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瀬戸市長選:増岡氏3選 異色市議誕生
2007/04/24





3選を決めた増岡瀬戸市長 。瀬戸市共栄町2・選挙事務所にて。



支持者と当選の万歳三唱。共に22日午後11時20分前後。



瀬戸市長選ポスター。



名鉄瀬戸市役所前駅。



ほぼ当確でほっとした臼井候補(中央)と支援者の皆さん・午後11時40分頃。瀬戸市幡野町・選挙事務所にて。



 愛知県瀬戸市で現職・増岡錦也氏(71)が得票数3万2040票で3選された。次点・水野昇氏(55)・元尾張旭市議は2万4147票に留まった。しかし開票と同時に当確が出た前回とは異なる展開で、11時過ぎにやっと当確がでた増岡氏は、前回より約1万票も減らしての当選だった。

 また同時に投開票された市議選では「主夫経験がある異色」無党派候補を始め、新人10人と現職18人の当選が確定した。今回の投票率は市長選56.00%、市議選56.01%だった。

 2期務めた増岡氏は自民、民主、地元商工団体などの推薦を得て、万博がらみの補助金を元に各種施設を新築・改築した実績を訴え、鎌倉時代から続く焼き物産地独特の地縁・血縁・子弟縁で強固に結ばれた保守層を手堅くまとめた。

 一方、隣接する尾張旭市議を3期務めた水野 昇氏は政治信条を認める「河村たかし衆院議員」流の自転車街宣などで、新興住宅地や周辺地域の無党派層などを目当てに戦いを進めたが、守旧色の強い土地柄からか善戦したものの追い風は吹かず一歩及ばなかった。

 瀬戸市では地場産業の陶磁器生産が衰退の一途をたどっている。郊外には焼き物用の陶土を採掘した跡の巨大な穴が随所に広がり、瀬戸グランドキャニオンと称されるところすらある。

 そんな「採掘場跡と隣接する里山の谷を合わせた」広大な産業廃棄物処分場が市域の至るところに設置されている。代表的な例が石原産業のフェロシルト不法投棄で埋めたてられた土地で、汚染土の撤去や運搬方法、ルートなどをめぐり市民から多くの苦情や異議が申し立てられている。

 また万博関連補助金で建てられた大規模な公営建築物に比べ、万博会場とは離れていたため市街地の交通インフラの整備が極端に遅れ、瀬戸市中心部の狭い旧道を走り抜ける多くのダンプや通行車両などによる交通騒音、交通マヒなども市民の日常生活に暗い蔭を落としている。

 反対の声が多い万博記念公園計画や、遅々として進まぬ産廃処分場問題に関する増岡市政への批判票がこの数になったようだ。増岡市長は「厳しい選挙だった。なんとか勝ちを得たが、みなさんの期待に添うようマニフェストの実現に全力を尽くす」と述べたが、この結果を真摯に受けとめ、改めて市民の声に耳を傾けて適切な対策を取ることが新市政の第一歩ではなかろうか。

 さて地方で市会議員といえば地域で功成り名を遂げた人物の名誉職の意味合いが強い。しかも互いに「狭い地域を代表する」ボス同士で、馴れ合いのうえ地縁血縁でがんじがらめ、議席に座っているだけの議員がほとんどで4年の任期中、議会で発言がゼロの議員すらいるという。

 議会は多数決の場である。数がすべての現実は確かにある。かといって党利党略でがんじがらめのような現在の地方議会では「マトモな発言、本音の意見を述べる人物は変人・奇人・変わりもん」と烙印を押され、仲間外れにされることを懼れ、表だって行動する議員は稀であるようだ。

 そんななか党推薦、町内推薦とは無縁の、無党派・NPO出身の若手の議員がひとり誕生した。組織を持たずに口コミ頼りの選挙を戦い抜いて見事議席を手にした。4月16日にインタビュー記事で紹介した加藤徳太郎・前瀬戸市議の後継者でもある臼井 淳(あつし)氏だ。

 炭坑のガス漏れ警報用のカナリアのように、たとえ独りでも「ダメなことはダメ、非常識なことはNO」と表明し続けられる人物が議会には必要だ。どんなに小さな声であっても、発し続ければ立派にチエック機能を発揮できるはず。それは先達・加藤議員が証明済みである。いまだに封建気風が色濃い瀬戸市議会で、しがらみを持たない臼井議員はじめ新人議員の動向を注視したい。
 
 なお定数28議席に現職20、元職2、新人14の36人が立候補した市議会は「自民9人 /公明党4人/共産党3人/民主1人/社民1人/ 無所属10人となった。(参考資料・瀬戸市ホームページ・瀬戸市選挙管理委員会:電話番号:0561-82-7111(代表)

(上野数馬)




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(この記事は関係者から訂正要請があり、筆者と相談の上で誤認などを訂正しました:9月4日・編集部)

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