今回の訪朝目的はスポーツ交流であり、拉致問題に直接関連するものではない。
猪木氏は「培ってきた北朝鮮とのパイプを生かし、本音の話をしてきたい。総理も外務大臣も『対話と圧力』と再三言っている。その対話の方は全く進んでいない。せっかく私の持っているパイプがある。人の交流を切らないこと」と対話の意義を強調した。
拉致問題については従来通り、自らが解決するというのではなく協力する姿勢を崩していない。
「(拉致問題)担当大臣や議連の方が行動するなら、(私は)張成沢さん(金正恩第1書記の側近)でもざっくばらんな話ができる」と話した。
ただ、参議院の不許可が決定しているにもかかわらず、議員が渡航を強行するのは異例。当然ながら、猪木氏が出国した後の永田町は騒動となった。
日本維新共同代表の橋下徹大阪市長(44)は1日夜、市役所で記者団に「ルールは守らないといけないだろう」とし、猪木氏からの事前の相談は「何もなかった」と述べた。同国会議員団の松野頼久幹事長(53)は「ルールを理解していなかったのかどうかを本人に聞いてから対処する」とし、7日の帰国後に猪木氏から事情聴取して対応を決めることを明かした。
だが、他党からは批判が相次いだ。
みんなの党の渡辺代表は「国会を侮辱する罪に匹敵する。日本維新の自浄作用、見識が問われる」と手厳しい。民主党の榛葉賀津也参院国対委員長(46)も「国会議員がルールを守れないのでは話にならない。懲罰委員会に諮られる前に、政治家として出処進退を考えるべきだ」とまで言いだした。
参院議運委の岩城光英委員長(63=自民党)も「残念なことで、遺憾だ」と猪木氏を批判し、議運委は5日の理事会で対応を協議するという。
そもそも今回の渡航申請却下の背景には、国会の北朝鮮への遠慮があるとみられている。
本紙昨報通り、猪木事務所関係者も「おそらく北朝鮮うんぬんと却下理由に出すと、国が北朝鮮のやること(イベント)を妨害したというような解釈をされかねないということで、書類の不備にしたのでしょう。こんな決め方が、国会の場で行われているなんておかしい」と指摘していた。
しかも、渡航申請は厳密には許可制ではない。
「猪木氏にしてみれば、参院の渡航申請却下は厳密に守らなければならないものではなく、多少の批判を受けるのも承知の上でしょう」と永田町関係者。
永田町で敵が増えようとも、北朝鮮との“闘魂外交”の信念は貫く覚悟の猪木氏。帰国後、渦巻く批判に、どんな必殺技で立ち向かうのか。
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