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第七話 決意と血の雨とともに・・・

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第七話 決意と血の雨とともに・・・




 劉備、桃香は、都の文官の間では伝説的な存在だった。
 わずかな間で文官仕事の半分を圧縮させた計算法を導入し、商人まで広めさせた文官仕事の神ともいえる存在だ。
 わずかながら孫呉でも導入したが、目に見えて効率が上がった。
 加えて、山賊狩りも行う武術者で、わずか三人で500人規模の砦を落としたという武勇の存在でもある。
 彼女に従う二人の軍師も恐ろしいほど優秀で、このまま孫呉に骨を埋めてほしいと心底思った。

 諸葛亮孔明、こと朱里。
 鳳統士元、こと雛里。

 うちの軍師の一人である諸葛僅の妹でもあるという流れで見れば、そのまま抱き込むことも可能ではないかと妄想してしまう。
 現在、政務の大半は、桃香の軍師二人に手伝ってもらい、庶務は歌姫三人に手伝ってもらっている。
 あの張三姉妹、桃香の直弟子と言うだけのこともあり、計算関係が非常に強かった。
 長女は問題から推察される数字のはじき出しに強く、次女はあらゆる計算が速く、三女は検算にかけて極めて高い能力を持っている。三人が一組で経理監査したときなど、文官全員が震え上がったほどであった。
 で、槍の三姉妹、桃香・愛紗・鈴々は、実に面白い方法で兵士をまとめ、指導していた。
 たとえば、鈴々。
 通常の倍はある槍を、自分の隊に持たせて扱わせていた。
 この槍に何の意味があるかというと、騎馬戦略に大きな意味がある。
 愛紗の隊の槍はふつうだが、それでもふつうよりも重いものを使わせていた。

 で、桃香の隊は、工作兵なのだそうだ。

 罠を作ったり、柵を作ったり、そして兵器を自作したりという訓練をしている。
 そんなものに何の意味があるのかと疑問を挟んだのは甘寧。
 ならば、と模擬戦をしたところ、その意味が発揮された。

 まぁ、詳しくはおいておこう。

 少なくとも、私の考える策に数段深みが増したといえば満足だろうか?
 そんなわけで、我々は、大きな転機を迎えようとしていた。

 劉備玄徳とその一味は、孫呉に大きな力と希望を見せ始めていたのだった。






 また、事務事務だよ、事務事務~

「桃香様は、なされば出来るのに、何でそんなに嫌がるのですか?」
「・・・この方案は、独創的ですばらしいです」

 二人はほめてくれるけど、これは、まぁ、いわゆるチートなので気にしないでほしいなぁ。
 とはいえないので、

「それって私が変わり者だってこと?」
「否定できましぇん」
「・・・うそは言えましぇん」

 かみながらそれかよ。
 思わず内心毒ついてしまった。

「ほーら、私の仲間たち! 新しい仕事だよー」

 思わず顔を歪めたくなるほどの廃テンション。
 冥琳、そんなにうれしいのですか?

「いや、うれしいね。私と同じレベルで事務仕事が出来て、私を上回る方策を見せられて、その上日が暮れるぐらいまでには仕事が終わる環境なんか、今まで見たことも聞いたこともないからな!」

 ・・・私、朱里、雛里は貰い泣きをしています。

「ああ、本気で仕官しないか?」
「「「客将でお願いします」」」

 少なくとも、仕官してこれ以上仕事が増えたら慢性疲労で死ねると思う。
 ・・・あ、そうだ。

「そういえば冥琳。最近胸の調子は?」
「あ? うんうん。最近は調子良いな、うん」

 やっぱり疲労で免疫力が落ちていて細菌にやられた模様。
 早寝早起きが出来る現状では、かなり症状が回復しているんだろう。
 このまま健康でいてくれれば、いいんだけどなぁ。

「なぁなぁ、桃香。仕官しよう、な?」

 蛇のように絡んでくる冥琳さんだった。







 山賊狩りに出向くことになった。
 愛紗・私・鈴々に加えて、前線指揮の練習ということで蓮華もやってきた。

 彼女曰く、

「桃香が指揮官でも良いけど、客将に一軍を負かせるわけにはいかないから」

 ということらしい。

 愛紗も鈴々も孫呉の雰囲気は気に入っているらしく、私が仕官したらそのまま仕官しても良いようなことをいっていた。
 つまり、私を照準しているわけだよねぇ・・・。

 やばいなぁ、愛紗にも鈴々にも、実は性別はばれてるし、天和地和人和にもばれてる。
 というか、共有財産扱いを受けている気もする。
 とはいえ、奴隷や男妾扱いなのではなく、桃香+男というかんじ。
 これで孫呉にばれたら、と思うと背筋が寒いことこの上もない。
 たぶん、幹部への種付けを職務の一環に入れられるんだろうなぁ。

 愛がないなぁ・・・。

「蓮華さま、賊の砦が見えました」

 先見の兵が帰ってきたところで、私たちは展開した。

「まずは、囮だね」
「桃香、頼んだ」









 賊の討伐は、融和と降伏で決着した。

 ひとたびは剣を交えたが、士気が低かったので砦の前でライブをしたらあらかた降伏してきた。
 そのまま進軍してきた孫呉兵と合流して盛り上がり、このまま軍に吸収されることになった。
 ただ、この砦に前までいた質の悪い奴らが新しい砦に移動しているそうで、そいつらを打ち倒したいという話もでる。

「蓮華、どうします?」
「伝令を出すわ。進軍は決断してるけど、軍師には伝えておかないと」

 糧食は十分だし兵の士気も高い。
 たしかに攻めることも可能かな?

「桃香様、工作兵に先行させましょう」
「うーん、蓮華、いい?」
「いいわ、お願い」

 そんなわけで、悪党狩り開始ぃ~



 それは悪夢のような光景だったと捕らえられた賊は語った。

 草木も眠る深夜にそれは起きた。
 囂々と燃える砦。
 爆炎が渦巻く広間。
 雨のように降り注ぐ矢に隙間なく打たれた仲間たち。
 このまま屋根の下にいれば矢からは助かるかもしれないが、必ず火に焦がされるだろう。
 すべてを薙払うかのような苛烈な攻めに、俺たちは正気を疑った。

「くそ、人質は、人質は関係なしかよ!」

 どこの人でなしが・・・・!

 そう思って装備をそろえて外に出たところで、ドラが鳴り響いた。

「孫呉の牙が、悪党をうちにきたぞ!!」

 炎すらも押し退けるような肉声が響きわたった。

「我は天河の歌姫姉妹、矛が筆頭、関雲長! 孫呉あずけし矛を、いま振るわん!!」

 聞いていた俺たちの血の気は引いた。
 惨たらしくも全滅させることで有名な山賊狩りが、孫呉と組んでるなどと誰が知っているもんか、と!

「天河の歌姫姉妹が蛇矛、張翼徳! 今ならば罪無き者を差し出せる時間があるのだ、地獄の釜から抜け出したければ、罪無き者をつれてくるのだ!!」

 やべぇ、ほんきで殺される
 そう思った瞬間、女たちを担いで走り出した。
 一人を何人もで担いで躍り出て、助命を土下座で頼み込んでいる。
 が、女たちが助けられた瞬間、大剣が音もなく振るわれた。

 瞬間、十数の首が宙を舞う。

「天河の歌姫姉妹筆頭、劉玄徳。おまえたちにやり直しの機会など与えぬ。その罪をすべて背負ってやるから、来世からやり直せ」

 歌うように、ささやくように剣で舞う乙女。
 俺たちは見とれていた。

「呉兵よ、賊を打ち取れ!!」
「「「「「・・・おおおお!!!」」」」」

 気づいたときには俺の首も飛んでいた。
 あれは天女の舞だったんだと黒くなる意識の中で思っていた。


(2,772文字)