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第二十二話 もぐりこめちゃって

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新ユニット誕生! w
第二十二話 もぐりこめちゃって







 西涼合同会議、その席で私は覚悟のほどを口にした。

 まず、孫呉に帰らなくちゃいけないこと。
 時間が全くないこと。
 そして、すべてをかける覚悟があること。

 みんなに歓迎してもらったけど、策のほとんどはじつは思いつき。
 反射神経だけで話したんだけど、みんなそれ以外無いという判断になった。

 だから、私は、全力で旅に出ることになった。

 今回はシャオちゃんと別行動。
 私の動向が知られている可能性が高いから。



「桃香様、お母様達をよろしくね」
「うん」


 さすがに西涼勢のバックアップがあると丸ワカリなので、随行は本初さんと子龍さん。
 とりあえず、西涼帰りで不思議じゃない格好という事で「偽姉妹」に扮装しての旅となったわけです。



 で



「三頭竜姉妹でーす!」
「「「「「わーーーーー」」」」」


 と、なぜか人気が出てしまいました。


 長女は麗羽様、こと「金竜」。
 次女は星さん、こと「白竜」。
 で、三女は私で、「桃竜」。
 私のイメージでは、ヒュドラ。
 というわけで、私たちの衣装には、かわいい感じのヒュドラが「がおー」ってしてる意匠が縫いつけてある。
 この意匠、結構人気で、ファンが挙って真似しているのはちょっとうれしい。

 で、

 何気に「劉」と「竜」が引っかけてあるのが憎い演出です。
 詩心が深い麗羽さん、真名を許してくれた袁紹さんの演出です。

 加えるに、三人とも目線を隠すアイマスクをしていて、わりと怪しい格好ながら三人とも巨乳という格好で、ひどく人気だったりします。

 まぁ、私のは詰め物なんですけどね。

 それはさておき、偽姉妹でありながら反戦っぽい歌とか反国家的歌を歌わないということで行く先々での稼ぎに困らない状態だったりします。

 うれしいやら悲しいやら。

 で、その公演先の大半が官軍で、その網の目のような警戒網の真ん中を突き進んでいるというのだから、本当に何ともはや。 

 で、官軍の真ん中を突き進みつつ、里心のついた兵隊さんたちの慰撫なんかで歌うものだから、本当に山ほどのグチという名の情報が集まりまくりで、諜報活動としても最強だったりします。
 このプランを会議で打ち出したときは、正気か、と疑われましたが、詠ちゃんが熱心に支持してくれた上に全員を説得してくれたからこそ、こうやって信じられないような速度で移動できているわけで。

 実際、兵糧隊の移動や、兵士の入れ替え部隊、伝令部隊の移動に合わせて自由自在に護衛付きで大陸を旅しているという、今までにない安心感に感動してます。

 これが、私自身を駆り立てる軍じゃなければ心底感動できるんだけどなぁ。


「ほんとうに、桃竜さんには驚かされますわ」
「そうですなぁ、まさかこんな事になるとは思っておりませんでしたぞ」
「あはははは」

 昨日公演した官軍の部隊長さんから、官軍が使っている宿に招待してもらって、食事どころか部屋まで使わせてもらって、お酒まで、って本当にありがたやありがたや。

「ささ、お三人とも、お疲れでしょう。軽く呑んで、ぐっすりお休みくだされ」

 これが嫌らしい言葉で言ってるなら拒絶できるんだけど、この人、本気で良い人なんですよねぇ。
 なんでも、密かに望郷の歌がはやっていて、かなり脱走者が多い官軍が、いまや私たちの公演聞きたさに踏みとどまっているとか。
 部隊運営上の士気向上としては不安材料だけど、又来てくれるであろう希望があれば、結構大丈夫、とかいう判断らしい。
 というわけで、全軍の士気向上に役立つという事で、下に置かれぬ対応になっている模様。
 さすが補給部隊の隊長さん。
 視線が違う。

「ありがとうございますわ、隊長さん」

 金竜姉さんがにっこりほほえむと、隊長さん真っ赤。
 本当にタラシだね、姉さん。

「ふむ、では戴くとしようか」
「「はい」」

 白竜姉さんの言葉に私もほほえんで食事に手をつけた。
 うん、しびれ薬も興奮剤もない食事はおいしいなぁ。


「何気に波瀾万丈な生活ですわね、桃竜」
「ふむ、食事に薬を混入とは、皇帝並ですなぁ」
「いやいや、いたずらなんですよ、たぶん」

 薬では死なないし。
 その後に殺されるかという目に遭わされますが。
 まぁ、それはそれとして。
 気持ちがいいので歌っちゃいましょう!






~「風が吹いていた」椎名へきる&GONTITI





 偽姉妹、数ある中で、この姉妹、三頭竜姉妹の歌唱力は突出していた。
 歌詞、楽曲、すべてにおいて、凡百の真似しかしていない偽姉妹と一線を画し、沸き立つような心の歌を歌っていてくれる。
 一楽士を追うような軍の中にいると、恐ろしいほどに歌に接することが多くなり、そして今の軍のあり方に疑問を感じる。
 歌は、楽士は、心のより所を作れる仕事だ。
 その仕事に制限を加える、そのこと自体、庶人の心のあり方を変質させる蛮行そのもので・・・・、いややめよう、この考え自体が自分の命を縮める。
 そんなことよりも、西涼からわたってきた三頭竜姉妹の歌を聴かざる得ない。

 明るい歌、楽しい歌、様々な歌唱に、兵たちは沸き立ち、そして又聞きたいと心から思わされる。
 本当に、心底助かることこの上ない。

 戦意も叛意ものみこむような、そんなゆったりとした歌が、この場を包んでくれる。
 ただ、ただ、風が吹いている情景が、心の底から安心できる情景であることを思わされる。

 この三人は本物だ、心の底から思わされたその日だった。











~「風とゆく」落合ひろひと







 行軍中の軍の中で歌うという行為が、どれだけ不真面目なものかと声を上げたいところでしたが、実のところ、本当に受け入れられ手いるのが恐ろしい話ですわ。

 桃竜、桃香様は何気なく歌いだし、そして私たちも追従して、隊の前にゆき後にゆき、そして全軍が疲れない程度に気力を沸き立たせる。
 本当に従軍楽士なんていう非常識な存在が有用だとすら思えるほどです。

 ・・・本当に領地に戻ったら考えましょうか?

 いえいえ、やはり、桃香様の作曲能力と歌唱能力合ってのことでしょう。
 何しろ「風とゆく」、まさに旅を続ける兵たちにはぴったりの歌で、自分たちのことを歌ってくれている、と心の底から感動してますもの。
 とはいえ、これが「離反」を込めた歌だとは思わないでしょう。

 自ら立ち、自ら考え、そして、孤独であっても「風」と共にゆく、と。

 本当に怖い人ですわね、桃香様。
 いいえ、桃竜。
えー、とうとう、麗羽様も感染しましたw

中二的陰謀思考は、主人公と時間をともにすればするほど加速的に悪化します。

で、初代嫁だけその影響下に無いのはなぜかといえば、「普通」だからw

さすが嫁!!w
 

(2,623文字)