語るに落ちたとの印象を否めない。森雅子少子化担当相は、沖縄密約を暴き有罪となった西山太吉氏の報道(西山事件)が特定秘密保護法の処罰対象になると述べた。
政府にとって都合の悪い情報を暴けば処罰されることになる。この法案の本質を露呈した発言だ。民主主義と国民主権の基盤を崩すこのような法案は断じて認めてはならない。
法案の最大の問題は、何が「特定秘密」に当たるのか、国民の目に触れない密室で政府が決める点だ。秘密指定されれば中身を知る由もないから、「安全保障上支障がある」かどうか、国民には点検のしようがない。時の政権や官僚にとって都合の悪い事実をいくらでも秘密にすることができる。
だが慎重姿勢だった公明党が了承し、法案は今国会で成立の公算が大きくなった。国民の知る権利や取材の自由に「配慮する」との規定を加えたのが賛成に転じた理由だ。だが何をどれだけ「配慮」するのか具体的な定めはなく、空証文に等しい。これが賛成の理由になるとは到底理解できない。
法案は戦前の軍機保護法に似ている。戦前の帝国議会ですら、1937年に軍機保護法を改正する際には「(秘密の)範囲を勝手に大臣の命令で左右しうる」ことが危険だと論議になった。まさにその「勝手に左右しうる」点がうり二つなのである。
その恣意(しい)的な性質が森担当相の発言で一層明らかになった。
西山氏は沖縄返還直前、日米が結んだ密約をつかんで報道した。女性事務官に働きかけて情報を入手したことが罪に問われた。
それ自体がえん罪に等しい。本来、政府が密約を結ぶことの是非が問われるべきところを、政府は男女間の問題にすり替えた。森発言は、都合の悪い事実を隠す政府の手法が、法制定後は堂々となされることを暴露したのだ。
政府のなした行為を国民が知り得ないのなら、民主主義は機能しない。この法案は民主主義を破壊するのである。
軍機保護法では宮沢・レーン事件というえん罪も発生した。「軍機」と知らず、周知の事実だった飛行場の存在を米国人の大学教員に話した学生が懲役15年となり、獄中で衰弱し釈放後に死んだ事件だ。「特定秘密」も、何が該当するか国民は知りようがないのだから、同様の事態が起こりうる。このような法案は不要だ。
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