香さまの子供を産めば、絶対に大きくなるってぇ~

「「・・・」」

 つ、冷たいよ、冷たいわよ姉妹愛が足りない~

「どうした、三人とも」
「「あ、牛二号」」
「だ、だ、誰が牛だぁ!?」
「「つーん」」

 もう、歌姫姉妹がバラバラ~・・・。

「た、たいへんなのだ!!!」

 飛び込んできたのは鈴々ちゃん。

「おねえちゃんが、桃香姉ちゃんが、かえってくるのだ!!」

「「「「!!!!」」」」

 思わず私達の心に灯がともる。
 燃え盛るような炎じゃないけれど、それでも明るく暖かな炎。

「さって、バカ話はここまで。背筋のばしましょ!」
「ああ!」

「「ぶちん」」

 なぜか私と愛紗ちゃんの胸のボタンが飛ぶ。

「「「牛」」」
「「えええええ!?」」

 あれぇ~? 鈴々ちゃんまで墓石のような視線で・・・

なんか、いつのまにか、シリアス色が濃くなったところで、オチ。

神代ってやつは、そういうやつなんです、ええ。
 

(2,258文字)