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第十八話 状況を積まれちゃって

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第十八話 状況を積まれちゃって




 旅芸人狩りが始まった。
 正確に言えば、ガンダーラを歌う旅芸人を処罰するという官軍が多くなった、という流れだった。

 これには明確な意図が見える。

 いわゆる「桃香」捜しの一端だろう。


 天河の歌姫姉妹筆頭が「男」であるという確信が都にあり、そして、それ故に無傷で捉えたいため、どこにいるかの情報収集を行っているのだろう。


 焦点が絞られたのは「ガンダーラ」


 こんな異質な曲が注目されないわけがない。
 が、桂花の策により、ガンダーラの歌詞を少しいじって「望郷」の歌に仕立てたところ、官軍からの脱走者が続出し、その能力を落とした。
 都の老害達も効率の低下に怒りを覚え、こんな勅命を出してきた。



『旅の楽士が歌うガンダーラの出生を調べ報告せよ』



 意味としては、歌が誰がどこで歌い始めたか、という話なのだろうけど、私たちは全く別の切り口で報告した。


 そう、このガンダーラ、これは漢中に存在する宗教「仏教」の教典中「那先比丘経」に出てくる王にまつわる国だと判っていたからだ。

 というか桃香、本当になんでこんな無駄知識を恐ろしい歌に変えるのかしらね?

 ともあれ、仏教も最初は「実にすばらしい歌」と絶賛していたらしいのだけれども、都の対応を見て急遽声を小さくしたみたいね。


 まぁ、宗教なんてそんなものよ。


「華琳様、都からの返信が来ました」


 私の報告書をみた都の老人達は、大陸に散っていた軍を集中させることを決定したそうだ。
 それに際して、糧食の提供を命令する勅命があり、その代価で私の出世を指示するものが手元の書状だった。


「とりあえず、受けるわよ。桂花」
「は」


 とはいえ、仏教にその歌の根元ありとは書いたけど、そこに身を寄せてるなんてどこにも書いていないんだけどね。


「ふふふ」


 さ、私の策は成ったわよ、桃香。
 あなたの策はどうかしら?











 急遽、諸侯達の元に「ガンダーラ」を歌う楽士をすべて捕らえ、どこで覚えたのかを調べよ、という勅命がきた。
 いや、正確には出生をしらべよ、だったけど。

 理由を冥琳が問うと、返信には「脱国を促す悪歌である」というものだった。

 まぁ、認めるわ、悪い歌だもの。

 うち、孫呉はあまり影響ないけど、他の領からは出奔する人が増えて、税収に影響が出ているらしい。
 善政ってひくものよねー。

「雪蓮、バカをいうな。影響は非常にある」
「えー、ウチの民は逃げ出してないでしょー?」
「・・・難民がすごい勢いで来ているだろうが」
「・・・あ」


 そう、肥沃な大地、安全な地域、そして豊かな治世。
 こんなところがあれば、あそこがガンダーラだって言う勢いで集まってきてるのよねぇ。
 くわえ、ほら、歌姫姉妹の大半がウチにいて、定期的に舞台をしてくれるものだから、人の集まりがいいのなんのって。

 ほんと、桃香にはやられたわ。

「それよりもだ、雪蓮。ガンダーラなんか目じゃないほどまずい歌が流れてきてるぞ?」
「どんなの?」


 聞いた歌は、曲調も単純でふし回しも明快なものだった。
 こう、何というか、漠然と明日に期待できる歌、そんな歌。


「いい歌じゃない、友よ、だっけ?」
「・・・雪蓮、この歌詞をよく考えて読め。これは明確な、庶人まで巻き込んだ反乱だ」


 ・・・・!!!!


 そう、これは現在の王朝を闇の中にたとえ、そしてこの歌を好ましく思うもの達を率いて戦乱を起こす歌。
 静かな曲調と分かりやすい歌で伝えられているが、これは蜂起に備えよ、明るい未来が近いと呼びかける歌だった!


「と、とうかぁ・・・・」

 あんた、本気なのね?


 ならばこの孫策伯符、あなたの女の一人として受けてあげるわ、その・・・・重い!


「すてきな歌ですねぇ~」
「ね、姉様、私もそれみたいです!!」

 王にのっかるなーーーーー!!!










 「友よ」でひどい誤解を受けたので、清々しい曲でみんなの誤解を解こうと思います。
 そう、朝霧を美しく思う、そんな心優しく清らかな歌謡い、それが劉玄徳です。

 この曲はシャオちゃんも練習していないので、ギータ三号で弾き語りとなります。
 ふふふ、みんな驚け聞きほれろ、私の心の白さを思い知れ!!






~「あの鐘を鳴らすのはあなた」和田アキ子







 そう、会えて良かったんですよ!
 出会いは奇跡なんですよ、朝靄に感謝なのですよ、みんなが寝てる町にポエムるメンヘルなんですよ!!



 どうだ、みんな、驚いたか!!



 ・・・え、まじでみんな驚いてる?
 なぜか少女マンガばりの「桃香・・・怖い子」みたいな感じで。


 というか泣いてる人が一人もいない。
 琥珀様も詠ちゃんもビックリ目で固まってる。



 あれー?



「劉玄徳、あんたは恐ろしいやつだね」


 本格的に顔色の白い琥珀様。
 って、えーなんで?


「いや、母上、そんなに恐ろしい歌だったか? なんか、こう、努力とかあきらめるなって歌じゃなかったか?」

 そう、そういう歌です!!

「翠、勉強が足りないようだな」
「そうね、この歌に隠された本当の意味を読みとるには知恵が足りないわ」
「・・・そうなのですか、桃香様」

 誤解です!! つうか、どういう誤解してるんですかぁ!?
 琥珀様、詠ちゃん、穿ちすぎ!!


「トボケなくてもいいわ。これは歌に隠した戦略の伝達よ」
「そうだ、翠。これは大陸を大きな戦場と捉え、敵を挟撃せよと言う指示だ。損耗や消耗をいとうな、とな」
「あと、歌詞の中で人々の眠りの中で『じゃん』を鳴らす、とあったでしょ?」
「ああ、あった」
「あれはね、進撃時間を打ち合わせたものよ」


 瞬間、翠ちゃんの顔が引き締まった。
 悪い意味でね!!


「・・・払暁夜襲、か!!」


 ぎゃーーーーーー!!


「そう、人である限り最も集中力が失われる時間、夜明け前に襲撃せよと言う指示なのよ」


「「「「「なんだってーーー!!」」」」」


 今回の歌を聴きに来た人全員で驚いてますよ、私も含めて!
 というか、何でそう読みとるんですかぁ!!

「で、でも、相手だってそう読みとるだろ?」
「翠、この作戦の妙は、読みとられてからの方が怖いわ。これを読みとれたら、夜明け前の警戒が一番強くなる。でも、この歌は『眠りの中』を攻めよとしか、『ジャン』をならせとしか言っていないの。つまり・・・」
「それを警戒した敵が、自分から消耗していくってことか?」
「その通りよ、翠」
「よく理解できたな、我が娘」

「えへへ」

「「「「「なんだってーーーー!!」」」」」


 あー、なんでしょ、こののり。
 だれかたすけてー。

20120503 ちょっと修正 (重いはネタです)
 

(2,580文字)