勤労挺身隊の被害者に対する光州地裁の損害賠償判決は、強制徴用による被害を受けたお年寄りが日本の裁判所で法廷闘争を開始して以来14年ぶりに得られた成果だ。
ヤン・グムドクさん(82)ら原告は、1999年3月1日に日本政府と三菱重工業を相手取り、名古屋地裁に損害賠償請求訴訟を起こしたが、一審、二審で敗訴した後、2008年に最高裁への上告が棄却された。しかし、今年5月、韓国の大法院(最高裁に相当)が強制動員の被害者の損害賠償請求について、個人の賠償請求件は存続しているとの趣旨の判決を下したため、原告らは昨年10月、光州地裁に提訴した。
訴訟を起こした「勤労挺身隊のおばあさんと共に行動する市民の集い」は公判後に記者会見、「憲法を改正しない限り、大韓民国には『日帝戦犯企業』の落ち着き先はない」と主張。大韓弁護士協会も「三菱は判決を受け入れ、自発的に賠償を行い、謝罪する態度を示してもらいたい」と要求した。
■勝訴判決は3例目、賠償額は最多
今回の判決の損害賠償額は、被害当事者に1人当たり1億5000万ウォン(約1390万円)、遺族に8000万ウォン(約740万円)で、過去2例の原告勝訴判決をはるかに上回る。過去の判例で1人当たり賠償額は、ソウル高裁判決で1億ウォン(約930万円)、釜山高裁判決で8000万ウォンだった。
光州地裁は賠償額の算定理由について、「ソウル高裁と釜山高裁の場合、強制徴用の被害者は18-22歳の男性で、労働期間も11カ月だったため、賠償金は1億ウォン前後だった。今回の訴訟の被害者は13-14歳の女子未成年者であり、労働期間も1年5カ月に達している点を考慮した」と説明した。光州地裁はまた「50年以上も責任を否定し、いかなる賠償もしていない日本企業の態度も考慮した」と付け加えた。
■賠償の強制執行も技術的に可能
今回の損害賠償訴訟が確定すれば、被害者は実際に賠償金を受け取ることができるか。まず、三菱重工業が控訴を断念するか、大法院で敗訴し、判決に従う場合、賠償が行われる可能性がある。しかし、これまで韓日双方での訴訟で三菱重工業が示した態度を考えると、期待薄だとの分析が優勢だ。
最後の手段は強制施行となる。弁護団は「技術的には可能ではないか」と述べた。韓国国内の事業所に三菱重工業が機械設備などを納入する契約を結んだ場合、代金を差し押さえることが可能だ。三菱重工業の韓国法人と日本の本社との債権債務関係を調べ、可能な部分について差し押さえを行う方法もある。しかし、三菱重工業がそれを意識し、契約を秘密裏に結ぶなどの可能性もある。三菱重工業が韓国を除く外国に契約をシフトすれば、裁判とは無関係の韓国企業が困難に直面することもあり得る。
このため、国内外の世論を通じた圧力が必要だとの声もある。訴訟に参加したキム・ジョンヒ弁護士は「韓日両国で三菱重工業が判決に応じるよう求める世論が広がることを期待している」と述べた。