変人の短編 (変人28號)

練習も兼ねて。短いです。



変人短編集

僕は家路へ着いていた。特に道草を食うこともなく真っ直ぐに。              『にしても今日はきれいな夕焼けだな。」                         歩きながらそう感想を漏らす。                              僕には叶えたい夢や目標がない。つまらないと言うならそうだろう。別に無理してまで叶えなくったっていいじゃないか。疲れるだけだ。どこに行きたいとも思わない。テレビ見てその気になっとけばいい。第一金かかるし。                               自覚してみるとすごいネガティブだな。まあ実際そんなもんだ、人間やるだけ無駄とは思わないが。感動するほどの美しさがなくとも生きていける。そう思っていた。                                                        あいつに会うまでは(・・・・・・・・・)                                                                               「やあ。」                                       誰かの声が響いた瞬間目の前が暗転した。                         「!?」                                        いや違う周りが闇に包まれているんだとすぐに認識した。同時にさっき聞こえた声の主を見つけた。暗くてよく見えないがさっきの声からして幼いことが分かる。              「君は、だれだ。」                                   その人物に尋ねる。いろいろ聞くことがあるがそう聞いた。不思議とパニックにはならずに冷静でいられる自分に内心少し驚く。この空間のせいだろうか。目の前の人物の仕業だろうか。    「そうだな・・・」                                   尋ねられて考える。                                   数秒して。                                                                                  「『名も知らぬ他人A』とでも呼んでくれ、どうせ短い間なんだから。」                                                       そう名乗った。反論する気が起きないのはなぜだろうか。そして語り始めた。                                                                                                                                                                                         <名も知らぬ他人Aの語り>                                                                                                                       夜空に星が輝いている、今の人類には数えきれないほど。                  町の人工的な光によって、遠く彼方の星の光は、町の光に遮られ見えなくなるか霞んでいる。  地球が蒼いのか月光が照らす夜空は濃紺色に染まっている。                 町などの人工的な場所では、人為的に作られた光が犇めき合っている。            一番輝いて近くにある一等星さえも重なり合う光の壁に遮られて人々の眼入る事は叶わない。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                  いや                                                                                                                                                                            そもそも人々は                                                                                                                                                                       空を見上げてすらいない                                                                                                                                                                                                                                             ほとんどの者は手にする電子機器にその眼を釘付けにしている。その他の者は、音楽を再生させて、遊び道具に電源を付けて、娯楽を楽しむか。                      または、今代の乗用車すべてに標準搭載されている機器から流れ出る音声を聞き流すか、ご飯を食べて映像が流れる三種の神器の一つを見るか、残業になる仕事をただひたすらにやり続けるか、自宅あるいは終点へと続くレールの上を走る電車の中で寝るか、仮眠か。                                                                                                                                                                                                                                                                                                   美しい景色は人を魅了する                                                                                                                        たとえそれが人工的でも                                                                                                                                                      天然自然でできる絶景の確率は著しく僅かだろう。                     しかしできたからこそ人はその光景に、取り憑かれ、保存しようとする、さらにはその土地の発展のために商業に組み込む。                                                                                                                                                                                                                                                                           美しいが故にそうする                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 しかし忘れてはならない                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                            その絶景に匹敵する景色は限定的ながらもすぐに見れるほどに近くて遠い                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     それすなわち満点の星空                                                                                                                                                                                                                                              人類が定義する最高の速さ、光速でさえも、何十、何万、何億の年月がかかり、地球に飛来し僕たちの眼に吸い込まれ、僕たちが理解する。                         それこそが星の輝き、誰彼かまわず見る事ができる宇宙の絶景。               いつの時代で幾度も人は夢を持ち続けた。
                                            一つの夢を複数人が持ち叶えようとするそれは、さながら技術と理論と思いを詰め込んだ『夢』というバトンを繫ぐリレーのよう。自分のすべてを後の者に託していく。生涯をかけて。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                果たしてこの世に晴れた日の澄んだ星空を眺める人は何人いるのだろう。                                                                                                                       大半は空に憧れる子供だろうか。                                              その子供たちは大人になっても空を見上げるだろうか。                   大人になった子供たちは空を見て何を思うだろうか。                                                                懐かしむだろうか。                                                                                         悔やむだろうか。                                                                                          喜ぶだろうか。                                                                                           眼を背けるだろうか。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                  それはその子供しか分からない自分でした事なのだから。                                                                                                                                                                                                                「これで『名も知らぬ他人A』こと僕の語りは終わりさ。またの機会をお待ちしております。」                                          「!?」                                                                                    そう言っていつの間にかそいつはこの空間と一緒に消えた。あたりはもう夜でくらい。あれは夢だったのか。何とも不思議な体験をしたものだ。恐怖はなかった。しかしあいつの語りは何かと胸に刺さった。                                        あの後何気なく見た星空は美しいとも呼べるほど綺麗だった。                    
その日から僕は夢を探す努力を少しだけでもいいからしてみようと思った。       


書いていてものすごく恥ずかしくなった。練習なのに・・・orz


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